手持ちのDAWに革新的な操作感をもたらすフィジカル・コントローラー

NOVATIONLaunchPad
ABLETONとの共同開発で生まれたフィジカル・コントローラー

NOVATION LaunchPad オープン・プライス(市場予想価格/21,000円前後) ABLETONとの共同開発によって生まれたNOVATIONのLaunchPadは、今まで無かった革新的な操作感をABLETON LiveにもたらしてくれるUSB接続のフィジカル・コントローラー(他のDAWでも使用可能)。発売される前からその斬新なコンセプトなどが話題になり、リリース直後はしばらく品切れ状態が続いたほど人気のある製品ですが、今回あらためてその魅力と可能性について紹介していきます。

重パッドが光ることの威力に気づかされ操作することの楽しさを実感


フェーダーやツマミを持たないユニークでスタイリッシュなデザインが特徴のLaunchPadですが、その操作性はスマートなルックス通りの合理的で、無駄がない"ABLETON Liveらしい"ものです。すべてのボタン(パッド)は3色のマルチカラーのバックライトを内蔵しており、上部と右側に8つずつ用意されたボタンで表示内容とその表示領域を指定すると、8×8の合計64個のパッドに、その内容が状況や状態に応じてさまざまなカラーで表示されます。クリップのラウンチから、ミキサーのボリュームやパン、センドなどはもちろん、ノート・データ入力用のドラム・パッド(ベロシティは固定)や、Max For Liveがインストールされているならば、ステップ・シーケンサーの入力まで可能です。例えばLiveのセッションビューでは本機パッドに対応した8×8の赤い枠が表示され、黄色でクリップのロード、緑でプレイ、赤でレコーディングと色で識別できるようになっています。さまざまなカラーと輝度で光ることで、状態やパラメーターが表示されるパッドに直接触れて、しかも複数のポイント(トラック)を同時に操作できるのがLaunchPadの最大の魅力であり強み。

さまざまな点で人が触れる道具として細かな配慮がなされている


実際に触ってみると、この"パッドが光る"ということの威力に気づかされます。視認性が良いのは当然ですが、何よりも触っていることが実感でき、操作することが楽しくて盛り上がるのです!! フィジカル・コントローラーにもさまざまなタイプがありますが、LaunchPadが与えてくれる操作感にはレスポンスの良い楽器を手に演奏しているような、使い手をその気にさせてくれる何かがあります。ボリュームやセンドなどをパッドでコントロールする感覚はかなり新鮮で、リズムに合わせて部分的にロング・リバーブやディレイをかけたりするような場合はむしろ、フェーダーやツマミよりも操作しやすく感じるほどです。サイズや重量も片手で持って操作することも考慮してあるようで、ケーブルの長さに余裕があればスタジオやステージをうろつきながらの操作も十分可能。コンピューターのディスプレイから解放されて操作ができるのはとても新鮮で、未体験の方にはぜひお勧めの使い方です。フィジカル・コントローラーに定評のあるメーカー、NOVATIONが作った製品だけのことはあると感心したのが、さまざまな点で人が触れる道具(楽器)として細かな配慮がなされていることです。しっかりとした背面の滑り止め処理や、ボリュームなどをコントロールするときに行う"指をすべらせながら連続してこするような操作"がスムーズにできるようにパッドのふちが滑らかに加工されていたり、本体をなるべく見なくても、安心して操作できるように数カ所のパッドにコンピューターのキーボードのようにドットが付いている点なども気に入りました。またあらためて感じたのが、例えば鍵盤とドラム・パッドを使うのでは、同じ音源を使っても出てくるフレーズのニュアンスが違ってくるように、フェーダーやツマミなどを使うのとは違うニュアンスが、LaunchPadを使うことで得られるのです。"たたく/押す"という動作でコントロールしていることが理由なのかは分かりませんが、個人的にはサウンドがよりアクティブ&アグレッシブな方向に向かうような気がします。そのほかにも、USBハブを介して最大6台まで本機を接続可能なことや、NOVATIONのウリでもあるAutomap機能を使用すればほとんどのDAWでも使用可能なことなど、伝えたいトピックはたくさんあるのですが、何といっても個人的に魅力を感じたのが、先述のようにMax for Liveで作られた専用ステップ・シーケンサーが無償ダウンロードできること(http://www.novationmusic.com)。ベータ版ですがこれは超強力。さまざまなパラメーターはもとより、タイムラインもパッドの明滅により表示可能。マウスだけでは不可能な操作性なので、Max for Liveのユーザーであればこのためだけでも購入検討する価値ありです。"パッドの感触"という物理的な手ごたえにポイントを置いたLaunchPadはLiveを"演奏"する場合の一つの答えであり、このアプローチはユーザーに"新しい何か"を与えてくれるものだと思います。スポット・ライトを浴びたR&BシンガーがMPKでピアノを弾き語りしたり、ラップトップでファットなシーケンス・ビートを流し、パッドでサンプル演奏したりという絵が思い浮かびました。もちろん同社のロゴ・マークもクールに演出。やはり、ライブ向きの機材と言えそうですね。(『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年6月号より)
NOVATION
LaunchPad
オープン・プライス (市場予想価格/21,000円前後)
▪外形寸法/240(W)×20(H)×240(D)mm ▪重量/717g

▪Windows/Windows XPまたはVista、1.5GHz以上のプロセッサー、512MB以上のメモリー(1GB以上推奨) ▪Mac/Mac OS X 10.4以上推奨、G4以上またはINTEL Coreプロセッサー推奨、512MB以上のメモリー(1GB以上推奨)