
タイトルには"SPANISH GUITARS"とるが、本作はあくまで"アメリカのポップスで使われるような"というくくりで作られており、フレーズやコード進行はスペイン風だが、リズムは4/4拍子に限定され、スペイン音楽の基本の1つとなる3拍子やフラメンコの基本となるコンパス(12拍を1単位とするリズムの取り方)を取り入れたものは一切ない。
フォーマットは4つに分かれているが、収録内容はどれも同じだ。73〜144BPMまで10個のフォルダーがあり、さらにキーによってサブフォルダーが作られている。同フォルダー内には"lead01""rhythm02""tremolo03"など演奏法と番号でタイトルが付けられた4~8小節のファイルがあり、同じ番号のファイルを同時に鳴らすとギターのアンサンブルとなる。またリズム・ギターが2つのものやギターでベース・ラインを奏でているものもある。
11番目のフォルダーには単音と効果音のワンショット、12キーすべてのメジャー/マイナー/アルペジオのコード演奏も含まれている。演奏のクオリティは高く、ラスゲアード(フラメンコ独特の右指を使った奏法)やメロディのトレモロなどの特徴がよく出ている。録音状態もドライで迫力のある音色で、リズム・トラックと合わせてのEQ/コンプ処理もやりやすい。
実際に使ってみて、ポップスにスパニッシュ・ギターの風味を取り入れるのには、これほど便利なライブラリーはないと思われる。またスペイン風なコード進行を取り入れるのにも、本作はとても勉強になる。コスト・パフォーマンスの高いライブラリーだ。