プライベート環境用にデザインされた2ウェイ・パワード・スピーカー

RCFAyra Six
 RCFは、1949年にイタリアのレッジョ・エミリアで設立された総合音響メーカーで、PA用大型ラインアレイ・システムから設備系まで、ヨーロッパを中心に100カ国以上でその製品が使用されています。そんな同社がスタジオ・モニター市場に参入し、Ayraシリーズを発表。ホーム・レコーディング用に設計された2ウェイの二アフィールド用パワード・タイプで、サイズ違いの3機種をラインナップ。今回はシリーズ中間に位置するAyra Sixをレビューします。

落ち着いたつや消しブラックに
丸みを帯びた凝った意匠


大きさはニアフィールド・モニターの定番であるYAMAHA NS-10Mとほぼ同じくらいですが、本機の方が高さが6cmほど低く、逆に幅は1cmほど長くなっています。ちょうど本誌(A4変型)より少し大きくなった感じでしょうか。パワー・アンプを格納しているため、奥行きはNS-10Mよりも9cmほど長くなっています。カラーリングはつや消し黒(セミマット・ブラック)をベースに各ユニットの周辺だけ光沢のある黒を用いており、全体的に落ち着いた顔つきになっています。スピーカーは録音やミックス時に長時間向かい合うものですから、外観の良さは重要なポイントです。キャビネットの材質はMDFで、木質繊維を原料とする成型板で作られているためかなり頑強な作りとなっています。それぞれの角は緩やかに面取りされており、さらにフロントの両サイド面はほぼ45°に切り出され、底部も緩やかな丸みを持たせた凝った仕上げ。恐らく音響特性を考えた設計/デザインとなっているのでしょう。各ユニットは、低域にグラスファイバー製の6インチ・ウーファー、高域に1インチ・ソフトドーム・ツィーターを採用。ウーファー下部には横長のスリットがあり、これがバスレフ・ポートとなっています。入力はXLR、フォーン、RCAピンをそれぞれ用意し、周波数特性は50Hz〜20kHz、アンプの最大出力は低域50W+高域25Wと十分なスペックです。リアには入力端子と電源スイッチのほか、入力レベルと高域調節(−2dB〜+1dB)のノブも装備しています。

レンジが広く定位感も非常に良い
低域の再生能力に長けている


それでは、実際にセッティングして音を聴いてみましょう。NS-10Mと比較しながらチェックしていきます。まずはノーマルなセッティングで、XLR接続で電源ON。すると右下のRCFロゴが白く点灯します。リファレンスCDや筆者が録音/ミックスした音源を切り替えながら、モニタリングを開始。ここで、我が家のセッティング場所や、壁/窓など部屋の影響から若干高域のバランスが悪かったので、高域調整ノブを+1dBに変更。これで低域〜高域の具合がちょうど良くなりました。実際に聴いてみて最初に感じたことは、高域/低域も自然に無理なく伸びていて、明らかに再生レンジが広いということ。アコースティック楽器やボーカルなどは、EQやコンプのかかり具合やリバーブの広がり感/減衰加減が非常によく見えます。ここで気付いたのが、NS-10Mと同様、他のスピーカーと比べて本機の中域の再生音量が若干小さいということ。ちょっと調べてみたところ、ウーファーとツィーターのクロスオーバーが、N
S-10Mは2kHz、Ayra Sixは1.9kHzとほぼ同じ帯域。その影響か、両スピーカー共にボーカル近辺の中域が若干小さく聴こえます。作業中に中域の音量感を上げていくと、本機は低域が多く出るため、どうしても全体の音量も上がることになります。しかも音量を上げたときにNS-10Mのように目いっぱいな感じにならないので、どんどん大きくしてしまう可能性があります。大音量がNGな環境では気を付けた方がいいかもしれません。左右のワイド感、各音像の定位、逆相成分の多い音場や不自然な広がりなど、位相の状況はとてもよく分かります。NS-10Mに比べて高域の癖(派手めなサウンド)が無いだけに耳にやさしく、長時間の作業にはもってこいですね。シンセやサンプルなどの超低域も自然に再生し、アタックのある音もタイトに鳴らしてくれます。

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全体的な印象としては、NS-10Mと比べると若干上品で、中低域から低域にかけての表現力/情報量が豊か。かなり好印象です。環境に応じてほかのAyraシリーズも選べますし、コスト面を含めて本当にパフォーマンスが高いと思います。 YO7_2166.jpg 

▲リア・パネルにはXLR/フォーン/RCAピンの各入力端子、入力レベルおよび高域調節ノブを配置


サウンド&レコーディング・マガジン 2012年3月号より)
RCF
Ayra Six
71,400円/ペア
●周波数特性/50Hz~20kHz ●構成/1インチ・ソフトドーム・ツィーター+6インチ・グラスファイバー・ウーファー ●クロスオーバー/1.9kHz ●出力パワー/50W+25W ●最大SPL/108dB  ●外形寸法/225(W)×320(H)×280(D)mm▪重量/8.2kg(1本)