MACKIE.DLM12/DLM12S

この度、縁があって製品レビューを担当することになりました。いろいろな現場をやらせていただいた経験から自分なりに思ったことを書きます。今回試したのは、PA用の12インチ2ウェイ・パワード・スピーカーMACKIE. DLM12と12インチ・サブウーファーDLM12Sです。これまでの経験から、スピーカーには“重くて大きくないと良い音が出ない”というイメージがありました。そんな中、DLM12とDLM12Sはどのような仕上がりになっているのでしょうか?
(トップ画像はDLM12)
最大出力2,000Wのアンプを搭載
DSPによる多機能な内蔵2chミキサー
製品の箱を開けてみるとビックリ! 小さくて軽いので、思わずうれしくなりました。両機には最大出力2,000WのクラスDアンプが搭載されていますが、DLM12は重量14.1kg、DLM12Sは21.7kgと信じられないほどの軽量設計です。DLM12は、背面にマイク/ライン・インやライン/インスト・イン、ステレオ・ライン・インなどを装備。DLM12Sは、ライン・インやラウド・スピーカー接続用の“HIGH PASS”アウト、サイド・モニター用の“FULL RANGE”アウトを備えています。両機は2chミキサーを搭載し、各入力には3バンドEQやレベル・コントロール、リバーブやディレイ、コーラスなど全16種類のエフェクトをプリセット。用途に合わせた6種類の音質が選べるスピーカー・モードやフィードバック・デストロイヤ
ー、設置位置補正用ディレイなども用意され、設定は内蔵メモリーに3種類まで保存できます。
“原音そのもの”と言えるサウンド
音作りの手間を省くスピーカー・モード
今回はキャパシティ580席という中規模のホールでチェックしました。DLM12Sにはポール・マウントが備えられているので、オプションのスピーカー・ポールSPM300を使い、DLM12を上に設置しました。まずはDLM12にCDプレーヤーを接続し、聴き慣れているCDを再生。DLM12は同軸構造を採っており、そこには新開発のトランスデューサーとDSPを組み合わせた技術“TruSource”が採用されています。高域ドライバーを低域ユニットのマグネット上に配置することで位相干渉を大幅に抑えているため、“原音そのもの”と言えるサウンドが耳に届きます。ホールでテストしているのに、ヘッドフォンを装着して聴いている感じと言えばイメージがわくでしょう? 定位の良さが感じられ、音の軸がしっかりしています。次に内蔵ミキサーの3バンドEQを使用。“+”“−”ボタンを使ってブースト/カットを行うのですが、1回押す度に3dB変化するので、例えば高域を1回ブーストしただけでも音の表情が変わります。とは言え耳に痛いわけではなく、低域に関しても12インチとは思えないほどの豊かな音質でした。スピーカー・モードは一番フラットに感じた“J”に設定。何もしなくても最高のパフォーマンスを見せてくれます。このモードは“とりあえず音を出してみよう”という現場にも向き、音響の知識があまりない人でもすぐに使えるでしょう。DLM12には可動アングルが装備されており、角度を付けて床に設置可能です(写真①)。実際にウェッジで使ってみると……これはスゴイ!気持ちいい音です。2ウェイ・スピーカーをウェッジ使用する際、聴取位置が変わると音がこもりがちですが、さすがは同軸。音が変わりません!



MACKIE.
DLM12/DLM12S
DLM12:オープン・プライス (市場予想価格/98,000円前後) DLM12S:オープン・プライス (市場予想価格/115,000円前後)
⃝DLM12
▪スピーカー構成/12インチ・ウーファー(低域)+1.75インチ・コンプレッション・ドライバー(高域)
▪周波数特性/38Hz〜20kHz(−10dB)
▪外形寸法/403(W)×389(H)×363(D)mm
▪重量/14.1kg
⃝DLM12S
▪スピーカー構成/3インチ・ボイス・コイル搭載12インチ・ウーファー
▪周波数特性/35Hz〜120Hz(−10dB)
▪外形寸法/455(W)×417(H)×529(D)mm
▪重量/21.7kg
⃝共通
▪内蔵アンプ出力/2,000W
▪最大音圧レベル/128dB