“シネマティック”というと抽象的な感じがするかもしれないが、本製品は心情的なシーンやアメリカの“シネマティック” なので日本の泣きの心情とは違う）や映像に合うようなアコースティック楽器の音源だ。収録フォーマットはWAV、REX2、Apple Loops。楽器ごとにフォルダーが分かれており、その中でテンポが60、80、100、120のサンプルを収録している。調性が素材ファイルにネーミングされているので検索も非常に簡単だ。例えば60BPMのスティール・ギターには、単音メロディをポツンポツンと弾いたり、淡々と少しずつ変化していくアルペジオ・フレーズを収録。また80BPMでは、3/4拍子でやはり淡々としたバンジョーのアルペジオや日本の楽 器店では滅多に見ないバリトン・ギターなどのカントリー・フィールドの楽器群も秀逸。そういうベ ーシックな演奏楽器を押さえつつ、ドブロ系の 楽器をたたくようにして鳴らしたコード素材や、数年前からピッキング・ギター系の演奏においてYouTubeでよく見かけるボディをタップした素材、アコースティック・バリトン・ギターを荒々しくスラップした最近のアメリカのドラマで聴かれるようなアップデートされたサンプルもしっかり押さえられている。個人的には歌詞なしでハミングされたボーカル素材がかなり気に入った。これもアメリカのドラマではときどき耳に入るが、カントリーとインディー系の中間のような雰囲気で、リラックスしたボーカル素材が収録されている。どの音源も基本的にはオンマイクで収録されているのでリバーブを付加することで自分の楽曲に容易に素材として取り込めるだろう。モノローグのバックや、カメラの機能説明のバック、シーンの変わり目のアンダー・スコア、ME以上楽曲以下的な“あまり音楽で語る必要はないが、音がないと映像がつながらない”ような場面で使いでがとてもある音源集だ。
