マイク内蔵でIP電話などにも便利な極小USBヘッドフォン・アンプ

AUDIO-TECHNICAAT-HA70USB
レコードのカートリッジ製作に始まり、プロの現場でもマイクやオーディオ・アクセサリーなどで大変お世話になっているAUDIO-TECHNICAも、今年で50周年。筆者もAT4060を日々愛用しているフリークです。またヘッドフォン・メーカーとしても、廉価〜高級機までラインナップをそろえ、世界的にも存在感があります。そんな同社からUSBヘッドフォン・アンプAT-HA70USBが発売されました。国内屈指のヘッドフォン・ブランドのヘッドフォン・アンプなので期待が高まります。早速レビューしていきたいと思います。

ハイレゾ音源も楽しめる
高性能DACのAK4396を搭載


まずは基本スペックを紹介したいのですが、その前に説明しなければいけない点が。本製品は"USB"と名称にもあるように、パソコンとUSB接続して、バス・パワーで使用するもので、単体での駆動はできません。同時期に発売されたAT-HA21、AT-HA26Dなどが一般的なヘッドフォン・アンプであるのに対し、本製品のコンセプトとして、Webサイトなどに"PC内の音源をより忠実に、より高品質に"とあるように、パソコンの外付けオーディオ・デバイスに近い位置付けとなっているように思えます。さてさて、そんな本機のサイズは80(W)×24(H)×95(D)mmとコンパクト。亜鉛で鋳造されたボディは重量感も程良く、デザイン的にも好印象です。本機フロント・パネルにはステレオ・ミニのヘッドフォン出力と、ヘッドフォン・ボリューム調整用ノブ。また自動レベル・コントロール機能の付いたマイクがあり、パワー・インジケーターLEDとサンプリング周波数インジケーターLED(32/44.1/48kHz時は緑色点灯、96kHz時はオレンジ点灯)といったレイアウト。リア・パネルにはパソコン接続用のUSB端子(ミニBタイプ)、パワード・スピーカーやアンプ接続用の3.5mmステレオ・ミニのライン出力、ほかの出力と同時使用可能な光デジタル出力があります。また内部スペックですが、パソコンからのデジタル・データをアナログに変換するDAコンバーターには、他社オーディオ・インターフェースでも採用された実績があり、ハイレゾ音源やさまざまな音源フォーマットが楽しめる24ビット/96kHz対応の高性能DAC"AK4396"を搭載しています。そしてヘッドフォン・アンプ部は、トランジスター・バッファー出力や高品質パーツを採用したこだわりの仕様になっているようです。

中高域〜高域にかけて抜けが良く
抜群のS/Nの良さでノイズレス


続いて実際に使用してチェック。ラップトップPCから筆者愛用のヘッドフォン(カナル型イアフォン)であるULTIMATE EARS Super.fi 3 Studio(13Ω)を直接接続した場合と、AT-HA70USBから出力した場合の比較、また最近ではある種リファレンス的に使用しているAPPLE iPhoneを筆者がミックスした24ビット/48kHzのWAVファイルを使用して、S/N、レンジ感、音の押し出しなどをチェックしていきたいと思います。パソコンからの直接出力ですが、筆者が使っているパソコンは、ビジネス用途で使用されることが多いものなので、非常にS/Nも音質も悪く、チリチリとパソコンの動作ノイズが乗るような、"とりあえず付いています" 的なヘッドフォン出力。音楽を楽しむのには向いていないと感じました。それに対し、AT-HA70USB経由で試聴した場合は、S/Nは抜群に良く、音源を再生していないときはボリュームをMAXにしても無音状態。パソコンの動作ノイズも完全に消えました。レンジ感は最近のAUDIO-TECHNICAサウンドと申しましょうか、中高域から高域にかけてのヌケはとても好印象。リバーブの減衰などもしっかりと最後まで聴き取れます。これはDAコンバーターの特性や周波数特性(10Hz~40kHz)もありますが、ノイズが減った分よりクリアなサウンドになったのではないかと考えられます。とは言え、筆者的にはもう少し低域の押し出しが欲しいかな......と。あくまで好みの範囲だと思いますし、今回使用したイアフォンは若干かまぼこ型の特性をしているので、やや低域プッシュ傾向の最近のイアフォンやヘッドフォンとの相性は良いのかもしれません。またiPhoneと比較してみた感想としては、ノイズ面では双方良好ですが、iPhoneのヘッドフォン出力からのアメリカ的なマッチョな押し出し感にやや軍配が上がるかな?といった感じでした。総括的な感想ですが、本機にはライン入力はありませんが、フロント・パネルになかなか感度の良いマイクが搭載されています。お手軽にSkypeなどのIP電話や、チャットなどを行う際に快適な通話ができそうです。日常パソコンで音楽を聴くときの音質向上はもちろん、とてもコンパクトなので、モバイル環境などでの使用が本機のメイン・シチュエーションなのではないかと思いました。


筆者は最近、小規模な持ち込みPAセットでのオペレートもしているので、その際にラップトップを持って行き、オケのポン出しや簡易的な音場測定などにも本機を使いたいなと思いました。パソコン環境でのサウンドをワン・ランク上にしたいと思っている方はぜひお試しを。

▼リア・パネル。ライン出力(ステレオ・ミニ)、デジタル出力(オプティカル)、USB端子




サウンド&レコーディング・マガジン 2012年6月号より)

撮影/川村容一

AUDIO-TECHNICA
AT-HA70USB
42,000円
▪サンプリング周波数/32/44.1/48/96kHz▪周波数特性/10Hz〜40kHz▪外形寸法/80(W)×24(H)×95(D)mm▪重量/約180g

▪Mac/Mac OS X、512MB以上のRAM、USB2.0に対応するUSBポートを標準装備したマシン▪Windows/Windows XP/Vista/7、INTEL Pentium4 1.8GHz以上、512MB以上のRAM、USB2.0に対応するUSBポートを標準装備したマシン