ヒップホップを基調にした雑食グループ=ステレオMCズによるライブラリー

LOOP MASTERSSTEREO MCS VAULTAGE
1987年のデビューから現在に至るまで、ヒップホップを基調にさまざまな音楽ジャンルを融合させ、自分たちの色に染めては吐き出し続けたグループ=ステレオMCズ。そのサウンド・メイクとライブ・パフォーマンスは1990年代に隆盛を極め、世界的な人気を博した。そしてこの度、彼らの手掛けたライブラリーがリリースされたと聞いて、心の踊らない人は果たしているだろうか?

本ライブラリーはドラムやベース、ギター、キーボードなどをはじめ、フルートやストリングス、パーカッションなどのループ/単発素材を収録。WAVやREX2はもちろん、NATIVE INSTRUMENTS Kontakt 3やSTEINBERG Halion、APPLE LogicのEXS24といったサンプラー用のパッチまで、多彩なフォーマットをカバーしている。また、総容量1.3GBにも及ぶボリュームをリーズナブルな価格で入手できるのも魅力だ。気になるサウンドはと言うと、ヒップホップやブロークン・ビーツを軸にした個性的なネタが満載。しかし、彼らの作法に従えばそんなカテゴライズは無用だ。気の赴くままに、収録素材をあらゆるジャンルで使うのがステレオMCズ流なのだから。


筆者がこの素材集を試して、最初に耳を奪われたのはその音色。とりわけドラム・ループに関しては、大鉈を一振りしたかのようにアグレッシブな始まり方のものが多く、過大入力によるひずみなどもいとわない"攻め"の処理が施されている。また、そのサウンドが持つ強烈な存在感はIZOTOPE Stutter Editなどのプラグイン・エフェクトとも非常に相性が良く、大胆にエディットしても個性を失うことはない。さらに、外部ツールと組み合わせて作った音をお好みでチョップ&スライスすると......強力な自前ライブラリーの完成だ。すべてがギラギラと輝いていた1990年代初頭の"あの空気感"が詰まった本ライブラリー。どう料理するかは、あなた次第。


サウンド&レコーディング・マガジン 2012年7月号より)


LOOP MASTERS
STEREO MCS VAULTAGE
3,885円(為替レートによる価格の変動あり。表記の価格は2012年6月4日現在のもの)
●ダウンロード販売●容量:約1.33GB●DATA FORMAT:EXS24、Halion、WAV、Sound Font、REX2、Kong、Acidized-WAV、NN-XT、Kontakt3