生楽器のサンプルをメインに収録したアンビエント向け大容量パック

BIG FISH AUDIOambient SKYLINE 2
ライブラリーの老舗ブランドBIG FISH AUDIOから届いた本素材集は、そのタイトルが示す通り、アンビエントやチルアウトといったジャンルがコンセプト。収録素材はギターやベース、ピアノ、ドラム、そして管楽器など、生楽器系の素材が中心となっており、ニューヨークの街頭でフィールド・レコーディングされたという環境音なども収められている。収録サンプルからは"アンビエント"というキーワードが感じられるものの、どこか2000年代以降の電子音楽やポストロックのニュアンスを漂わせるものが多い。また、アンビエント・ミュージックの領域で考えると、エイフェックス・ツインのように力強い音色を用いたテクノ寄りのサウンドではなく、ブライアン・イーノの『アナザー・グリーン・ワールド』を思わせる柔らかいイメージというのが、伝わりやすいかもしれない。

そんな本ライブラリーはDVD-ROM3枚組で提供されており、総容量は10GBにも及ぶボリューム。先述した収録素材はWAVやApple Loops、REX2といった形式はもちろん、NATIVE INSTRUMENTS Kontakt 4/5やSPECTRASONICS Stylus RMXなどのサンプラーで扱えるパッチとしても用意されている。こういったサンプラーとともに使用する場合は、目的のオーディオ・ファイルを逐一読み込む必要が無く、チョップなどのエディットがよりダイレクトに行えるのが合理的。ライブ感覚でサウンドをサンプリングするクリエイターにとっては、とても便利な技だ。


筆者は素材そのものを作り出したり、実物に楽器を演奏したり、はたまた環境音を収集してエディットするような作業をメインとしているが、本ライブラリーに関してはこうした普段の制作と近い感覚で音を選び、扱うことができた。使い方は音楽家次第だと思うが、アンビエントというフレームを超えて、さまざまなシチュエーションで使える素材集だと感じた。


サウンド&レコーディング・マガジン 2012年8月号より)


BIG FISH AUDIO
ambient SKYLINE 2
13,125円
●メディア:DVD-ROM 3枚●容量:約9.9GB ●DATA FORMAT:AIFF、WAV、Apple Loops、REX2、Kontakt4、Acidized-WAV、Stylus RMX、Kontakt5