
名機と呼ばれるモデルはほぼ網羅
プリアンプも6種類を用意
使用にあたっては、対応するLINE6のUSBオーディオ・ハードウェアもしくは、iLokによる認証が必要だ。スタンドアローン、RTAS/Audio Units/VSTプラグインとして動作する。製品には通常のPod Farm 2とPod Farm 2 Platinumがあるのだが、違いは単純にそれぞれのモデルの種類と数の違いとなっている。ここではPlatinumをベースに説明しよう。モデルの種類は大きく分けてギター・アンプ、ベース・アンプにそれぞれキャビネット、ストンプ・ボックス、オーディオ・エフェクト、マイクプリアンプとなっている。ギター・アンプの基となるモデルは、MARSHALL、VOX、FENDER、MESA/BOOGIE、ROLANDなどのおなじみのものから、ORANGE、DIEZEL Herbert、GRETSCH、など幅広いジャンルに対応している。それぞれのメーカーは、年代やモデルによって分けられている。またLINE6オリジナルのモデルも複数用意される。その数合計で何と78種類(!)ものアンプを用意。ベース・アンプだけでも28種類も装備されている。スピーカー部分のキャビネットもギター、ベース合わせて46種類。またそれぞれにマイクを4種類から選べるので、アンプとキャビネットとマイクの選択だけでも膨大なことになる。ストンプ・ボックスは、いわゆるコンパクト・エフェクターでこちらも種類は多い。コンパクトの部類では収まらないオーディオ・エフェクトも加えると97種類のエフェクトを搭載。名機と呼ばれるモデルは、ほぼ網羅されている。Pod Farmのオリジナルな部分としては、プリアンプ部が挙げられる。マイク・プリアンプは最近プラグインでは人気の分野だが、ギター関係のシステムに入っていることはあまりなかったことと、単体だと比較的高価なものが多かったため、ユーザーによってはこの部分に魅力を感じる人も多いだろう。NEVE、API、SSLなどを参考にした6種類のモデルを搭載している。なおモデル名に製品名は書かれていないので、最初は戸惑うかもしれないが、画面を見れば一目瞭然(りょうぜん)なので、実際のモデルをよく知っている人はすぐ分かるだろう。またPod Farm 2では、Dual Toneという機能があり、2系列のチェーンを使いこれらのアンプ/エフェクターを自由に組み合わせて配線を行うことができる。
直感的な操作が魅力のインターフェース
個別にアクセスできるElements機能
基本画面の中央上部から各モデルを選んで選択する(画面①)。




各モデルのサウンドを忠実に再現
MIDIコントロール可能なパラメーター
今回はAVID Pro Tools HDシステムでRTASプラグインとして実際に使用してみた。Pro To
olsの場合、RTASプラグインはオーディオ・トラックにインサートするとレコーディング状態では強制的にバイパスされてしまうので、いったんAUXトラックに立ち上げ、録音はそのトラックをバスアウトにして別のオーディオ・トラックに録音することになる。ゼロの状態から、モデルをスクロールし、まずアンプを選ぶ。コンボ・アンプを選んだ場合はそのままマイクが、アンプ・ヘッドを選んだ場合は自動的にそのアンプに合ったキャビネットとマイクが現れる。ここで例えばキャビネットだけ変更したいという場合は、新しいキャビネットを選択して下のそれにドラッグするだけだ。各モデルの上にはバイパス・ボタンがあるので、キャビネットをバイパスにしてスピーカー・シミュレートを使わないということも可能。キャビネットのエディット・モードでは、マイクの選択、設置場所なども変更でき、用意されているマイクは代表的なダイナミックとコンデンサーの4種類(画面⑤)。

▲画面⑤ マイク・モデルは上からSHURE SM57 On/Off Axis、SENNHEISER MD 421、NEUMANN U67肝心のサウンドは、アンプ部のチェックだけであまりの数に少々驚いてしまった。ストンプ・ボックスにもひずみ系は用意されているが、それほど種類は多くなく、ひずみはアンプで作ることを前提にしているせいか、かなりえぐいものもあった。個人的にはVOXのクランチ系がなかなか"ジャキジャキ"していて気に入った。クリーンではROLAND JC-120のモデルがかなり特徴をとらえていた。ストンプ・ボックスは各ジャンルこだわりの音をきちんと再現している。筆者はLINE6のPodシリーズやMシリーズなども使っているため、音の傾向はやはりそれに近い印象だ。フィルター系、モジュレーション系はどれもばっちり使えるサウンドだ。プリアンプは、アンプとの組み合わせで最終的に音作りをするのに役立つ。EQとして使うことになるが、それぞれの効きが違うため、いろいろ試してみるといいだろう。
プラグインの各パラメータは、ほぼすべてMIDIコントロールが可能。プラグインで使うなら、DAWの機能としてのオートメーションを使う方法もあるが、気軽に外部シンセやフット・コントローラーなどのMIDI機器からコントロールできるのは便利だ。コントロール・ナンバーのアサインもMIDI Learn機能でお手軽なので、ソフト・シンセ類を使っているユーザーではなく、生主体のギタリストでも楽に使えるだろう(画面⑥)。

▲画面⑥ MIDIコントール画面。各パラメーターはMIDI機器での操作が可能
