出力切り替えやMultiスイッチなど便利機能満載のオーディオI/O

M-AUDIOFast Track C400
 昨年からちらほら出てきているモニター・コントローラー一体型オーディオI/O。今回レビューするFast Track C400は、同社Cシリーズのエントリー・モデル(Mac/Windows対応)です。テレビ・ショッピングじゃあないですが、"これだけの機能と、使いやすさと、音質で、な、なんと25,000円弱です!""おおおお!"......と思わず電話しそうなくらい魅力たっぷりな製品でした。

フロント/リアに合計4つのアナログ入力
それらをボタンで切り替えられる


本機の外観は、まるでミニ・コンポのように大きなボリューム・ノブが付いていて、オーディオI/Oという感じがしません。しかしこれが良いんですね。今やMP3だったりパソコンのCDドライブ経由だったりと、音楽をパソコンで聴くのが主流。そんな変化もあり、無骨なオーディオI/Oのデザインは似合わなくなってきています。より時代にフ
ィットした形に変化していると言えます。


ボリューム・ノブは回転がスムーズで、細かい音量調整も楽。その上に"1-2""3-4"と書かれたスイッチがあります。これが本機のさらなる特徴で、接続した2系統のモニター・スピーカーを切り替えられるのです。例えばラージ・モニターのみでミックスするとラジカセで聴くとしょぼかったり、逆にスモール・スピーカーだけでは、ラージ・モニターで鳴らすと低音が恐ろしいほど多かったりするもの。だからいろんなスピーカーで均一に鳴るようにミックスしなければなりません。モニター・セレクターはそのためのマスト・アイテム。それが搭載されるのは素晴らしいです。


基本スペックとしては、USBバス・パワーにて駆動可能な24ビット/96kHz対応のアナログ2イン/4アウト仕様。S/P DIF入出力(コアキシャル)も1系統搭載され、合計4イン/6アウトです。フロント・パネルにTRSフォーン端子が2系統装備され、1つはギターなどの入力に対応。リア・パネルにはマイク/ライン入力用のXLR/T
RSフォーン・コンボ端子が2つあり、その隣は4つのアナログ出力(フォーン)です。あれ、入力が多いぞと思った人もいるかもしれませんが、入力はFront/Rearスイッチで切り替えます。リア・パネルにマイクを、ギターなどはフロントの端子へ常に入力したままスイッチで切り替える"挿しっぱなし大作戦"ができるのですごく便利な作り。またリア・パネルにMIDI IN/OUTが装備されているのが良いですね。筆者はまだMIDI機器をたくさん持っているので助かります。


トップ・パネルには、ほかにヘッドフォン・ボリューム・ツマミとMultiスイッチがあります。これは、付属するPro Tools SEなどDAW上の連続した操作を設定し、何回も押すことにより1つのスイッチで工程を再現できる非常に便利な機能。パソコン上で、後述のドライバー・コントロール・パネル内の"MultiButton Setting"を開くと、機能をアサインできます。例えばボタンを何度も押すだけで録音/停止を繰り返すよう設定できるので両手がふさがるギター録音などは特に便利だと思います。上位機種のFast Track C600や一部AVID MBoxシリーズにも搭載される、最近のAVID製品のお家芸みたいな機能と言っても過言ではないでしょう。


中低域がしっかりと鳴り余裕がある音
モニターにDSPエフェクトを使用可能


続いて音質について。ピアノやドラムの録音素材とCDを試聴。さらにボーカルをNEUMANN U87AIで、エレアコをHi-Z入力に挿して試すと、Fast Track C600と同じく中域に力のあるしっかりした音で再生されました。位相の再現性も十分で、A/D時も色付けの無い音質です。マイクプリもひずみ感が少なく、Hi-Z入力したギターも音質変化すること無く、鋭いアタックを拾います。


操作性が良く入力の数や質も十分な本機。しかしそれだけではないのです。本機はDSPを搭載し、パソコン上で内蔵エフェクトを使用したモニター・ミックスなどを設定可能。ドライバー・コントロール・パネルを開くと、3系統の出力に対応するミキサー画面が分かりやすく表示されます。内蔵リバーブは密度が濃くすっと伸びる良い音で、"これって上位機種と同じじゃん"という印象。この値段でこのクオリティのリバーブが付くなんてちょっとサービスし過ぎじゃないですかね。


ここまでを踏まえ、先日ライブで本機を使用しました。4chマルチで出力したかったので、"1-2""3-4"と2系統のステレオ出力を1つのノブで上げ下げできるのがすごく便利。いろんな場面での活躍や期待できると確信しました。ふと見ると、PAの方がライブ録音用にFast Track C600を使用していました。なんだ、みんなご承知なのね(笑)。というわけで、低価格で入門にはお得感満載。イチオシの製品と言えるでしょう。



FastTrackC400_back.jpg



▲リア・パネル。左からUSB端子、MIDI OUT/IN、S/P DIF入出力(コアキシャル)、ライン出力1〜4(フォーン)、マイク/ライン入力(XLR/フォーン・コンボ)。ちなみにフロント・パネルには、ライン入力(フォーン)×2とヘッドフォン出力(フォーン)を備えている


サウンド&レコーディング・マガジン 2012年3月号より)



M-AUDIO
Fast Track C400
オープン・プライス (市場予想価格/23,100円前後)
●接続/USB ●入出力数/4イン、6アウト ●最大ビット&レート/24ビット、96kHz ●外形寸法/220(W)×50(H)×130(D)mm ●重量/568gREQUIREMENTS】

●Mac/Mac OS 10.5.8以降または10.6.1以降、INTELプロセッサー、1GBのRAM、USB2.0ポート ●Windows/Windows Vista(32/64ビット)/7(32/64ビット)、INTEL Pentium 4 2GHz、1GBのRAM、USB 2.0ポート