「DYNAUDIO PROFESSIONAL DBM50」製品レビュー:北欧らしい高級感あるデザインのデスクトップ型パワード・スピーカー

DYNAUDIO PROFESSIONALDBM50
今回はデンマークの老舗ハイエンド・スピーカー・メーカーDYNAUDIO PROFESSIONALの新製品、DBM50をチェックしました。実は筆者も同社の古いモデルを持っていて、5.1chミックスの仕事でよくお世話になりました。このDBM50はハンドクラフト・ドライバーを用いた2ウェイのパワード・モデルで、ホーム・レコーディングにも最適な製品です。

机置きに最適な傾斜のフロント
補正用ルーム・フィルターも装備


本体はフロント・バッフルに傾斜が付いた独特なデザインで、これは机に置いたときにユニットの正面が耳の辺りに来る角度となっています。一般的なニアフィールド・スピーカーでは、耳の高さにツィーターが無いと正しいモニタリングを期待できないことがありますが、これなら小さなインシュレーターを下にセットしたくらいでも良い感じのポジションが得られます。外観はデスクトップ向けにしてはやや大きめの本格タイプ。デザインも高級感があっていいです。重さは1本7.2kgですが、持ってみると思ったよりは軽いなという印象です。1インチのソフト・ドーム・ツィーターと7.5インチのウーファーの2ウェイ・タイプで、この2つのユニットに独立した50Wアンプを搭載したバイアンプ仕様です。入力端子はXLRもしくはRCAピンで、+4/0/−10dBの基準レベル切り替え付き。60/80Hzのハイパス・フィルターに加え、LF(150Hz以下)/MF(450Hz)/HF(1.5kHz以上)のアナログ・ルーム・フィルターも付いているので、部屋の特性に合わせて補正することができます。

元気な中高域とパワフルな低域
音量を問わずスピード感のあるサウンド


早速チェックしていきましょう。まずは、机の上にあるパソコン用モニターを挟むように配置して試聴。最初に聴いたのはロキシー・ミュージックの『アヴァロン』(リマスター)。リファレンスとしてよく使っている盤です。最初の印象は、今まで聴いた同社の製品と同じく、スピード感のある元気な中高域とパワフルなローエンドが特徴的。モヤっとした部分が無く、位相がしっかりして気持ちの良い音です。「モア・ザン・ディス」のドラムのトランジェント感がハンパ無く良いです。最初はちょっと低域が出過ぎかなと思ったので、後ろのLFスイッチをいじってみたりしましたが、スピーカーのポジションを何度か動かしてみたらスイッチがフラットなままでもちょうど良くなりました。本機のようにバスレフ・ポートが裏側にあるタイプでは、背後の壁との距離で低音の出方が変わりやすいので、位置決めが重要でしょう。北欧メーカーらしいリッチなサウンドですが、この音の良さはキャラクターとしてとらえて音作りをした方が良さそうだと思いました。ほかにも西海岸の心地いいWindsurfの『Weird Energy』や、“Nu Disco”系ダンス・ミュージックなども試聴してみましたが、どの音源もカッコ良く聴こえてしまうので、モニターとしてジャッジするには慣れが必要でしょう。あくまで筆者の印象ですが、250Hz辺りを中心とした中低域の濃さが他社のスピーカーと違う感じです。ツィーターの特性も非常に良く、ピーク感の無い独特のヌケの良さが際立ちます。指向性はやや強めという印象でしょうか。モニター・スピーカーとしてのトータル・バランスは十分クリアしたレベルと言えます。試しにウーファーが動いているのが分かるくらいの大音量での試聴もしてみましたが、小音量でモニターしたときとの印象の違いも無く、正確にドライブできている感じがします。最大SPLが117dB(ピーク)ですから、ほとんどの方のホーム・スタジオではマックスまで鳴らし切ることはないと思いますが、小音量でも十分な再現力を持っていることが分かりました。またオプションのテーブルトップ・ボリューム・コントローラー(写真①)も試してみました。大きなダイアルが付いているだけのシンプルなデザインですが、左右のスピーカーのRemote端子にY字ケーブルをつなげるだけで音量をコントロールでき、ダイアルの回し具合もいい感じです。DBM50_sub-2013-3.jpg写真① 別売の専用ボリューム・コントローラー(9,975円)ホーム・スタジオで、ちょっと気合いを入れてちゃんとした音でモニターしたいという方にお薦めできる良い製品です。電源端子はメガネ型インレットですが、その形状に対応した市販の電源ケーブルもあるので、電源ケーブルを替えて音質変化を試してみるのも良いでしょうね。DBM50_rear-2013-3.jpg▲リア・パネルには入力(XLR、RCAピン)およびリモート端子がスタンバイ。さらに基準レベル(+4/0/−10dB)、ハイパス・フィルター/LF/MF/HFの各EQスイッチも用意している  (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年3月号より)
DYNAUDIO PROFESSIONAL
DBM50
63,000円/1本
▪周波数特性/46Hz~21kHz(±3dB)▪構成/HF:1.1インチ・ソフト・ドーム、LF:7.1インチ・サーモ成型ワンピースMSPコーン▪アンプ出力/50W+50W▪SPL/最大117dB(1m, pair, IEC Short Term)▪クロスオーバー/1.5kHz▪外形寸法/230(W)×348(H)×335(D)mm▪重量/7.2kg