「FOCUSRITE Forte」製品レビュー:FOCUSRITEが送り出す卓上タイプのオーディオ・インターフェース

FOCUSRITEForte
 日本でも多くの商業スタジオに導入されているISAシリーズなど定評ある製品を数多くリリースし、近年はAD/DAコンバーターの開発にも力を入れているFOCUSRITEから、USBオーディオ・インターフェースForteが発売されました。最近はラップトップ・コンピューターと小型I/Oを組み合わせて、外出先でも音楽制作を可能にするスタイルが普通になってきており、こうしたI/Oの購入を計画している方も多いのではないでしょうか。そんな中、有名ブランドからの新製品ということで、早速チェックしてみました。

本体のディスプレイとノブで
スムーズな操作が可能


まずは機能面を見ていきます。入出力は24ビット/192kHz対応の2イン/4アウト。本体はバス・パワーで駆動しますが、ファンタム電源を使用する場合のために電源アダプターが付属しています。入力用のブレイクアウト・ケーブルのほかヘッドフォン出力も備えています。操作はForteコントロール・ソフトウェアを立ち上げてコンピューターからコントロールする方法と、本体のカラー・ディスプレイを見ながら下にある4つのマークをタッチして機能を切り替え、ノブを回して操作する方法の2つがあります。ディスプレイは視認性も良く、切り替えに多少慣れは必要ですが、操作性は優れています。Forteソフトウェアの方も使いやすく、1画面ですべての操作を完結できます。PADやフェイズ、フィルターも含め入出力の設定に必要な機能はくまなく備わっており、操作上の問題を感じることはありませんでした。録音時の遅延に対応するためにインプット信号とDAWアウトの信号をミックスするダイレクト・モニター機能も、ソフトの画面上でのフェーダーの上げ下げで非常に分かりやすく実現されています。

中域寄りの優しい音で
聴き疲れしないキャラクター


次に手元にあったAPOGEE Duetとの比較で音質をチェックしてみました。本機の実際の使用を想定すると、まず大事なのはヘッドフォン出力の音質です。iTunesで音源を再生し、それぞれを切り替えて聴いてみましたが、音の解像度は互角。Duetはワイド・レンジでスタジオで聴く音に近い感じがするのに対し、Forteはもう少し中域寄りの優しい音で、聴き疲れしないキャラクターと言えるでしょう。次にGRACE DESIGNのモニター・システムにつないでスピーカーで再生してみました。こちらもヘッドフォン端子と同じ印象ですが、少しレンジが狭いので、音量を上げるとやや立体感に欠ける感じがありました。最後にプリアンプとA/Dの音質チェックとしてNEUMANN U87をマイク入力につないでボーカルとサックスを収録してみました。こちらも音の解像度は高いですが、D/Aと同じく相対的に中域が強調された聴こえ方になります。個人的には低音がもう少し出ると良いと思いましたが、キャラクターの違いの範囲内なので、実際に聴いてみて判断してもらえればと思います。先述したダイレクト・モニターの使い勝手はとても良く、ストレスを感じずに録音を行うことができました。一通り機能と音質をチェックしてみましたが、機能面は文句なし。音質面はA/Dなどに少し惜しい面が見られましたが、実際この機材を使って作業をするケースを想定すると、重要なのは操作性とヘッドフォンの音質、問題なく録音できるレベルを満たすA/Dであり、その3つに関しては十分なクオリティを持っています。携帯性も優れており、出先での作業はもちろん、iTunesで音源を再生する際の高品位DACにもなります。こうした製品を持つことで音楽制作に幅が出るのは間違いないでしょう。 ForteRear ▲本体奥には左よりDCイン、USB端子、ブレイクアウト・ケーブル用入力端子、アナログ出力L/R(TRSフォーン) Loom ▲ブレイクアウト・ケーブルは、マイク入力(XLR)×2、ライン/楽器入力(TRSフォーン)×2という構成サウンド&レコーディング・マガジン 2013年1月号より)
FOCUSRITE
Forte
オープン・プライス (市場予想価格/ 54,800円前後)
●量子化ビット数/24ビット ●サンプリング・レート/44.1/48/88.2/96/17 6.4/192kHz ●周波数特性/20Hz〜20kHz ●ダイナミック・レンジ/117dB(A/D)、118dB(D/A)  ●外形寸法/116(W)×36(H)×170(D)mm ●重量/476g

▪Mac/Mac OSX 10.7/10.8、USB 2.0規格に対応したUSBポート ▪Windows/Windows 7/8(32/64ビット)、USB 2.0規格に対応したUSBポート