
エフェクトも搭載したDSPミキサー
状況に応じて2つのモードを用意
US-366はMac/Windows用の最大6イン/6アウトのUSBオーディオI/Oで、最高24ビット/192kHzまでのサンプリング・レートに対応している。本機の特徴としてまず、DSPミキサー搭載という点が挙げられる。付属のソフトをインストールし本機内蔵のDSPミキサーをコントロールすることによってパソコンのCPU負荷を軽減でき、モニター時のレイテンシー対策にも有効だ。本機のDSPミキサーには2つのモードがあり、リアの“MODE”スイッチで“MULTI TRACK”と“STEREO MIX”を選べるようになっている。“MULTI TRACK”モードではDAWでマルチトラック録音をするときに、各入力チャンネルの信号を独立してパソコンに送ることが可能。このモードはパソコンへの送り音量とモニターの音量を別々に調節できるので、特に演奏時のモニターに便利だ。“STEREO MIX”モードでは、パソコン側のステレオ信号を本体の入力信号とともにミックスし、パソコンおよび出力端子へ送ることが可能で、これは例えばインターネットの生放送などでマイク音声とBGMをミックスするときなどに活躍するだろう。また本機はDSPエフェクトも搭載しており、コンプやEQなど6種類から1系統を選択するダイナミクス・エフェクトと、センド・エフェクトとしてリバーブを用意。前者はかけ録りに使い、後者はモニタリングの調整に使うというのが一般的な使用方法だろう。音質はどれも上品でハイクオリティ。リバーブも最小限の種類とパラメーターのみを装備しているが、音は安っぽい印象を受けない。また、標準ソフトとして、Cubase LE 6が付属しており、すぐに音楽制作を始めることができる。ただし、このソフトでは192kHzの録音はサポートされていないので注意が必要だ。ボディに関しては、アルミ製でなかなか高級感がある。アナログ入出力はマイク・イン×2(XLR)とライン・イン×2(フォーン/ch1はHi-Z対応)、メイン・アウト×2(フォーン)が用意されているが、ユニークなのがライン3-4として用意されているRCAピン端子。これは入力と出力を適時切り替えて使える端子で、ボトムにあるスイッチで設定を変更する。さらにデジタル入出力としてS/P DIFコアキシャル/オプティカルを1系統ずつ装備する(同時に使えるのはアナログ×4ch、デジタル×2chとなる)。
きっちりかかる内蔵エフェクト
TASCAMらしくまとまりの良いサウンド
それではギターをつないでCubase LE 6で録音してみよう。付属ソフトのコントロール・パネルは本体のトップ・パネル右下の“MIXER PANEL”ボタンを押すことにより呼び出すことができる。付属のCubase LE 6にはひずみ系のプラグインが搭載されているが、どうせなら本機のDSPエフェクトにもひずみ系があると良かった。レイテ ンシーなどがさらにストレス・フリーになるのでは?と思うからだ。マイクの音も録音してみたが、かなりかっちりとした感じのサウンドで録ることができる印象を受けた。全体的に、音は可も無く不可も無くという印象。あえて言うなら、TASCAMらしく派手ではないがまとまりの良いサウンドといった感じだろうか。スッキリとした音だ。DSPエフェクトはとても真面目な感じで、どれもきっちり効いてくれる。 オーディオI/Oの分野はメーカーも多く、種類も豊富で多機能化している。中でもUS-366はスペックとルックスを考えるとコスト・パフォーマンスの高い魅力的な製品だ。
