ライブやDJプレイ向けの機能を詰め込んだ小型シンセ&エフェクター

KORGKaossilator 2/Mini Kaoss Pad 2
 随分暖かくなってきました! 天気が良いと、気分まで晴れ晴れします。ウキウキどこかへ出掛けたくなりますよね。外出と言えば、やはり欠かせないのが音楽とモバイル・グッズ。Kaossilator 2とMini Kaoss Pad 2は、そんな場面にピッタリのアイテムです。これらはそれぞれ、KORGの小型シンセKaossilatorシリーズ/エフェクターKaoss Padシリーズの最新版となります。一体どんなサウンドを聴かせてくれるのでしょうか?

Kaossilator 2はマイクを内蔵し
2系統のステレオ・トラックに録音可能


まずはKaossilator 2から見ていきます。筆者は初代Kaossilatorのユーザーでして、近ごろではAPPLE iPhone用アプリのiKaossilatorも使用中。ライブやDJプレイに取り入れています。また、Kaossilatorシリーズを使っている人は身の回りにとても多く、友達と集まったときにループ機能を使い、マイク・リレーのように1人ずつフレーズを足して遊んだりしたこともあります。Kaossilator 2には多彩な音色が内蔵されており、そのラインナップはシンセ・リード×25/生楽器系×10/シンセ・ベース×30/コード・フレーズ×25/SE×20/ドラム・キット×15。ダブステップに欠かせないウォブル・ベースが用意されていたりと、現代的な仕様になっています。また、いろいろなジャンルのリズム・パターン25種類を搭載。本シリーズとしては初めてドラム・サウンドにPCM音源が採用されていますので、リアルな音色が楽しめます。プリセットはパネル中央のVALUEスライダーを使ってロード可能。タッチ・センス式となっているため、従来のダイアル式に比べて操作スピードが格段に向上しました。また、VALUEスライダー下のタッチ・パッドを使うと、曲のキーに合ったメロディをさまざまなスケールで演奏できます。プリセット・スケールは全35種類。タッチ・パッドのどこを触っても設定したキー/スケールから音が外れないので、恐れることなくプレイできます。さらに、演奏できる音域を変えられるノート・レンジ機能も便利。音域を狭めてよりイメージに近いメロディを奏でたり、極端に広げてダイナミック&トリッキーなフレーズを演奏したりと、目的に合わせて使えます。さらに、従来機に搭載されていた"ゲート付きアルペジエイター"も健在。アルペジオ・パターンは50種類用意されており、16分音符メインでザクザクと刻むものや離れた音程を行き来するストライド奏法的なパターン、シンコペーションの効いたフレーズなど多彩です。また、本機ではゲート・タイムとスイングの値が編集可能。タッチ・パッドで演奏している最中も、VALUEスライダーでアルペジオ1音1音の長さやノリを変えられるため、従来機の何倍も表情豊かなフレーズが作れます。トリッキー・プレイも思いのままですね!さて、本機には2系統のステレオ・トラックが用意されており、それぞれにロードしたリズム・パターンをミックスして出力できます。また、VALUEスライダーで音量バランスの調整も可能。さらにトラックの番号を表す"I""II"ボタンを押したままにすると、各トラックにタッチ・パッドで演奏した内容をループとして録音できます。またループを再生しているときに、任意の個所で元のループに新しいフレーズを多重録音することもできるため、随所に変化を付けることも可能。さらに、ループのテンポと長さはVALUEスライダーを使っても変更できます。ループの再生中にも変えられるため、長さを極端に短くしてフィルインを作るなど、プレイ中にリアルタイムでフレーズをエディットできるのです。そして、特筆すべき点は外部入力の搭載。内蔵マイクや背面のマイク・イン(ステレオ・ミニ)から取り込んだ音を使って、ループの作成などが行えます。これは相当楽しいです。ヒューマン・ビート・ボックス的なフレーズ作りはもちろん、歌や語りをループとして扱うこともできるからです。こうした機能すべてが"単三電池×2本駆動""スピーカー内蔵""モバイル・サイズ"というスペックで扱えるわけですから、タマリマセン!

