遠隔制御も可能な24ビット/48kHzデジタル・ワイアレス・システム

SONYDWM-01 / DWR-R01D
A帯およびB帯に対応したデジタル・ワイアレス・システム

SONY DWM-01(F31AB:409,500円 C31AB:441,000円) / DWR-R01D(630,000円)ずばぬけた音質と伝送性能で高い評価を獲得したアナログ・リニア方式のワイアレス・システムで知られるSONYから、A帯およびB帯に対応した新たなデジタル・ワイアレス・システム、Digital Wireless Microphoneが登場しました。早速レビューしてみましょう。

A帯とB帯の合計で最大82chマイクはカプセル一体型


sony_dwr-01dnew▲DWR-R01Dsony dwm-01 F31ABDWM-01/F31AB

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▲DWM-01/C31AB受信機は2ch型のDWR-R01D、ハンドヘルド型の送信機はダイナミックのDWM-01/F31ABとコンデンサーのDWM-01/C31ABの2種で、ボディ・パック型のDWT-B01/AB(399,000円)もラインナップ。送信機はいずれもA/B帯両対応ですが、B帯専用モデルもあります。今回はDWT-B01/ABを除いたシステムでのチェックです。本システムはA/B帯対応モデルを使用すると、A帯とB帯を合計して最大82chの同時運用が可能です。従来のアナログ・ワイアレスでは3次高調波ひずみによる干渉を防ぐためのチャンネル・プランが組まれていましたが、デジタル・ワイアレスでは3次高調波ひずみに重なっても影響が無いために、375kHzの等間隔でプランを組むことができるとのこと。また、音質面では24ビット/48kHzという高品質な仕様。ワイアレス伝送には一般的なアナログ・ワイアレスのようなコンパウンド式ではないため、立ち上がりの良いリニアな音質を得られるそうです。さらに、音声と同時にメタ・データも送信することができるので、送信機の電池残量や送信電力設定、アッテネーター・レベル、ローカット、連続動作時間といった情報を受信機側で監視できます。また本システムは2.4GHz帯を使ったリモート・コントロールに対応しているのもトピックです。DWR-R01Dにリモコン用アンテナが内蔵されており帯域選択やアッテネーター・レベル、送信電力切り替え(1mW/10mW)、ローカットなどさまざまな操作を行えます。電池の消耗を軽減するために送信機をスリープ状態にすることもできます。またDWR-R01Dは8台までカスケードして使用できるのですが、その際には別売のリモート・コントロール・ユニットRMU-01(60,480円)をイーサーネット経由で接続してネットワークを組み、Windows用のコントロール・ソフトを使用することで、最大82台の送信機を操作することが可能です。まさに、多チャンネル運用を念頭においた工夫と言えるでしょう。ほかにも特筆すべき点があります。それは盗聴防止のための送信データの暗号化です。送信機ごとに"鍵"を生成する1対1のモードと、複数機器をパスワードで管理できるモードがあり、大事な会議やライブでの盗聴を防ぐことができます。またハンドヘルド・タイプの送信機はカプセル一体型で、材質や形状などボディ部の鳴りまで含めたチューニングが施されているとのこと。内部のダイアフラム部がグリルの先端近くに設定されているので、グリルを半分囲って歌うようなスタイルのボーカリストにも対応できるでしょう。

操作性に優れた受信機リアルで生々しい音質


それでは現場で使用してみます。まずはバンドのボーカルにダイナミックのDWM-01/F31A
Bを使ってもらいました。最初にDWM-01/F31ABとDWR-R01Dと周波数を合わせますが、簡単なボタン操作でチャンネルを選択でき、大型の有機EL画面は明るくてとても見やすくなっています。真夏の野外現場でも不便を感じないでしょう。リモート・コントロール設定は、DWR-R01Dの"RF REMOTE"スイッチを押してジョグ・ダイアルで"PAIRING"を選択しENTERを押すと、周囲の送信機を探し出しディスプレイに表示してくれるので、コントロールしたい送信機を選びENTERを押せばOK。たったこれだけで送信機の帯域や送信電力の切り替えなど細かい設定を受信機側から行えるのです。リハや本番が始まってから設定を変更したくなったときなどにも便利に使えるでしょう。さて、いよいよ音を出してみると素晴らしいっ!とにかくその一言しかありません! コンパウンド式では体験できないようなサウンドです。この音質がこの価格で手に入るのなら、むしろ安いくらいでしょう。ありきたりの感想になってしまいますが、音質は"有線"です。"有線みたい"ではなくて。変な癖やロー/ハイエンドの"作られた感じ"も全く無くまさにリアルで生々しいのです。つぶれた感じもなく欠点の見つけようがありません。次にコンデンサーのDWM-01/C31ABでシンバルも拾ってみたところ、やはり立ち上がりが早くリアル。女性ボーカルでも子音部やハイエンドのキツさはなく、上品な高音の伸びを感じられました。とにかく素晴らしいの一言です。実は少し前にワイアレス・システムを導入したばかりなのですが、"これも購入しちゃえ"と悪魔に耳元でささやかれてしまうほど最強のシステムです! 間違いなく今後の放送、PA業界のスタンダードになるでしょう。(『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年6月号より)
SONY
DWM-01 / DWR-R01D
409,500円 / 630,000円
<DWM-01> ▪サンプリング周波数/48kHz ▪量子化ビット数/24ビット ▪送信周波数/A型(770.250〜805.750MHz)、B型(806.125〜809.750MHz) ▪チャンネル・ステップ/125kHz ▪空中線電力/1mW/10mW切り替え ▪占有帯域幅/192kHz以下 ▪リモート・コントロール/2.4GHz帯(IEEE 802.15.4準拠) ▪電源/単三アルカリ電池2本 ▪付属品/キャリング・ケース、マイク・ホルダー、USBアダプター・ケーブル、USBケーブル、識別リング、CD-ROM <DWR-R01D> ▪受信周波数/A型(770.250〜805.750MHz)、B型(806.125〜809.750MHz) ▪チャンネル・ステップ/125kHz ▪アンテナ端子/BNC-R、50Ω ▪リモート・コントロール/2.4GHz帯(IEEE 802.15.4準拠) ▪外形寸法/約482(W)×335(D)×44(H)mm ▪付属品/UHFアンテナ×2、アンテナ・コネクター×2、電源ケーブル、脚×4、PCソフトウェア