「RELOOP Wave 5」製品レビュー：３種のEQスイッチを搭載したDJ向けの２ウェイ・パワード・モニター

RELOOPWave 5

CD HATA（Dachambo/Polar Chalors）

　今回紹介するのはドイツのDJメーカーRELOOPの２ウェイ・パワード・モニター・スピーカー、Wave 5です。DJ用コントローラーなどのDJ系機材を多くリリースしている同社だけあり、そういった視点がこのスピーカーに生かされ、どんな音像を鳴らしてくれるのか楽しみです。

移動先での制作にも重宝する
持ち運びも可能なコンパクト設計

Wave 5は上位機種であるWave 8を一回りコンパクトしたサイズで、185（W）×320（H）×230（D）mm、1台あたりの重量は6kg。パワード・タイプのため、ライン出力を受けてそのまま鳴らせるのは、移動先での使用にも便利です。ちなみに筆者は新鮮な視点で音と向き合うために、自宅スタジオに所有するパワード・モニターを外の現場に持ち込んで作業をすることもあります。そんなシチュエーションでもWave 5のくらいのサイズのスピーカーならキャリー付きのカバンなどに入れて持ち運ぶことも可能です。やはり自分が聴き慣れたリスニング環境を持ち運べるというのは、大きなメリットだと思います。Wave 5はコンパクトな点を除けば上位機種Wave 8と同等のスペックです。入力はXLR／フォーン／RCAピンの３つで、通常だと入力はXLRとフォーンのみというスピーカーも多いですが、RCAピンを搭載するあたりにDJ視点で設計されていることを感じさせます。またスピーカー上面にインプット・ステータスLEDが搭載され、どのインプットから入力されているかを一目で確認することができます。

フラットでありながらも気持ちよい音像
３パターンのEQモードを搭載

音を鳴らしてみたときの第一印象としては、非常にフラットな特性で音の輪郭がハッキリしているため、１つ１つの音がつかみやすい音像です。全体的にパキっと出てきますが、長時間聴いていても疲れない印象です。この特性であれば音楽制作の現場はもちろんのこと、バーや小バコ的なクラブでDJをする際に、モニター用として使うのにも適していると思います。ボリューム感は音量を絞っても大音量でも、音像の印象に差が少なく、特に大音量時でも妙に痛くなったりしないので好印象でした。そのためクラブ・ミュージックのように大音量で感じてナンボという音楽にも適しているでしょう。ハッキリしたキャラクターなので、使い込むことでエージングされてマイルドさが加わったら、相当上質なサウンドになることがうかがえます。本機を設置する場所が自宅スタジオであれば、スピーカーの置き方や吸音などでチューニングを突き詰められますが、本機を外の現場へ持ち出す場合はLF CUT OFF、HF TRIM、ACOUSTIC SPACEといった３つのイコライザー・スイッチで対処できます。LF CUT OFFは80Hz/100Hzをカットでき、HF TRIMは±2dBの高域調整、ACOUSTIC SPACEはスピーカーと壁の距離が近過ぎて低域が出過ぎるときや、不要な反射がありリバーブ感が不透明なときなどに効果があります。さらに本機は手元でボリュームなどの操作ができるEXTERNAL WAVE CONTROLLERが付属しますが、これが非常に良くできていて、音量調節はもちろんMUTE/STANDBYボタンを押せばスピーカのミュートもでき、INPUTボタンで入力ソースの変更もできます。ボリューム・ノブの感触も非常に良く、ボリュームを変化させるとインプット・ステータスLEDが早く点滅し、ミュートしているときは遅い点滅と、視覚的に反応があるので、触っていても心地の良いものです。ちなみにコントローラー用の接続コードも３m以上あるので、DJブースの手元に置いて音量をコントロールする使い方にも便利です。そして最後に触れておきたいのはマット・ブラック仕上げの洗練されたデザイン！　これなら持ち運んだ移動先でもオシャレ感を演出できそうです。意外とそういったモチベーションが音楽制作には一番大事だったりするんですよね。