Mini Kaoss Pad 2はミキサーに加え
オーディオ・プレーヤーを搭載


やディレイ、モジュレーション、ルーパーなど、DJミックスや音楽制作に最適な100種類のエフェクトを搭載。Kaossilator 2と同じく、VALUEスライダーでプリセットをロードできます。また、前機種のKaoss Pad Mini-KPなどに採用されていたFX RELEASEも健在。この機能をONにすると、タッチ・パッドから指を離したときに別途ディレイがかかるため、使用中のエフェクトを楽曲や演奏に溶け込ませることができるのです。トップ・パネルの"fx"ボタン1つでON/OFFが切り替えられるので、エフェクトをトラックになじませつつ解除したり、はたまたバッサリ切ったりと、プレイにバリエーションが与えられます。また、お気に入りのエフェクトとその設定を記録し瞬時に呼び出せるプログラム・メモリー機能は、前機種からアップデート。登録できるプログラム数が2つから3つになりました。好みの音に作り込んだエフェクトを1つでも多く即戦力にできるのは、現場で大きな強みになりますよね!しかし、何と言っても最大のアップデート・ポイントはオーディオ・プレーヤーの搭載でしょう。Micro SD/SDHCカード(別売)に対応し、記録した16ビット/44.1/48kHzのWAV/MP3ファイルを本機で再生できます。つまり、外部機器を使わずとも単体で音源&エフェクトとして機能するわけです。WAVフォーマットの楽曲ファイルを使えば、クオリティの求められるプロのDJ現場でサブプレーヤーとして扱えます。また、効果音や声ネタを仕込み、サンプラー代わりにしても良いでしょう。さらに本機もKaossilator 2と同様、ミキサーを内蔵。VALUEスライダーをボリューム・フェーダー代わりにして、背面のライン・イン(ステレオ・ミニ)から入力した音とオーディオ・プレーヤーの音量バランスが調整できるのですそして、Kaossilator 2と共通の仕様として特徴的なのが内蔵マイク。個人的に実はコレが一番のお気に入りです(笑)。マイクからの入力にエフェクトをかけることができる上、その効果をリアルタイムに変えることもできます。オーディオ・プレーヤーでダブのトラックを流し、プリセットの"Feedback Echo"を操作しつつマイクへ向かって思いのままに声を出せば、気分はすっかりリー・ペリー。1人ダブワイズ。マイクの音質はイイ感じにローファイで、現場でも相当活躍しそうです。


以上、Kaossilator 2とMini Kaoss Pad 2を見てきましたが、これらをつなげて使うのも最高に楽しいです。"おれが音出すから、お前はエフェクトやってよ"といった楽しいセッションもあっと言う間。複数台を接続したり、外部機器を取り入れても良いでしょう。また冒頭で述べた通り、Kaossilator/Kaoss Padシリーズは周りのプロ・ミュージシャン/DJの間でも使用している人が本当に多く、これらだけで単独ライブをやってのけるラッパーもいるほどです。今回の2モデルは従来機から進化を遂げ、誰でも簡単に、より自由な発想を生かしたプレイができるモバイル・ギアになっていると思います。デザインも手軽さやアウトドアを感じさせるもので、より多くの人が接しやすい雰囲気。"いつでも、どこでも、誰とでも"といったフレーズがピッタリなKaossilator 2/Mini Kaoss Pad 2。楽器のスキルや知識も大事だけど、音楽に大切なのはパッション! わき出るフィーリング! 皆さんもチェックしてみてください。 06_kaossilator 2_right.jpg ▲右側のサイド・パネルには、ボリューム・スイッチと電源スイッチを備えている Kaossilatorサイド1.jpg ▲左側のサイド・パネルには内蔵マイクのON/OFFスイッチを装備 Kaossilator_リア.jpg ▲Kaossilator 2のリア・パネルには左からDCイン(4.5V)、ヘッドフォン端子(ステレオ・ミニ)、マイク・イン(ステレオ・ミニ)を配置 Pad_リア.jpg ▲Mini Kaoss Pad 2のリアには左からDCイン(4.5V)、ヘッドフォン端子(ステレオ・ミニ)、ライン・イン(ステレオ・ミニ)が並ぶ。なお、サイド・パネルはKaossilator 2と全く同じ仕様となっているサウンド&レコーディング・マガジン 2012年5月号より)
KORG
Kaossilator 2/Mini Kaoss Pad 2
各16,800円
⃝Kaossilator 2 ●プリセット・プログラム数/150 ●プログラム・カテゴリー/Lead25種類、Acoustic10種類、Bass30種類、Chord25種類、SE20種類、Drum15種類、Drum Pattern25種類 ●スケール数/35 ●キー設定/±12 アルペジエイター・パターン数/50 ⃝Mini Kaoss Pad 2 ●エフェクト・プログラム数/100 ●プログラム・カテゴリー/Filter15種類、Modulation15種類、LFO20種類、Delay10種類、Reverb5種類、Looper20種類、Vocoder5種類、Synthesizer10種類 ⃝共通の仕様 ●AD/DA/24ビット サンプリング周波数/48kHz ●対応メディア/Micro SDカード(512MB〜2GB)、Micro SDHCカード(最大16GB) ●電源/単三電池2本(アルカリ乾電池/ニッケル水素充電池)、別売ACアダプターKA191(DC4.5V) ●外形寸法/76(W)×25(H)×128(D)mm ●重量/105g(電池を含まず)