
8.2kgと軽量な筐体に収められた
チャンネル・コンプや16種のエフェクト
ProFX12、ProFX8が好評だった同シリーズに、16chモデル(モノラル8ch+ステレオ4ch、マイク入力×10)のProFX16(84,000円)と、22chモデル(モノラル14ch+ステレオ4ch、マイク入力×16)の本機が新たに追加されました。本機の外形寸法は639(W)×97(H)×407(D)mm、重量は8.2kgで、EQやエフェクトなどが搭載されているので、アウトボードを用意するための予算やスペースが要らないのです。また同社製品は、"戦車級に頑丈"とうたわれています。もちろん本機も金属製のシャーシに安全に収められ、とても丈夫なABS樹脂製で耐衝撃性に優れたサイド・パネルにより、さらに耐久性が高められています。多少ハードな現場や移動でも安心して使用できるでしょう。そしてもう1つの売りは同社の良質なヘッド・アンプ。こちらは説明する必要が無いほど有名ですが、ハイヘッド・ルーム/ローノイズ・マイクプリの搭載で、クリアでコシのあるサウンドを実現。録音の現場でも同社のミキサーをよく見かけ、実際に音を聴けば、それだけ信用されているのもうなずけます。3バンドEQ(HI/LOはシェルビング、MIDはスウィープ可能なピーキング)はもちろん、マスターもしくはAUX 1にアサイン可能な高性能な7バンドのグライコ、触りやすい60mmフェーダー、100Hzのローカットのほかに、新開発の32ビット・エフェクトRMFXも搭載。ウォーム/ブライトのキャラ選択が可能なリバーブなど16種類用意され、サウンドに空気感を加えます。そしてch11〜14には、スムーズでシンプルなコンプを備えています。アタックとリリースはオート、レシオはあらかじめ6:1くらいに設定してあり、スレッショルドのみをノブでコントロール可能。複雑になりがちなダイナミクスの処理をたった1つのノブでシンプルに実現できるのです。
2イン/2アウトのオーディオI/O機能で
ライブ録りから編集まで対応
今回はアコースティック・ライブにて本機をチェック。まず装備してあるグライコをマスターに設定し効き具合を確かめてみると、ポイントも正確。7バンドなので、Q幅がもう少し広くても良いかなとも思いましたが、ざっくり切れるよりはいいので好印象。続いて内蔵されたエフェクトを試してみますと、Webサイトでうたわれている通り"そのまま使用できそう"なものばかり。"Plate Reverb"は、本物のプレート・リバーブにあまりにも近く、生々しい再現性に驚きました。もちろんマスター以外にAUXにも送れるので、モニターにリバーブを......というリクエストにも応えられます。本機はエフェクト以外にAUXは2系統あるので、(AUX 1/2はプリ、FXはポスト)使い方は自在。この日はデュオ形式の弾き語りばかりだったので、2系統のモニターで対応。ch11とch12をアコギ、ch13とch14を歌にセット。なぜなら11〜14chにはコンプが搭載されていますからね。サビでボーカルが大きくなる場合でも、少しノブを上げてみると、耳障りな音量差もオケに簡単になじむミックスができました。さて本機にはもう1つ重要な2イン/2アウトのUSBオーディオI/O機能があります(Windows/Mac対応)。同梱されている音楽制作ソフトTracktion 3で録音(16ビット/44.1もしくは48kHz)/再生/編集ができるばかりでなく、パソコンにつなげるだけで卓のミックスをパソコンから再生することも可能です。ほかのDAWソフトで使うこともできますし、再生だけならAPPLE iTuneなどでも可能。録音はマスターL/Rまたはサブグループ1/2のどちらかがUSBにアサインされ、2ミックスだけ録音したい場合はマスターを、客席の熱も録りたいならオーディエンス・マイクを立てミックスしたものをサブグループ1/2にアサインするだけでライブ音源が録れてしまいます!
音は良くしたいけど楽もしたい。そんな相反する思想が1台でできてしまう。先日の彼に本機を薦めて、筆者が現場に持って行こうかなぁ(笑)。
▼リア・パネルにはUSB端子が搭載されている

(サウンド&レコーディング・マガジン 2012年2月号より)