総容量17GBに及ぶ効果音作りに適したシネマティック系ソフト音源

BEST SERVICEGalaxy X
 3D化やサラウンド化の進展もあり、映像作品に求められるサウンドはますます多様になっている。今回紹介するGalaxy X は、そういった映像のサウンド・デザインを目的とした音源。映像やマルチメディア作品のSEはもちろんだが、サウンド・インスタレーションや音響系の楽曲など音楽制作にも大きなインスピレーションを与える製品になっている。

用途別に3つのライブラリーに分かれた
1,000種類以上のプリセットを用意


Galaxy Xは、17GB以上のサンプル・データと、Mac OS X(10.5〜10.7)、Windows XP/Vista/7対応のサンプル・プレイバック音源Engine 2で構成されている。Engine 2はVST2.4/RTAS/Audio Unitsと主要なプラグイン・フォーマットに対応するほか、スタンドアローンでも動作する。また、ステレオはもちろん、最大8.1chサラウンドの出力も可能だ。Galaxy Xには1,000種類以上ものプリセットが装備されているが、それらはX-FX、X-KEYS、X-LOOPSの3種類の音源に分けて収録されている。X-FXはいわゆる効果音。音階演奏はできないが、高低のついているプリセットが多く、必要に応じて音域を設定できる。X-KEYSは音階演奏可能な音色、と言っても一般的な楽器音ではなく、アンビエントなパッドや不思議なサウンドの笛やハープなど。X-LOOPSはリズミックなループで、ドラムやパーカッションなどのパターンを主に、明確にビートが感じられるものが集められている。どれも絵が思い浮かぶような音だ。音色はAtomospheres、Bellsなど分かりやすいカテゴリーに分類されていて、音源間で共通するネーミングも多い。慣れてくると、大体どの辺りにどういった音色があるか見当をつけられそうだ。もちろん、Engine 2のマルチティンバー機能を使って、3種類の音源を同時に立ち上げたり、内蔵ミキサーで混ぜて出力することも可能だ。

コンボリューションを含む
豊富なエフェクトも魅力


豊富なプリセットを選んでプレイバックするだけでも十分に実用的なのだが、Galaxy Xの面白さは、それらを自在にエディットできるところにある。エディットにはEngine 2標準のフィルターやエンベロープといったシンセサイズ機能も使用できるが、そのほかにGalaxy Xオリジナルの豊富なエフェクトとレイヤーのパラメーターが魅力だ。実際、SEの作成ではシンセサイズ以上に、これらが有効なことが多いのだ。サンプルは最大3つまでレイヤー可能。よくある"いいんだけど、チリチリ感が要らないな"といった場合などは、大抵それだけが別のレイヤーなのでボリュームを下げてしまえばいい。これら3つのレイヤーは、まずPRE Xセクションに送られる。ひずみ系エフェクトとコンプで音をつぶしたり、金属質な倍音やアタックを付加できる。楽器系エフェクトと違い、原音を全く変えてしまうほどの効き方が特徴だ。さらに、アルペジエイターとディレイによる動きのあるサウンドも可能。PRE Xセクションだけでも相当のことが可能なのだが、本製品の目玉ともいうべきなのがその後のX-FILEセクション。コンボリューションによる強力なエフェクト処理が可能だ。コンボリューションというとリバーブが有名だが、X-FILEのエフェクトはそれよりはるかに多彩だ。減速するようなディレイ、落下するようなスウィープといった風変わりなSEの付加だけでなく、原音のピッチやエンベロープ、長さ(デュレーション)を大胆に変更して、キックとスネアのドラム・ループのようにしてしまったり、空間を漂っているようなエアリーなパッド・ノイズに変形したりもできる。もちろん元のサウンドの特徴は残っているし、効き具合や変形の度合いもセットできる。この部分だけ単独の製品で欲しいと思うほど魅力的だ。最終出力に装備されているのがPOST Xセクション。ここでは、サウンド全体にコンプやリバーブをかけたり、さらにフィルターによる音色の調節やオート・パンによる動きの付加などが行える。サウンド・エフェクト系サンプリング音源というと、良くも悪くもプリセットがすべてで、柔軟さに欠ける印象を持つ人も多いかもしれないが、Galaxy Xでは状況に合わせたエディットはもちろん、新たなサウンドを作り上げることも可能なフレキシビリティを備えているのが魅力だ。また、Galaxy X内蔵の膨大なプリセットは、すべてサンプルを元にさまざまなレイヤーやエフェクトを加えて作成されたものだ。エディットしていると自然に、"こういう音をこういう風に組み合わせると、あのサウンドになるんだ"といったノウハウが身についてくる。即戦力であるとともに、サウンドを操る面白さを備えた製品だ。サウンド&レコーディング・マガジン 2012年9月号より)
BEST SERVICE
Galaxy X
オープン・プライス (市場予想価格/ 29,400円前後)
▪Mac/Mac OS X 10.5以降(10.7対応)、INTE L製CPU 1.8GHz、1GB以上のRAM(2GB以上推奨) ▪Windows/Windows XP(32ビット)/Vista/7(32/64ビット)、INTEL Pentium 4/AMD Athlon XP 3GHz、1GB以上のRAM(2GB以上推奨) ⃝共通項目/19GB以上のハード・ディスク空き容量、インターネット接続環境