4種類のエフェクトを組み合わせて音作りできるKaoss Pad最新機種

KORGKaoss Pad Quad
パフォーマンスの良さでロング・ヒットとなっているKaoss Padに、新製品が登場。本機の特徴は最大4種類のエフェクトをタッチ・パッドで一度に扱えることです。早速、見ていきましょう!

20種類/4系統のエフェクトを搭載
アナログ・タンテをイメージした新機能


本機に搭載されたエフェクトは全20種類。これらは4セクションに分類され、トップ・パネル上部のボタン群に1つずつアサインされています。まず、セクション1にはループ系エフェクトを集約。基本的なルーパーをはじめ、本機で新搭載された"VINYL BREAK"などがそろいます。次に、ひずみ系のセクション2にご注目。こちらには入力された音の裏拍を強調するという新搭載のコンプ、"DUCKING COMP"が用意されています。セクション3にはフィルター系が搭載されるほか、セクション4では空間系がそろっています。一方、操作子についてはラインの入力ゲインを調整する"INPUT VOLUME"やエフェクトの深さを制御可能な"FX DEPTH"など、必要最低限の構成。Kaoss Pad KP3に搭載されていたMIDIやUSB関連の機能は省かれています。さて実際に自分のトラックを使い、その効果をテストしました。まずはセクション別にエフェクトを使用。どのエフェクトも効果の変化が非常に分かりやすい! ボタンのサイズが大きく、エフェクトを選んだときの視認性も抜群です。エフェクトを選択していない状態では、入力音のリズムに合わせて、タッチ・パッドのLEDが白く発光。エフェクトを1つ選択すると光が色を変え、2つめのエフェクトを選ぶことでその光が2種類の色に分かれます。LEDがどんな色に点灯するは、そのときによってまちまち。そして、同時に選ぶエフェクトの数が増えるに従い、LEDの光が強くなっていきます。またこれらのLEDは、指の動きに連動して発色の仕方を変化させます。プリセット・エフェクトの中では、ループ系が特に秀逸。グルーブを保ったまま、的確なタイミングでループのカット・インができました。さらにタッチ・パッドに指を滑らせるだけで、ループ・フレーズの長さを瞬時に変更可能。他社製品を含め、ループ機能を持ったマシンの中ではかなり有機的なプレイが実現できる機種だと思います。そして前述の新搭載エフェクト、"VINYL BREAK"。ターンテーブルでレコードを扱う際に得られる、逆回転や早送りのような効果を実現できるほか、スクラッチ的なプレイも可能です。

きらびやかな音色のフィルターや
ミステリアスなミュートなども生成可能


さて、Kaoss Pad Quadの本領発揮はここから! エフェクト4系統の同時使用です。筆者が引かれたパターンを2つほど紹介しましょう。まずは、任意の音を非常に短い時間サンプリングして連続再生させるループ系エフェクト"GRAIN SHIFTER"とひずみの"DIST"、ハイパス・フィルターの"HPF"、そして"DELAY REVERB"を組み合わせてみました。すると、まるで流れ星のようなキラキラした音色のフィルター・エフェクトが完成! タッチ・パッドを座標系に見立てると、X軸/Y軸それぞれにパラメーターが割り当てられているようで、左下隅から右上隅までをなぞることで、この効果が得られました。次に、"VINYL BREAK"と"FLANGER"、"PITCH SHITER"、さらに"REVERB"を合わせ、指を滑らせながら動きを止めていくと、いきなりどこかの異空間に音がさらわれてしまったかのような、不思議なミュート効果が得られました。どのパラメーターも、複数のエフェクトを組み合わせることを前提に割り当てられていると思うので、どんなタッチ・パッド操作でも音楽的に響きます。一方、パッドから指を離せばエフェクトは解除されますが、各セクションに搭載のFREEZE機能を使うと指を離しても効果が持続します。その際、FREEZEをかけていないセクションのエフェクトを調整することも可能。筆者はABLETON Liveのマクロ機能で、複数のエフェクトを同時に操作できるようエフェクト・ラックを作りますが、同様のことが実に直感的にできて驚きです。操作性やエフェクトの内容、無駄の無い設計は、特にステージで力を発揮するでしょう。初めて触る人でもなじみやすそうな上、玄人向けの効果も演出可能な素晴らしい一台だと思います。

▼リア・パネルには左側から、ヘッドフォン・ボリューム、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)、電源スイッチ、ACアダプター接続端子(9V)、ライン・アウトL/R(RCAピン)、ライン・インL/R(RCAピン)、ダイレクト/センド切り替えスイッチ、マイク入力ゲイン、マイク・イン(フォーン)




サウンド&レコーディング・マガジン 2011年4月号より)
KORG
Kaoss Pad Quad
31,500円
▪内蔵エフェクト数/20種類▪AD/DA/24ビット・リニア▪サンプリング周波数/48kHz▪外形寸法/185(W)×44(H)×213(D)mm(ツマミの高さを含む)▪重量/754g