カプセル交換で個性豊かなサウンドが得られるコンデンサー・マイク

VIOLET DESIGNGlobal Pre II
最近The Flamingoというマイクを録音シーンの映像などで見かけることが多くなっていて、気になっていました。この最高クラスのThe Flamingoをはじめ、数々の高品質かつ個性的なマイクを製作しているラトビアのVIOLET DESIGNからGlobal PreⅡが発売されました。これはAKG C12、NEUMANN U47、U67といったビンテージ・マイクのサウンドを後述する別売カプセルと組み合わせて再現できるGlobal Preの改良型になります。

ずっしりした高級感あふれる作り
カプセルの着脱も容易


先日ロサンゼルスで活動するアメリカ人のエンジニアと話したところ、最近の海外のポップス・シーンでは、特に歌の録音において、滑らかなサウンドを持つNEUMANNなどのクラシックなマイクよりも、程良くザラついた質感を持つ現代のマイクを好んで使うエンジニアが増えているという話を聞きました。そうした流行も踏まえながら、幾つかの音源でテストしてみました。まず簡単にルックスとスペックから。Global Pre II自体のサイズは、おおよそ握りこぶし大とかなりコンパクトで、持ち運びが楽になっています。大きさの割にはズッシリとしており、しっかりした作りになっているのが分かります。電源は48Vファンタム、周波数カーブは当然カプセルによって違うのですが、全体的に現代のマイクらしく、50Hz/2kHz/10kHzあたりが少し強調されたカラーのものが多いようです。もちろんフラットなキャラクターのカプセルも用意されており、幾つか買いそろえれば目的に応じて使い分けられるようになっています。カプセルの取り付けは差し込んでひねるだけと極めて簡単。装着のシステムはとてもしっかりしていて、接触不良などの心配もなさそうです。本体での指向性の切り替えはできず、それぞれのカプセルに準拠。また、今回のバージョン・アップで−14dBのPADスイッチが付いており、かなり大きな音量にも対応できます。

ビンテージの個性を受け継ぎつつ
現代的な抜けの良いサウンド


か、BLUEのBシリーズなどとの互換性もあるとのことですが、今回はVIN12(126,000円)、VIN47(136,500円)、VIN67(136,500円)の3種類の単一指向性カプセルが届いたので、それらを幾つかの音源でテストしてみました。まずはドラム・セットの正面に立て、少しコンプをかけてみたところ、VIN47でかなりクリアでタイトな気持ちいいサウンドが得られました。これはモデルになっているU47で得られるサウンドと同じ傾向のキャラクターで、太さや温かみではさすがに実機に負けますが、逆にすっきりしているのでコンプをかけて使用する場合は使いやすいと思いました。次に男性ボーカルで試したところ、3機種ともクリアに前に出てくる印象。VIN12はかなり高域が明るいのに対して、VIN47はもう少し滑らかでフラット。VIN67がその中間のような印象でした。次はアルト・サックスとアコギに立ててみました。今度はU87と比較してみたところ、音が明るい順にVIN12→67→47という印象は変わらなかったのですが、個人的にVIN67が非常に好印象で、このときはU87よりも良いと感じました。より解像度が高くサックスの倍音の響きやアコギの弦のニュアンスをうまくつかんでくれ、低音から高音までのバランスが整っています。全機種を通じて良いと思ったのは、強い音圧が来ても出力レベルが暴れないこと。特に中低域の膨らみがうまく抑えられているようです。これならばコンプレッサー無しでも録音しやすいですし、またコンプをかけたい場合も、かかり方がかなり安定するはずです。一通り試してみて、個人的にはVIN67との組み合わせが気に入りました。本製品は手軽に複数のキャラクターをそろえられるのがとても便利。クリアで抜けの良い音質は派手なアレンジの中でもしっかりボーカルを前に出すのに適していそうなので、特に女性ボーカルに試してみたいと思いました。カプセルを交換できるという便利さもさることながら、高価なマイクに劣らない基本性能の高さがあり、ビンテージの代用ではなく、あくまでそのキャラクターを受け継いだ新しいタイプのマイクとして、非常に良いと思いました。 201201_GlobalPre_II_01.jpg▲背面には新たに−14dB PADスイッチを搭載 
VIOLET DESIGN
Global Pre II
99,750円
▪対応カプセル/VINシリーズ※BLUE Bシリーズ・カプセルほかとも互換▪外形寸法/62(W)×62(D)×60(H)mm▪重量/264g(実測値)