録音ファイルを暗号化する機能を搭載
外部マイクによる録音も可能
まずは外観ですが、これは驚くほど小さいです。およそタバコ１箱程度、重量は電池を入れない状態で驚きの110g。単三電池×２本を入れても携帯電話よりは軽く、角が面取りされているので、ちょうど手になじむ感じです。色は黒で統一されており、本体の右側には電源スイッチ、誤作動を防ぐ"KEY LOCK"スイッチと録音レベルの調整をする"REC LEVEL"ボタン、トップ・パネルには録音ボタン、一時停止ボタン、再生ボタン、ボリューム用のボタンなどを配置。これらの操作は、ほとんどが親指だけで行えるデザインとなっています。レコーディング可能なファイルはMP3とWAV。MP3の方は最高192kbpsでの録音が可能で、WAVは24ビット／48kHzまでのレコーディングを行うことができます。使用可能なメディアは、SD/SDHCカードで最高32GBまで対応、本体にはモノラル・スピーカーも搭載しているので、録音のチェックがその場で可能です。左側にヘッドフォン／ライン出力（ステレオ・ミニ）があり、入力は内蔵のステレオ・マイクに加え本体上側にマイク／ライン入力（ステレオ・ミニ）を装備。録音されたデータは本体内でエディットが可能ですが、USBでコンピューター（Mac/Windows）と接続することでファイルのやり取りやデータのリネーム、DAW上での音の編集などが簡単にできます。なお、付属品として外部ACアダプターと三脚やベルトなどに装着するクリップも付いてきます。ほかにも、ローカット・フィルター、サイレント・スキップ（無音の状態になると自動的に一時停止）、オート・パワーOFFなどの機能を設定することも可能です。また"暗号化録音"という設定も用意。これはSDカードに記録されるファイルに対し、数字４ケタのパスコードが無ければ再生できないようにするものです。
素早く簡単に録音を始めることが可能
内蔵マイクはナチュラルなサウンド
プリセットには高音質録音可能なもの、長時間録音用、記録録音に優れたもの、など３つのプリセットが用意されており、シチュエーションに合わせて選ぶだけ。それぞれのプリセットも自由にカスタマイズができます。そしてレベルを決めて録音ボタンを押せばレコーディングが可能です。今回はスタジオでアコースティック・ギターを弾いてもらい、内蔵マイク（無指向性、コンデンサー・マイク）で録音しました。ギターの正面から1mほど離れた場所にあったアップライト・ピアノの上に本体をセッティング。音ヤセも無く自然なトーンで好印象です。次にストリングス・カルテットのダビングがあったので、ちょうど正面中央のポイントに1m60cmほどの高さで本機をセット。特性はアコースティック・ギターと同様ナチュラルなサウンドで、アンサンブルのバランスも生で聴いていた印象に近い感じです。ただし、広がり感は少なめでした。ちなみにダビングで40分ほど録音しっぱなしにしていたのですが、演奏以外での人の足音やドアの開け閉めといった環境音に関しては、定位感が比較的出ました。続いて街中や室内のノイズを録音。これは予想以上に簡単にリアルに収録できました。何よりも本機が小さいことが幸いして、セッティングに気を遣わずともそこにある空間を切り取ったようなサウンドが得られました。
PMD620 MKIIは、高音質な製品でありながら小さく軽いのが最大のポイントだと思います。電源を入れてから録音までほんの十数秒でできます。また、本機は同社PMD660やPMD670などの技術が移植されており、予想通りしっかりした開発コンセプトの製品になっています。
▲本体左側。左からヘッドフォン出力、ライン出力（以上ステレオ・ミニ）、そしてオプションのコントローラーを接続するリモート端子（サウンド＆レコーディング・マガジン 2013年1月号より）
