9本のムービング・フェーダーを搭載したUSB/MIDIコントローラー

ICONI-Control Pro
リーズナブルで使い勝手の良い製品が魅力のICONからリリースされているUSB/MIDIコントローラー、I-Control。このアップグレード版とも言えるI-Control Proが発売されました。9本のムービング・フェーダー(8ch+マスター)などを搭載したUSB/MIDIコントローラーです。それでは早速レビューしたいと思います!

ミックス時に必要な機能を集約
Mackie Controlプロトコルを採用


まずは外観から。白を基調としたアルミ削り出しの底面パネルを採用し、サイズは392(W)×26(H)×180(D)mmとパソコン用のフル・キーボードとほぼ同じ大きさなので、キーボードやラップトップ・コンピューターと並べて置くのにちょうど良いサイズ感です。自照式の各部ボタンも奇麗なピンク色に点灯するので視覚的にも分かりやすいでしょう。また重量は1.8kgと外スタジオなどに持ち運びするにも苦労はないと思います。続いてざっと本製品のスペックを説明していきたいと思います。まずモーター式タッチ・センシティブ・チャンネル・フェーダー(100mm)が8本と、独立したマスター・フェーダーの計9本のムービング・フェーダーを装備。フェーダー上部には9個のロータリー・エンコーダー(パンなど)、各チャンネルにはセレクト/ミュート/ソロ/録音のボタン、トランスポート、ジョグ・ホイール、方向指定できるズーム・ボタン×2、トラック・セレクト×2、バンク・セレクト×2、レイヤー・ボタンは後述するマッピング・ソフトを使用すると、好みの設定が4つまで組めるようになり、それを切り替えるためのボタンです。ミックス時に必要となる基本機能が瞬時に操作できるレイアウトで、スペック的にも申し分ないでしょう。また、サイド・パネルにはICON I Series製品をデイジー・チェイン接続するUSBコネクターがあるのも特徴でしょう。DAW側(STEINBERG Cubase/Nuendo、MAGIX Samplitude、APPLE Logic、ABELTON Liveに対応)とのプロトコルは汎用性の高いMackie Control仕様に準拠しているため、すぐに使用可能(今後HUIモードを追加予定とのこと)

簡単な設定ですぐに作業できる手軽さ
レスポンスの良いムービング・フェーダー


では実際にWindowsマシンとCubase 6の組み合わせでチェックしていきたいと思います。本製品のポイントであるモーター・フェーダーが9本も搭載されている関係上、電源の供給はUSBバス・パワーではなく付属の電源アダプターを用います。バス・パワーでもムービングしない状態での駆動はできるようですが、メーカー推奨ではないようなので電源アダプターは必須です。次に本機をコンピューターに接続する前にマッピング・ソフト"IMap"をインストールし、本機とコンピューターをUSB接続すればドライバーを自動で認識してくれます。いよいよ使用ですが、その前に"IMap"って何?と思われた方もいると思うのでザックリ説明すると、DAWのMIDI機能をコントローラー側にマッピング(割り当て)して操作することができるソフトです。既に同社製品のユーザーは使い方をご存じだと思いますが、本製品もこの"IMap"でDAW側とのやり取りを先ほど紹介した4つあるレイヤーに設定していきます。レイヤー1には使用しているDAWのMackie Controlを設定する固定のレイヤーで、今回はCubaseなので"Nuendo/Cubase(Mackie Control)"を選択し、レイヤーの2〜4(ユーザー定義モード)にはDAWのMIDI機能を割り当て、MIDIデバイス設定の後に"Send Data"ボタンにて本機に設定を書き込みしてソフトを終了します。この時点で本体側に書き込みがされており、次回"IMap"を立ち上げて書き込まれるまでは設定を保持しますので、電源オフにしてもOK。基本的にはレイヤー1の設定のみで十分なのですぐに設定して作業を始められる点はお手軽で良いと思います。Cubaseを立ち上げてリモート・デバイス設定をMackie Controlにすれば、すぐにフェーダーが立ち上がり準備OKです。実際の操作感ですが、フェーダーのデータ書き込みや曲を走らせたときのレスポンスは非常に良く、コスト・パフォーマンスは高いと言えます。そのほかボタン類、ノブ(パン)ジョグ、ズーム・ボタン、トランスポートに関しても非常に良いレスポンスで、快適に操作でき好印象でした。ほかのDAWでもいろいろと使い勝手の良い機能がプリセットされていると思いますが、Cubaseのプリセットで便利だった点を幾つか紹介します。まずはチャンネル・セレクト・ボタン2度押しでチャンネル・エディット画面を表示でき、そしてその状態で8つあるロータリー・エンコーダーでEQのエディットが可能。さらにマスター・フェーダー横に4つあるボタンがミキサー画面に表示されたトラックを選択するセレクト、選択されたチャンネルのオートメーションRead/WriteのON/OFF、マスター・フェーダーのロックになっている点などでした。現時点での総合的な評価としては、若干"IMap"のレイヤーの2〜4(ユーザー定義モード)の設定がもう少し簡単だと良いかなと思いました。それ以外は機能、コスト・パフォーマンス、デザイン、サイズなどを考えると非常にバランスが良く高評価です。数あるUSB/MIDIコントローラーでどれを導入しようか迷っている人は、ぜひ候補に入れてみてはいかがでしょうか?

▼サイド・パネル。左から電源コネクター(5V)、USB入力(ミニBタイプ)、USB出力(標準タイプ)




サウンド&レコーディング・マガジン 2012年2月号より)

撮影/川村容一(サイド・パネル)

ICON
I-Control Pro
34,650円
▪外形寸法/392(W)×26(H)×180(D)mm▪重量/1.8kg

▪Mac/Mac OS Ⅹ以降、INTELプロセッサー▪Windows/XP/Vista(32ビット)/7(32/64ビット)