「AKAI PROFESSIONAL Max49」製品レビュー:CV/Gate出力やLEDタッチ・フェーダー搭載のMIDIコントローラー

AKAI PROFESSIONALMax49
AKAI PROFESSIONAL Max49は同社のMPKシリーズの後継機のようにも見えるが、随所に新機能を盛り込んだ新しい統合型MIDIコントローラーだ。去年の“2012 NAMM Show”で発表されていたが、ようやく販売が開始されたようなので早速チェックしていこう。

同社伝統のパッドを12個搭載
多岐にわたる設定が可能な付属ソフト


まず外観だが、サイズは724(W)×89(H)×330(D)mmで、重さは約5.4kg。同社のMPK49とほぼ同じくらいだが、一目で本機と分かるメタリック・レッドが印象的なルックスだ。これはボディが周囲の光を反射するためで、暗い場所で見るとかなり落ち着いた雰囲気にもなる。鍵盤もなかなか良いタッチで、打鍵音も小さい。パッドや各スイッチも同社製品でよく使われているもので、使い心地は非常に良好だ。本体右上にはタッチ・フェーダー×8が並んでいる。このLED仕様のタッチ・フェーダーもとても良く、物理的なムービング・フェーダーとは違い、手と内部のモーターがフェーダーを取り合う問題がなく非常に使いやすい。反応も良好で分解度がもっと高まれば現在最も高性能なフェーダーになるのでは?とさえ思う。本機はMIDI信号をCV/Gate信号に変換して出力することもできる。本機のCVコントロールは1オクターブの音程が上がるごとに1ボルト電圧が上がるoct/V方式なので、最近のアナログ・シンセはほとんど接続が可能。ただ、古いアナログ・シンセの中には1オクターブの音程が上がるごとに対数的に電圧が倍になっていくHz/Vもある。こちらの方式には対応していないので注意が必要だ。ACアダプターも付属しているが、パソコンとUSBで接続する場合はバス・パワーでの動作が可能となっている。本機にはプリセットをロードしたり編集したりするVyzex Editorと、パラメーターなどを自動マッピングする際に使うAkai Connectというソフトが付属しており、パソコンにインストールすることでMIDIマッピングなどの設定を簡単に管理できる。これらをインストールしなくてもDAW側から本機を認識することはできるが、インストールすれば操作性は格段に向上するだろう。DAWを操作する設定もこれまでのMPKシリーズからの蓄積もあって多岐にわたる設定ができる。どのシーケンサーと併用してもセッティング次第で必ず利便性が増すだろう。

制作の幅を広げるステップ・シーケンサー
オートメーションの書き込みも柔軟に対応


本機はステップ・シーケンサーも内蔵しており、前述のLED仕様のタッチ・フェーダーの良さも手伝って、非常に素晴らしいものとなっている。タッチ・フェーダーの上下でステップの音程を変え、その下にあるボタン×8をON/OFFすることによってさまざまなフレーズを作ることができ、それはMIDIデータとして他のMIDI機器やUSB経由でDAWに送ることが可能。今どこが演奏されているのかは、フェーダー下のボタンがリアルタイムで緑色に点灯して流れていくので分かりやすい。タッチ・フェーダーの左側に縦に並んだボタン×4ではページの切り替えが可能で、8本のフェーダー×4ページで最大32ステップまでのフレーズが作成可能だ。初期設定では左から順番にステップが再生されるのだが、逆方向、双方向、ランダム演奏などにも対応している。こうしてステップをリアルタイムに変更しながら鳴らすことができるのが本機のステップ・シーケンサーの魅力だ。当然DAWのテンポとも同期できるので、好きなソフト・シンセを鳴らしながらフェーダーを使い、オートメーションを書き込んでいくことも可能だ。設定を変えると特定のスケールのみを演奏することもできる。DAW上での打ち込みは、ステップ・シーケンサーと違って楽曲の独立したパートを幾つか作り、横の流れを構築するのに適している。だが特定の1小節を繰り返し聴きながら音楽を作るのにはいまいちだ。打ち込みのドラム・トラックを作るときもほとんどの場合、手弾きで曲の頭から最後まで実際に演奏したものを再生するということはなく、ROLAND TRシリーズのように1小節のパターンを構築し、それをループさせながら変化を作ることが多い。ベースやシーケンスのフレーズも同様に構築したい場合はぜひステップ・シーケンサーを利用してほしい。DAWのシーケンサーでループするのと同じではないのか?と思われるかもしれないが、先述したようにステップ・シーケンサーは複数のデータを変更することに優れており、音を鳴らす順番と音程を同時に変えるなどDAWを使った作業では得られない発想が得られるだろう。 Max49は比較的コンパクトなボディの中に伝統的なパッドと最新のLEDタッチ・フェーダー、そしてMIDIをCVに変換する機能まで内蔵した多機能なコントローラーだ。これらの装備を考えれば、アナログ・シンセを駆使してミニマルな音楽を作っている人にお薦めと言える。特にステップ・シーケンサーを使ったことがないという方はぜひ試してみてほしい。クラフトワークから連綿と続くエレクトロニック音楽がどうやって作られたかを肌で感じることができるはずだ。
AKAI REAL-MAX49rear_2013-4 ▲リア・パネルには左から電源、USB、MIDI OUT/IN、エクスプレッション・ペダル用端子(フォーン)、サステイン・ペダル(フォーン)、アサイナブル・フットスイッチ・ペダル(フォーン)、CV出力用端子(フォーン)、Gate出力用端子(フォーン)が並ぶ
 (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年4月号より)
AKAI PROFESSIONAL
Max49
オープン・プライス (市場予想価格/52,800円前後)
▪鍵盤数/アフター・タッチ対応セミウェイテッド49鍵 ▪外形寸法/724(W)×89(H)×330(D)mm ▪重量/約5.4kg 【REQUIREMENTS】 ▪Windows/Windows 7/Vista/XP、Windows互換サウンド・ボード(ASIO対応推奨)、INTEL Pentiu m 4 1.5GHzまたはCeleron以上(マルチコアCPU推奨)、1GBのRAM(2GB以上推奨) ▪Mac/Mac OS X 10.4.11以上(10.5以上推奨)、G4/G5 1.25GHz以上のCPU、1GBのRAM(2GB以上推奨)