
バスはモノラル/ステレオを切り替え可
DMX512の照明を直接操作できる
SI Performer 3には、入出力としてヘッド・アンプを搭載した32chのマイク/ライン・イン(XLR)や16chのライン・アウト(XLR)、4系統のステレオ・ライン・イン(フォーン)などが装備されています。AUXバスはモノラル14系統となり、そのうち6系統はモノラル/ステレオを切り替え可能。VCAグループは全8系統で、複数のチャンネルを1本のVCAフェーダーで制御できます。各チャンネルにはEQやコンプ、ゲートなどが搭載され、入力にはリバーブをはじめとするLEXICON製のプリセット・エフェクトを、全出力バスには28バンド・グラフィックEQをかけることが可能です。冒頭で述べた通り、本機はSI Compactシリーズの後継機にあたります。チャンネル・フェーダーをバスへの出力フェーダーに切り替えて使える“TOTEM(The One Touch Easy Mix)”スイッチをはじめ、アサインされている機能によってフェーダーのバック・ライト色が変わるフェーダー・グロウ、チャンネルEQ/コンプなどのパラメーターをツマミに展開できる“ACS(Assignable Channel Strip)”エリアなど、直感的な操作性を受け継いでいます。もちろん、設定を記録するスナップ・ショットや設定内容のコピー&ペーストなど、デジタル卓に必須の機能もしっかり継承。そんなSI Performerシリーズですが、SI Compactシリーズから内蔵DSPが強化され、オプションのI/Oボックスを併用した場合は最大80chの信号が扱えるようになりました。そしてほかではなかなか見られない独自の機能として、DMX512規格に対応した照明機器を本機でコントロールすることができます。これはまさに新発想!
フェーダーの機能を表示する小型液晶
アナログライクな太いサウンド
SI Performer 3を使って最初に感じたのは、やはり見た目の分かりやすさ。各チャンネルには小型の液晶画面が付いていて、フェーダーに割り当てた機能を変えると同時に表示内容も切り替わります。なので“今フェーダーに何がアサインされているか?”ということが瞬時に把握できるのです。またフェーダー・グロウ機能と同じく、ステレオ・ライン入力を割り当てれば紫色、AUXバスへのプリセンドなら黄色……といった具合にバック・ライト色が変わります。こうした色鮮やかなルックスも、テンションを上げてくれますね。デジタル卓と言うと、液晶画面とにらめっこしながらあれこれ設定するイメージです。しかし、SI Performer 3では各チャンネルのほぼ全機能を画面に頼ることなく操作可能。ミックス時はフェーダー操作に集中できるわけですね。また、AUXバスへの出力がチャンネルごとにプリ/ポストフェーダーを切り替えられるようになったり、ステレオ・ライン・インの数が倍増していたりとSI Compactシリーズからツボを押さえたアップデートがなされています。サウンドは同社らしい“芯のある太い音”。デジタル的な硬さや高域のぎらつきが無く、やはりアナログ卓に近い印象です。そして注目の新機能、DMX512規格の照明操作を実際に行ってみると、何だか不思議な感動が……! ステージに欠かせない要素である音響と照明を、1人の人間が1台の機材でやってしまうという初めての体験に思わず笑みがこぼれました。専用の調光卓に比べて、DMXアドレスのパッチができなかったりと機能が絞られており、大規模な照明には力不足な面もありそうですが、頻繁に照明操作をする必要がない現場なら十分ではないでしょうか。今後のアップデートで、先述の機能やフェーダー・グロウの照明効果専用カラー(現状は白色のみ)が実装されれば、より使いやすくなりそうです。期待してしまいますね!
