XMAXマイクプリを2基搭載しコンパクトさが魅力のオーディオI/O

PRESONUSAudio Box 22VSL
PRESONUSのAudio Boxシリーズから新たにVSLシリーズとして3モデルが登場。18イン/18アウトのAudio Box 1818VSL、4イン/4アウトのAudio Box 44VSL、2イン/2アウトの22VSLというラインナップだ。今回はより手軽に導入できる22VSLを紹介しよう。

新開発のミキサー・ソフトにより
低レイテンシーでの録音が可能


本機は2イン/2アウトのUSB2.0対応のオーディオI/Oで、24ビット/44.1/48/88.2/96kHzのサンプリング・レートでの録音ができる。フロント・パネル左にはXMAXクラスAマイクプリを搭載した2系統のマイク/ライン入力端子(XLR/フォーン・コンボ)を備え、出力端子(フォーン)とヘッドフォン出力端子、MIDI IN/OUT端子(1系統)はリア・パネルに装備する。フロント・パネルで操作可能なツマミは2系統の各ゲイン調整、Audio Boxの出力を調整するMain、Audio Boxに入力された信号とDAWからの音のバランスを調整するMixer、ヘッドフォン・レベルの調整と48Vファンタム電源スイッチ。サイズは非常にコンパクトで、ギター用のコンパクト・エフェクターを2台並べたよりも小さい。パソコンとはUSBで接続し、バス・パワー駆動のため配線回りもシンプルに収められる。Audio Box 22VSLはStudio One ArtistというDAWソフト、デジタル・ミキサー機能を持つコントロール・ソフトのVirtual Studio Live(以下VSL)も同梱している。そのVSLのデジタル・ミキサー機能を交えながら見ていこう。まず、付属するStudio One Artistを起動し、続けてVSLアプリケーションを立ち上げてみた。よくあるアプリケーション・タイプのミキサー画面だが、配置やデザインがよくできており視認性も良い(画面①)。画面からも分かるようにVSLにはDAWの入力チャンネルのほかにFX A/Bというチャンネルが確認できる。ソフト上でモニターおよびレコーディング時にリバーブ、ディレイといったエフェクトをかけられる機能だが、普通こういったミキサーでエフェクトをかける場合はパソコンの負荷を減らすためにハードウェア側のDSPで処理するものが多い。しかしVSLでは、OSの中核であるカーネル・レベルで実行するソフトを新開発し、その結果CPUを占有する動作で低レイテンシーを実現。これにより各入力チャンネルにあるゲート、コンプ/リミッター、セミパラメトリックEQ、ハイパス・フィルター、フェイズ・スイッチなどのエフェクトのかけ録りにも対応する。

▼画面① Virtual Studio Live(VSL)画面。右側の"SCENE""FAT CHANNEL""FX"のタブをクリックするとVSL内に格納されたプリセットが開く。FAT CHANNELには楽器、ボーカル録音に適した50種類以上のプリセットを収録



とてもナチュラルで抜けのいい音色
表現力が増す楽器系のプリセット


まずはコンデンサー・マイクを使いアコギを録った。非常にナチュラルな抜けの良い音色で、低域/中域/高域に突出した個所はないが、アルペジオなどの小さな音量でもクリアに録れて、遠くの音も収めるといった印象。演奏の強弱を考えて低めにゲイン設定してもしっかり録音できる。次にエレキギターを使ってVSLで何種類か音色を作ってみた。ダイレクトにギターからAudioBox 22VSLの入力端子に接続してゲイン・コントロールを2時くらいまで上げると音が程良い量感になった。何も調整していないサウンドは非常にクリアで少し中低域に押しがあるように感じる。その後コンプを気持ち深めにかけ、EQでハイを少々カットしローを少し持ち上げるとファットなジャズギター風の音色になり、個人的には好みだ。VSLの画面右の方にユーザー・プリセットがあったので幾つか試してみた。"GTR_Funk"と書かれたプリセットを読み込ませてみると、ハイは3.13kHz辺りからナローにブーストされ、低域は90Hz辺りからカットされている。コンプも浅めに調整され、アタックは速めに設定されていてカッティングに向いた音作りがされている。ギター以外にもベース、ボーカル、ドラムなどのソース用にプリセットを備え、それらを呼び出すのは任意のファイルをチャンネルにドラッグ&ドロップするというユニークな方法で、直感的に扱えそうだ。冒険だが試しにAudio Boxのゲインをいっぱいまで上げてみた。バリバリ鳴りだすかと思いきや、これが意外にいい! オーバードライブ・サウンドとディストーション・サウンドの中間と言った感じでパワーのあるシングル・コイルかハムバッキング・タイプのギターではかなりのバリエーシェンが作れるのではないか?と思うほどいいひずみだった。EQでハイをカットして300Hzと1kHz辺りを少々ブーストして軽くルーム・リバーブをかければかなり雰囲気の出るサウンドが仕上げられる。エフェクターではないがこういう思い切った使い方も面白いだろう。注意点としては、VSLのチャンネルを通った音色の録音は可能だがFX A/B(リバーブ/ディレイ)の出力はモニターのみで、録音はできない。20,000円前後ですぐに本格的なレコーディング環境ができるというこのパッケージは、ハードウェアとミキサー機能のVSLとのコンビネーションで想像以上のパフォーマンスが可能だ。特に自宅やリハスタでの録音をメインに考えているミュージシャンには喜ばれるのではないだろうか。

▼リア・パネル。左からUSB端子、MIDI IN/OUT、アナログ出力(フォーン)、ヘッドフォン出力(ステレオ・フォーン)




サウンド&レコーディング・マガジン 2011年12月号より)
PRESONUS
Audio Box 22VSL
オープン・プライス (市場予想価格/ 20,000円前後)
▪外形寸法/150(W)×44(H)×158(D)mm▪重量/700g

▪Mac/Mac OS Ⅹ 10.6以降(10.7対応)、INTELCore Solo 1.5GHz以上のCPU(Core DuoまたはXeon推奨)、1GB以上のRAM(2GB以上推奨)▪Windows/Windows Vista(64ビット)/7、INTELPentium 4 1.6GHz以上のCPUまたはAMD Athlon64(2.8GHz以上推奨)、1GB以上のRAM(2GB以上推奨)