
プリセット曲を基にトラックを作る方式
最大2trのボーカル録音が可能
The T-Pain Effectには3つの音楽制作ソフトが同梱されています。その内容はシンプルな仕様のDAWソフト"The T-Pain Engine"、T-Painの代名詞とも言えるAuto-Tuneのケロリが簡単に作り出せるプラグイン・エフェクト"The T-Pain Effect"、APPLE iOSアプリとして大ヒットしたリズム・マシンiDrumのプラグイン・バージョン"iDrum:T-Pain Edition"となっています。まずはThe T-Pain Engineを立ち上げます。このDAWソフトでは、プリセットの楽曲を編集することでトラック制作が行えます。また、ボーカル向けのモノラル・トラックが2tr用意されているので歌録りも可能。画面左側に位置する"CHOOSE A TRACK"セクションには"BEAT""VOCAL 1""VOCAL 2"といった3つのタブが配置されており、いずれかを選択することで編集したいトラックにアクセスできます(画面①)。 ▲画面① The T-Pain Engineの"CHOOSE A TRACK"セクションでは"BEAT"=プリセット楽曲、"VOCAL 1""VOCAL 2"=2trのボーカル・トラックなど、編集したいトラックを選択できる。また、"LOADED BEAT"セクションにはロードしているプリセットの名称を表示可能 まずは"BEAT"タブをセレクトします。すると、その下に位置する"LOADED BEAT"セクションがプリセットの楽曲を読み込める状態になります。楽曲は計53種類用意されていますが、その内容はレゲエ的なものからサウスっぽいゴリゴリのヒップホップ、そしてT-Painのおはこであるメロディアスでアップ・テンポなR&Bまでバリエーション豊か。クリアかつクリスピーな音使いはいかにもT-Painらしく、感心してしまいました。画面中央には、オーディオ編集セクションを配置(画面②)。プリセットの楽曲をロード/エディットするためのステレオ・トラックが配置されるほか、ボーカルを録音/編集できるモノラル・トラックが2tr用意されています。前述の"LOADED BEAT"セクションでプリセット楽曲を読み込むと、ステレオ・トラックにイントロや平歌、サビといったブロック単位に分かれた状態で表示されます。各ブロックは元の位置から自由に動かせるため、高品位なトラックを短時間で作成できそうです。
▲画面② オーディオ編集画面には3系統のトラックを表示。それぞれ、プリセット楽曲(上段)、ボーカル(中/下段)となる。プリセットは"Intro"(イントロ)や"Chorus"(サビ)などブロックに分かれていて、順番の入れ替えが可能 ボーカル向けトラックには、外部から音声を録音することができます。オーディオI/Oからはもちろん、パソコンに標準搭載されているマイク・インからも音声入力できるので、気軽にレコーディングが楽しめると思います。またボーカルの録音結果について、"全体的にはOKだけど、一部分だけ修正したい"と思うことはよくあるでしょう。その場合は修正したい個所をドラッグし範囲を指定。録音ボタンを押してレコーディング始めると、選択した部分だけが上書きされます。これは"パンチ・イン/パンチ・アウト"という録音手法に相当するものですが、同様の結果をいとも簡単に得られるので少し楽しくなっちゃいました(笑)。
ピッチ補正のケロリ感を簡単に作成
楽曲はSoundCloudに直接アップ可能
画面右側には本製品の目玉でもあるプラグイン・エフェクト、The T-Pain Effectのエディット・セクションが組み込まれています(画面③)。このプラグインはVST/RTAS/Audio Units/DX/MASに対応し、主要なDAWソフトでも扱えます。The T-Pain Engineの中ではボーカル・トラックにインサートされており、録音状態にすると入力音声をピッチ補正的なエフェクトがかかった状態でモニターできます。また、そのかかり具合もこのセクションにて調整可能。"SOFT"から"HARD"までを、フェーダーでコントロールできます。


16ステップ・シーケンサーを搭載
音色のピッチやディケイなども調整可能
最後にリズム・マシンの"iDrum:T-Pain Edition"を見ていきます。VST/RTAS/Audio Units/MASに対応し、多くのDAWでも動作するこのプラグインは、The T-Pain Engineの"EDIT IN iDRUM"ボタンから立ち上げることができます。まずは画面左上のウィンドウからThe T-Pain Engineにプリセットされた楽曲をロード。画面左側に並んだトラックへ、楽曲で使われている音色を個別に表示します。また、このリズム・マシンは16ステップ・シーケンサーを搭載。初期設定では1拍が4つに分割されており、操作画面で一覧できるのは1小節となっています。プリセットの楽曲を細かく編集したり、一から自分でパターンを作ることができます。また、各トラックの音色は差し替え可能。ロードされていないプリセット楽曲から任意の音色を選んで割り当てることもできれば、自分で作成したオーディオ・ファイルも読み込めます。"他人と一緒じゃ絶対イヤだ!"という真のクリエイターにうってつけの機能ですね。しかも各トラックはソロやミュート、ボリューム、パンといったミキサーの基本機能まで備えています。さらに、画面左下の"INFO"ボタンで開く"Info Panel"では音色のピッチやディケイを調整できるほか、ハイパス/ローパス・フィルターも制御可能(画面⑤)。ビット・レートの設定までできるのには驚きました(初期設定は32ビットとハイレート!)。
