ステレオ/モノ切り替えスイッチが付いた軽量DJ用ヘッドフォン

PIONEERHDJ-1000-K
先日DJする際に、前回DJをしたクラブにヘッドフォンを置き忘れてしまい、その日は人のヘッドフォンを借りたのですが、これが意外としっくりと来ず。やはり微妙な材質の違いやフィット感などでやりやすさが全然違うなと思っていたところに、ちょうど編集部からHDJ-1000-Kのレビュー依頼を受けまして、興味深く試させていただきました。DJ向けヘッドフォンとのことで、その視点でレビューしてみようと思います。

軽いのにずっしりした作り
付属する専用ケースもうれしい


まず届いたケースに入ったまま持ってみた印象は"おっ、軽い"という感じ。DJのために遠くへ移動することも多いので、とりあえず好印象です。開封してヘッドフォンのみを持つと、"おやっ、意外とずっしりしっかりしているな"という感想。矛盾しているのですが実際そう感じました。軽くても壊れやすいのでは持ち運ぶ物として心配ですし、これまた好印象です。そして一番気になるポイントとしてはやはり耳へのフィット感であります。ヘッドフォンをバッチリ耳へ当てたときは、"音がしっかりと聴こえるか"は当たり前として、DJ時の動きとしては以下のような動作がポイントです。●ヘッドフォンを耳から半分くらいずらしてスピーカーの音を同時にモニターしたい
●さらに耳からずらして、外音も聴きつつ、ほとんどヘッドフォンの音を聴きたい
●瞬時にヘッドフォンの音のみにして確認したい
●瞬時にヘッドフォンを全部外したいですので、個人的には、音質や形状、その他もろもろが良かろうが悪かろうが、自分の耳へのフィット感が良いかどうかがヘッドフォンにとって一番大事とも言えるのです。先日、人のヘッドフォンを借りたときは、軽く着けた分には違和感が無かったのですが、実際DJしてみると、耳の覆い方や材質、可動性などのポイントが重なり、その微妙な聴こえ方が、慣れ親しんだ自分のヘッドフォンとは違いしっくり来ませんでした。しかし本機を装着してみたところ、筆者にはバッチリ良い感じで"アタリ!"とさらに好印象です。また、もう一つ気に入ったポイントは折り畳み式でコンパクトになることと、専用の袋が付いているので、持ち運びが非常にスマートなことです。できるだけ荷物をコンパクトにしたいので小さくなるのはありがたいですし、意外と持ち運んでいるうちにいつの間にかボロボロになったりしやすいので、袋が付いているのもうれしいです。

ハウス〜テクノといった打ち込み系の
ロング・ミックスに最適なチューニング


"これは行けそう! 実際にクラブで使ってみよう!"というわけで、週末、金~土曜日と本機を実際に使ってDJをしてみることにしました。音質については、高音の伸びは少し物足りないものの、ハウス~テクノなどでちょうどキックが鳴る位置周辺が聴き取りやすくチューニングされている印象。低音の存在感がバッチリです。生音のバンドものやヒップホップなどより、打ち込み系でキックの4つ打ちを長く混ぜていくジャンルのDJに使いやすそう。著者も基本的には4つ打ちを混ぜていくかけ方なので問題ありません。さらに実際に使ってみた印象なのですが、いつも使い慣れた自分好みのヘッドフォンと何らそん色が無く、実際のところ、新しいヘッドフォンを試しているというのも忘れて普通に使っていたのでした。著者はDJMやCDJなど同社製品を愛用しているのですが、その印象と近く、クセが無くて安心して使える印象です。また頭への装着感に関しても同じくクセが無く、今回試している中で、着け心地などに違和感も感じませんでした。音質自体は前述の通り、クラブでのDJに特化した低域重視の印象もあり、自宅での制作用モニターとしては、フラットではないので、好みの分かれるところかなという気もしました。しかしマッシブな鳴りと、音漏れの少なさ、耳へのフィット感の良さなどは、大音量でのダンス・ミュージックのリスニングにも良いかもしれません。また今回はあまり深く試さなかったのですが、イアパッドの横に入力音のモノ/ステレオ切り替えスイッチが搭載されており、どちらかのチャンネルに寄った音を片耳でモニターする場合はもちろん、楽曲制作時にも定位を決めるときの意外な発想に効果を発揮するかもしれません。どんな着け心地が良いかというのはかなり個人差がありそうな気はしますが、そのようなことを加味しても、さまざまなポイントでよく練られているさすがの一品であります。 
PIONEER
HDJ-1000-K
オープン・プライス (市場予想価格/ 20,000円前後)
▪形式/密閉型▪再生周波数帯域/5Hz〜30kHz▪重量/270g(コード含まず)