24ビット/96kHzで8トラック同時録音可能なポータブル・レコーダー

TASCAMDR-680
ライブ・レコーディングにも使えそうなポータブル・レコーダー

TASCAM DR-680 オープン・プライス(市場予想価格/100,000円前後)TASCAMから新しいレコーダー、DR-680が出たので、早速チェックしてみましょう。本機は、24ビット/96kHzで6トラック+ステレオ・ミックスが録音できるポータブル・マルチトラック・レコーダーです。

単三電池8本で動作可能でどんな山奥でも安心


まず持ってみると軽い! 電池無しで1.2kgしかないんです。この軽さは特に外に行ったときはとても大事。付属品にしっかりストラップが付いているのもうれしいですね。電源はACアダプター、もしくは単三電池8本で動きます。アルカリで約4時間、ニッケル水素では4.5時間の録音ができるようです。電池駆動というのもやはり重要で、どんなに山奥に行っても売店で電池は必ず売っていますから安心ですし、持っていこうと思えばかなりを数を持って行けます。バッテリーが重いのは本当につらいですからねー。まずはトップ・パネルを見てみましょう。電源のSTANDBY/ONボタン、INPUT切り替えスイッチとMIC GAINの切り替えなどがそれぞれ6ch分付いています。一番下には2ch分ずつのファンタム電源のON/OFFスイッチ。その横にはMULTI/STEREOの切り替えスイッチ、これはこのレコーダーをマルチチャンネルで使うかステレオ・レコーダーとして使うのか選択するスイッチです。そして各種設定を行うMENUボタンとDATAダイアルが整然と配置されています。右下は再生関連のボタンです。インプット端子は本体左側。ch1〜4まではXLRとTRSフォーンのコンボ、ch5/6はTRSフォーンのみ。アウトプットは本体右側で、RCAピンが6ch分とDIGITAL/SYNCのIN/OUTが1系統付いています。S/P DIFとAES/EBUは自動判別。ACアダプターの入り口横のふたを開けるとSD/SDHCカード挿入口とUSB端子があります。続いて前面パネル。ヘッドフォンのインプットとボリューム、128×64ドットのバック・ライト付きグラフィカル・ディスプレイ、チャンネル・セレクターと、いろいろな値を変更するためのVALUEつまみがあります。一番右にPAUSE、RECボタンが配置されています。

自然な感じの音が好印象でフィールドやライブに活躍しそう


マイクをつないで電源を入れただけでは、何も音は聞こえません。PAUSEを押して初めて音が確認できます。"REC PAUSE"の状態で各チャンネルのインプット・レベル、パンそしてモニター・ミックスのボリュームを調整できます。各チャンネルのつまみをいじるのではなく、前面パネルのVALUEつまみ一つでいろんな設定を行います。さて、どの状態が一番使いやすいかトライしてみると、裏面に小さなスタンドが付いていて角度がつけられるようになっています。よってテーブルの上に置き、スタンドを出して使うのが一番やりやすい。このとき前面パネルとトップ・パネルの両方を操作しながらセットアップを詰めていけます。しかし付属ショルダー・ベルトや何かケースにいれて縦置きで使おうとするとトップ・パネルの状態が分かりづらいので、ちょっとやりにくいです。頻繁に変更するテイクやシーンのネーミングなどは前面パネルでやれると便利でしょうね。本機にはリミッターも入っており、しっかり効きます。6chのうち使うものだけそれぞれON/OFFが可能。ただし、チャンネルごとの値の設定はできません。ローカットも40/80/120Hzと最初に設定しておく必要があります。ガン・マイクを使用して外で試しましたがかなり効きます。ただ"RECPAUSE" 状態ではリミッター、ローカットのON/OFFができません。つまりモニターしながらON/OFFの効果が聴けません。これについてはメーカーに確認したところ、設定できるようにすることを検討中とのことでした。さて、録音してみますと音は自然な感じの音でした。サンプリング・レートやビットで多少変わりますが、自分がやりやすい設定を見つけていくのが良いでしょう。小さなケースに入れてアウトドアに出てみますと、やはり軽さは重要。先ほども書きましたが、前面パネルでもう少し設定の変更ができると、さらにフィールドでも使いやすいでしょう。私的には本機は音楽のライブ・レコーディングにもすごく使えそうだなと思いました。メイン・アウトを2本、PAの方から入力したとしても、マイク入力はさらに4本使えます。マイクを工夫してサラウンドにミックスできるように録音して、6chを使ってUSB経由でコンピューターに送り、最小チャンネルでのサラウンド・ミックスができそうです。皆さん工夫してみてくださいね。tascam_l▲本体左側。MIC/LINE INPUTSをXLR/TRSフォーン・コンボ(ch1〜4)とTRSフォーン(ch5/6)で用意tascam_r

▲本体右側。左からLINE OUTPUTS(RCAピン/1〜6ch)、DIGITAL/SYNC IN/OUT、DC、SDカード・スロット/USB端子カバー、コード・ホルダー


『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年8月号より)
TASCAM
DR-680
オープン・プライス (市場予想価格/ 100,000円前後)
▪サンプリング周波数/44.1/48/96/192kHz(WAV/BWF)、44.1/48kHz(MP3) ▪記録メディア/SDカード(2GB)、SDHCカード(4GB〜32GB)▪電源/AC100〜240V、50-60Hz、単三乾電池8本(アルカリ乾電池使用時約4時間/ニッケル水素電池使用時約4.5時間) ▪外形寸法/216.4(W)×56(H)×188.4(D)mm ▪重量/1.2kg(電池含まず) ▪付属品/専用ACアダプター(PS-1225L)、USBケーブル、ショルダー・ベルト