「PRODUCER LOOPS Symphonic Series Volume 4」製品レビューピアノ協奏曲のデモ・トラック×5とそのパラ素材を10GB以上も収録

PRODUCER LOOPSSymphonic Series Volume 4:Piano & Orchestra 1
"何とシンプルにオーケストラ音色を使って音楽を構成できるんだろう!"......というのが、最初に触れた感想だ。本ライブラリーはイギリスのメーカー、PRODUCER LOOPSによるオーケストラの素材集である。その内容は、ピアノがフィーチャーされたオーケストラ曲のデモ・トラック×5とそれらのパラ素材となっている。

各サンプルはWAV/AIFF/MIDIという3種類のフォーマットで収録されており、それぞれにノーエフェクトの"Dry"とリバーブを付加した"FX Tail"が用意されているため、さまざまな状況に対応しやすい。映画のサウンドトラックやCM音楽、劇伴などの制作に向いていると感じた。


いわゆるストリングス音源のように細かく打ち込んでいくよりは、レコードからサンプリングするように素材を扱い、素早く感覚的に曲を構成していく使い方が適している。大編成のオーケストラを手際良く、しかもハイクオリティな素材で組み立てていけるのは、とても心強い。


その素材の音質はと言うと、サンプル・プレイバック方式の生楽器音源によく見受けられる人工的な質感ではなく、オーケストラ独特の空気感を内包したものだ。筆者は"蓮沼執太フィル"というアンサンブルを組織しているが、大きい編成になるほど、自分が望む音のニュアンスを演奏者に伝えるだけで労力や時間がかかってしまう。もちろんその工程が醍醐味(だいごみ)でもあるのだが、本ライブラリーは制作時間がタイトな映画や舞台、CMなどの音楽を手掛ける際に、現実的な場面でも有用だろう。また、管楽器や弦楽器のパラ素材はオーケストラ以外に向けられた音楽......例えばヒップホップなどに使うと、仮想の管弦楽団を率いたようなスケール感を演出できる。使い方は音楽家次第だが、オーケストラという枠組みをはみ出して、いろいろなシチュエーションで使えると思う。


PRODUCER LOOPS
Symphonic Series Volume 4:Piano & Orchestra 1
4,620円(為替レートによる価格の変動あり。表記の価格は2012年12月26日現在のもの)
●ダウンロード販売●容量:約2.22GB●DATA FORMAT:WAV、AIFF、MIDI