PAから楽器用アンプまで多用途に対応するパワード・スピーカー

LINE6Stage Source L3t
PA業界もデジタル技術の恩恵によって、搬入/仕込みはもちろん、音作りまでの作業が楽になりました。しかし、従来のようにパッチや信号線を引き回すといった作業に変わりはありません。そんな仕込みを手間に感じるエンジニアはもちろん、どこでも高音質でライブをやりたいミュージシャンたちにとって救世主となるスピーカー・システム=Stage SourceがLINE6より登場したので、早速レビューしましょう。

DSPにより最適なセットアップを自動選択
容易な設置&調節が可能なL6 LINK


Stage Sourceシリーズはエフェクト付きのミキサーを搭載するL3t、ミキサーの無いL3m(オープン・プライス/市場予想価格98,000円前後)の2種類と、1,200W出力のサブウーファーL3s(オープン・プライス/市場予想価格118,000円前後)がラインナップされています。L3t(L3mも共通)は、3ウェイのトライアンプ方式で、出力は1,400W! 背面にはXLR/TRSフォーン・コンボ入力、ステレオAUX入力(RCAピン)や外部パラレル・アウト、L6 LINK(XLR)を装備。筐体はハードな運搬にも耐えるプライウッド製で信頼性を確立しています。グラウンド・スタックはもちろん、ポール・マウントや横置き、サスペンション・ポイントも装備するので、さまざまな場面に対応します。特筆すべきは、本体内部にスマートフォンなどでおなじみの加速度センサー(傾きを感知する)や光学センサーを搭載し、DSPで検出した情報を測定データに基づき、自動で最適な状態にセット・アップができる点です。例えば横置きの状態で電源を入れると、自動的にフロア・モニター・モードで立ち上がります。この場合は当然、奏者はスピーカーより高い位置にいるので、音軸を上へ補正するために低域情報を減少させて、チューニングを最適化します。加えて、本体裏には任意で鳴らし方を変えられる"Smart Speaker Mode"が6種類あり、メイン/モニター用のフラット特性、キーボード、アコギのモニター用、さらにはギター・アンプのキャビネットとして使うなど、さまざまなプリセットを搭載します。本シリーズのもう1つの特徴として、L6 LINKという独自のネットワーキング・プロトコルを使用することで、設置&調整を簡単に行えます。スピーカーが自ら状態を確認して、ステレオ・シグナルのパン、Smart Speakerモードの調整とシステム全体を最適化します。機材の接続に疎い方はもちろん、メインやモニターのスピーカーが増えて、システムが複雑になるほど、L6 LINKの恩恵を受けられるでしょう! まだまだ書き足りませんが、続いてチェックを開始したいと思います。

ボリューム調節だけで迫力のサウンド
奏者も喜ぶエフェクト内蔵ミキサー


まず外資系CDショップでのインストア・ライブで使用しました。細長いボディはスタンドに立てても圧迫感はありません。会場が混み合っていたのとスペース的な事情で、今回はL3sを1本追加してチェックしました。L6 LINKを使用し、裏のSmart Speakerはリファレンス/PAモードをチョイス。もちろんL3sは自動でクロスオーバーも設定されます。声を入れてチェックすると、既に各ユニットのバランスが取れていたので、L3tとL3sのボリューム調整だけでセッティングは終了。このときはまだ半信半疑だったのですが、音を出した途端に驚きました! 気持ち良く切れる超低域、音像が前に出てくるような芯のあるL3tのサウンドは、いつもなら確実に"下げてください!"と言われる音量でしたが、ショップ担当の方からも"音質が良かったので音量は気になりませんでした"と気持ちの良い感想をもらえました。後日、本機のミキサー部を使用すべく、アコギと歌の2chで"疑似ストリート・セット"であらためてチェックしました。まず12バンドの独立したフィードバック・サプレッションですが、反応も良く、音量を上げた際に違和感なくサプレッションしてくれました。アコギの音ヤセに対しては、胴鳴りをモデリングした"BODY"のボリュームを上げることでふくよかなサウンドを得られました。もちろん、本機内蔵の"スマート・モジュレーション/リバーブ・エフェクト"を各チャンネルに付加することも可能です。正直、今回ほど原稿が書きやすかったことはないと言ってもいいほど、L3tは多機能でどこをとっても素晴らしい製品でした。ビギナーからプロまで買って損はないと、心からお薦めします!

▼リア全景。中央にはインプット(XLR/TRSフォーン、RCAピン)と外部パラレル・アウト(XLR×2)、L6 LINK(XLR)の各種入出力と、フィードバック・サプレッション、マスター・ボリューム、SPEAKER MODEスイッチを搭載


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▼サイドにはミキサー・パネルをセット。EQやエフェクト以外にアコースティック・モデリング機能も搭載


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サウンド&レコーディング・マガジン 2012年10月号より)
LINE6
Stage Source L3t
オープン・プライス (市場予想価格/118,000円前後)
▪周波数特性/40Hz〜19kHz▪最大SPL/132dB▪アンプ出力/LF