25鍵モデルだけに搭載された
アルペジエイターやサステイン・ボタン
箱を開けてまず目にとまるのは、マットな黒一色で塗られた高級感の漂うボディ。多くのモバイル向け製品に見られる、あの安っぽいプラスチックの光沢感は無く、シンプルかつ好印象なデザインです。音楽制作ツールがおもちゃのような外観だと、使う気にもならないというのが作曲家たちの本音でしょう。しかしMicro Keyシリーズにはしっかりとした"ハードウェア感"があるので、作曲のモチベーションも上がるはずです。Micro Keyシリーズには25/37/61鍵の3機種がラインナップされており、自身の演奏スタイルや制作環境を考えて選択／購入することができます。そんな中、25鍵のMicro Key-25はモバイルに特化したモデルとなっており、ほかの2機種には無いアルペジエイターやサステイン／タップ・ボタン、モジュレーションをかけたりピッチ・ベンドが行えるジョイ・スティックを搭載。このジョイ・スティックでは、そのほかの重要な操作も行えるのですが、それは少し後にお話ししましょう。ちなみに、37鍵のMicro Key-37（12,600円）と61鍵のMicro Key-61（18,900円）にはピッチ・ベンド／モジュレーション・ホイールが装備され、抜群の操作感が味わえます。作りがしっかりとしており、さすがKORG！と思える部分です。さらに、この2モデルには外部のUSB/MIDIデバイスを接続できるUSB A端子が2つ用意されています。同社のNanoシリーズなどをつないでコントローラーとしての機能を拡張すれば、パワフルなワーキング・ステーションの完成です。
小型ながら非常に弾きやすい鍵盤
柔軟に調整できるアルペジオ・パターン
それではMicro Key-25をコンピューターに接続し、使ってみます。Micro Keyシリーズに採用されている鍵盤は、同社のMicro Korg XLやMicro Arrangerなどにも使われた"ナチュラル・タッチ・ミニ・キーボード"で、ベロシティの表現に優れています。タッチは見た目以上に好感触で、何より弾きやすいのが魅力。かなり小さな鍵盤なのですが、慣れる必要も無く、直感的に押さえることができました。この鍵盤は不思議で仕方ありません。とにかく、ゴキゲンに弾けてしまうのです。次に機能面を見ていきます。まずはサステイン・ペダルならぬサステイン・ボタンから。モバイル仕様のコントローラーにはなかなか見受けられない機能なので、ついつい触ってみたくなります。このボタンを押すと、演奏している音色のサステインを伸ばすことができます。25鍵モデルはサイズ的に両手での演奏が難しいのですが、右手でコードを弾きながら左手でサステイン・ボタンを押すことで、細やかな演奏表現が可能です。サステイン・ボタンの左には、アルペジエイターをON/OFFできるボタンが配置されています。アルペジオのパターンは、ボタンの上のジョイ・スティックで調整可能。ジョイ・スティックがデフォルトの位置にあるときは、押さえた和音が8分音符で鳴り続けますが、右に動かせば上昇型のアルペジオ、左へ動かすと下降型のアルペジオになります。驚いたのは、ジョイ・スティックを上下に動かすことでもパターンに変化を与えられる点。上に動かせば音の長さが伸び、下に動かせば短くなるのです。この機能を駆使すれば、より細やかな演奏が行えるでしょう。なお、アルペジエイターがONのとき、サステイン・ボタンはテンポを入力するためのタップ・ボタンとして機能します。冒頭でお話しした通り、私はピアノ出身のプレイヤーなので、鍵盤がフルに装備されていないのはキーボードとして致命的だというイメージがありました。しかし、Micro Key-25は鍵盤数の少なさをカバーするリッチな機能を備えています。今回、確かな実用性を感じることができました。
（サウンド＆レコーディング・マガジン 2012年10月号より）
▪Mac／Mac OS X 10.5以降、INTEL製CPU ▪Windows／Windows XP（SP3、32ビット）/Vista（SP2、32/64ビット）/7（SP1、32/64ビット）
