
iPadなどiOS機器と接続するだけで
外部キーボードとして認識
まずブラックのボディとフェーダーなどを排したミニマムな外観に引かれます。幅813mmの49鍵はライブでも使用できますし、もちろん自宅に据え置きするマスター・キーボードとしてもちょうどいいサイズ。ちなみに25鍵モデル(オープン・プライス/市場予想価格13,800円前後)もラインナップされています。ボディ剛性と重量のバランスもよく、見た目よりもしっかりした印象です。このキーボードの特徴ですが、Mobile Keysの名の通りMac/Windows以外にiOSに標準で対応している点。実際、自分も幾つかのMIDIキーボードをAPPLE iPad Camera Connection Kitを使いiPadに接続を試みたことがあるのですが、バス・パワーの電力不足などで使用できなかったり、認識が成功しても安定しない場合がありました。その点、Mobile Keysは専用ケーブルをiOS機器とつなぐだけでCore MIDI対応アプリを操作できるようになるので、とても手軽です。早速Mobile KeysとiPadのDock端子を専用ケーブルでつなぎ、APPLE GarageBand for iPadを立ち上げてみたところ、特に設定も必要なく外部キーボードとして認識されました。試しに音源の"Hip Hop Sub Bass"を鳴らしてみましたが、とても気持ち良く演奏できます。これまではiPadのタッチ・スクリーンで操作していたのですが、やはり実物のキーボードの操作感は格別。スクリーンではどうしても起こってしまうタッチ・ミスもなくなるので、ライブ・パフォーマンスでも十分使えるかと思います。また細かい点ですが、iOS側のDockコネクターにつなげるケーブルの端子がしっかりロックするタイプで、多少アグレッシブな使い方をしてもケーブルが誤って抜けることはなさそうです。iOSに対応しているということはローパワーのUSBポート(100mA未満の電流)でもバス・パワーで動作するということなので、かなり幅広い状況に対応できるキーボードになるかと思います。
しっかりした作りのよい鍵盤
ベロシティ・カーブも調整可能
フルサイズ鍵盤のキー・タッチは少し重めで非常にしっかりしたもの。レスポンスも自然で自分が好きなタイプです。もちろんベロシティに対応しており、繊細な演奏の表現も可能。ピッチ/モジュレーション・ホイールの重さにもこだわりを感じますし、ゆったりとした間隔で配置してあるため、ライブ時のうっかりミスも軽減できるかと思います。2つあるOCTAVEボタンは右側の+で1オクターブ上に、左側の−で1オクターブ下になります。何段階かオクターブを上げ下げしても、2つのボタンを同時に押すことで前の状態に戻るのが便利。また本機はSHIFTキーを押しながら黒鍵を押すと細かな設定ができるようになっており、例えばトップ・パネルのボリューム/パン・ノブやモジュレーション・ホイールなどにコントロール・チェンジ番号をアサインできたりします。鍵盤のベロシティ・カーブも10段階で設定でき、0が最もソフト、10がもっともハードです(初期設定は5)。自分はベロシティは常に最大で作業し、後からDAW上で調整する派なので、この機能はありがたかったです。設定は簡単で、SHIFTキーと一緒にG#の鍵盤を押し、キー・フィール設定を選択。白鍵を使用し、1〜10の希望の値を入力したらSHIFTボタンを離せば完了。同じ要領でトランスポーズ(鍵盤の音高を半音単位で調整)や、プログラム・チェンジなども可能です。作業中の設定を保存するにはSHIFTボタンを押し続け、一番高いCの鍵盤を押してSAVEを選択し、SHIFTボタンを離せばOKです。
Mobile Keysはシンプルなデザインで上質なキー・タッチを求める方には最適かと思います。最近はMOOG Animoogなど高品質なアプリが数多くリリースされていますので、これからiPadをベースに音楽制作をやってみようという方や、普段はデスクトップ・マシンで作業していて、ライブではiPadを使用するという方には、長く付き合えるキーボードになるのではないでしょうか。何より、アプリもソフト・シンセも一台でまかなえるところに、これからのスタンダードを感じます。
