MIDIコントローラーが接続可能なUSBハブ×3を持つオーディオI/O

AKAI PROFESSIONALEIE Pro
EIE Proは、外形寸法200(W)×103(H)×155(D)mmというコンパクトなUSBオーディオI/O。Mac/Windowsをサポートし、入出力数はアナログ4イン/4アウト。付属のACアダプターで駆動します。AKAI PROFESSIONALの製品については、いつもそのユニークなデザインに引かれるのですが、本機もインパクトのある外観が魅力。それでは、肝心のサウンドはどのようになっているのでしょうか? 早速見ていきます。

96kHz対応の4イン/4アウト機
ファンタム電源は2系統搭載


まず目を引くのは、アルミニウム製のボディとフロント・パネルに配置されたツマミ類、そしてアナログ・スタイルのVUメーターです。フロントにはマイク/ライン・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)×4が装備されており、最高24ビット/96kHzでのレコーディングが行えます。マイク/ライン・インの上には、入力インピーダンスの切り替えスイッチを配置。マイクやシンセ、アクティブ型のベースなどを接続する際は、そのスイッチを"LEVEL MIC/LINE"と書かれた方に合わせます。逆にパッシブ型のベースやギターをつなぐときは"GUITAR"という方に設定すると、適正なインピーダンスで入力できます。本機は+48Vのファンタム電源を内蔵しているため、ダイナミック・マイクだけでなく、コンデンサー・マイクも使用可能。マイク/ライン・イン1&2に1つ、3&4に1つという具合にペアで搭載されており、共に専用のスイッチでON/OFFが切り替えられます。右上のVUメーターでは、マイク/ライン・イン1&2/3&4とライン・アウト1&2/3&4という4種類のステレオ・チャンネルについて、その入出力レベルを確認することができます。どのチャンネルのレベルを表示させるかは"METER SELECTION"スイッチで選択可能。そのほかヘッドフォン・アウトも用意されおり、"MONITOR"ツマミを使って入力ソースのダイレクト信号とコンピューターの出力信号のバランスを調整可能。これはなかなか便利です。リア・パネルには、外部のエフェクターを接続するためのインサート・イン(TRSフォーン)×4を用意。それらは、フロントのマイク/ライン・インそれぞれに対応しています。インサート・インの左側には、ライン・アウト(TRSフォーン)×4を配置。さらにコンピューターとつなぐUSB端子に加え、ハブとして使える3つのUSB端子、1系統のMIDI IN/OUTが備えられており、オーディオI/Oに必要な機能がしっかりと盛り込まれています。

素直な音質のマイクプリ
VUメーターは反応が早く使いやすい


さて、実際の使用感はどのようなものなのでしょうか? コンデンサー・マイクのAUDIO-TECHNICA AT4040をボーカルに、ダイナミック・マイクのSHURE SM57をアコギに立ててテスト録音しました。内蔵マイクプリのゲインは最大+51.5dBと自宅録音では十分なスペック。ゲインを上げてもクリアな音質となっており、気持ち良く歌録りできました。目立った色付けは感じられず、フラットな特性だと思います。プラグイン・エフェクトやインサート・インに接続したアウトボードでひずみや高域のヌケなどを作り出し、積極的に音作りすると良いでしょう。アコギについては、とりわけ高域にSM57のキャラクターを感じることができました。こういった点からも、素直なマイクプリという印象を受けます。次にマイク/ライン・インをハイインピーダンスに切り替え、ベースを接続。やや低域の量感が少ないように感じましたが、録音後にエフェクトなどで処理すればカバーできる範囲だと思います。VUメーターは直径30mmほどの円形という小さなサイズですが、実際に使ってみるとリアクションが良く、動作が機敏。思った以上にレベルが調整しやすいです。コンパクトなボディの中にさまざまなセクションを設けるにあたり、レベル確認用のツールとして、このVUメーターが最良の選択肢として採用された印象です。そのほか、リアのUSBハブにMIDIキーボードを接続してみました。先述の通り合計3つ用意されているので、異なるタイプのコントローラーを3台つないだり、USBオーソライズ・キーやUSBハード・ディスクなどを接続しても良いでしょう。


フロントにすべての入力端子を配置するなど、扱いやすさを重視したEIE Pro。個人的にはVUメーターが一番のお気に入りです。専用のミキサー・ソフトやプラグイン・チャンネル・ストリップは作られていないので、音作りはすべてDAW上で行うという設計思想なのでしょう。これからコンピューターでの音楽制作を始める人にとっても、シンプルで分かりやすい作りだと思います。

▼リア・パネルには、左からハブとして使える3つのUSB端子やコンピューターと接続するためのUSB端子、MIDI IN/OUT、DCイン、電源スイッチが並ぶ。下側にはアナログ・アウトとインサート・イン(共にTRSフォーン)を4つずつ装備




サウンド&レコーディング・マガジン 2012年10月号より)

撮影/川村容一

AKAI PROFESSIONAL
EIE Pro
オープン・プライス (市場予想価格/26,000円前後)
▪接続タイプ/USB2.0▪オーディオ入出力/アナログ4イン、4アウト▪最高ビット&レート/24ビット、96kHz▪周波数特性(アナログ入出力)/20Hz〜20kHz▪外形寸法/約200(W)×103(H)×155(D)mm▪重量/約1.9kg

▪Mac/Mac OS X 10.2以降 ▪Windows/Windows XP(SP2)以降、4.5GHzのINTEL Pentium IIIプロセッサー ▪共通/128MBのRAM、USB2.0ポート