PERALの70'sビンテージ・シンセ・ドラムをサンプリングした素材集 - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

WAVE ALCHEMYSYNCUSSION DRUMS

大島輝之／sim

PEARLから1979年にリリースされ、今やビンテージとなっているアナログ・シンセ・ドラムSyncussion SY-1。この度、クラブ・ミュージック向けのライブラリーを中心に発表しているWAVE ALCHEMYから、本機のサウンドをサンプリングした素材集が発売された。このライブラリーはシングル・ヒットのみで構成されているため、"ループ素材を使うよりも、単発のサウンドを組み合わせて独自のリズム・パターンを作りたい"という人には、特に重宝する一品だろう。

収録サンプルには肉厚なキックや"レトロな電子音"といった趣のタム、高域に乗った微弱なノイズが特徴的なスネアやハイハットなど、アナログの味を生かしたドライ・サウンドが満載。さらに、サンプラーのE-MU SP12に一度取り込んでローファイ化させたものやテープ・レコーダーのSTUDER A80を通して質感を出した音色、飛び道具的なエフェクトをかけたサウンドなども含み、総数1,885種類が用意されている。各音色を組み合わせてトラックに幅を持たせることができる上、これだけ膨大かつ多彩なサンプルが収められているのだから、当然クラブ系の音楽以外にも使っていけそうだ。収録形式にはWAVのほか、各種サンプラー用パッチがそろう。

試しに幾つかの素材を選びループを組んでみたのだが、ほとんどエフェクトをかけずとも実に高品質なものを作ることができた。こうした単発素材については私もよく作曲で使っているが、一筆書きのように何となく並べていくことで固定観念にとらわれないループ作りができるだろう。

とにかく収録音色の幅が広い本ライブラリー。さまざまなジャンルや状況で使いやすく、例えば"フォーク調の楽曲にダブ的なサウンドのリズム・パートを持ってくる"といったようなトリッキーな音使いでも、効果的かつ自在に機能してくれそうだ。ぜひ、お試しあれ。