アリシア・キーズ本人の手により演奏/録音されたリアルなピアノ音源

NATIVE INSTRUMENTSAlicia's Keys
アリシア・キーズが自身のピアノとスタジオで収録したサンプリング音源

NATIVE INSTRUMENTS Alicia's Keys オープン・プライス NATIVE INSTRUMENTS Alicia's Keysは、その名前の通りグラミー賞受賞経験もあるトップ・アーティストで、僕も大好きなアリシア・キーズのピアノ・サンプリング音源です。アリシアのピアノYAMAHA C3 NeoとスタジオOvenを使用し、そして彼女自身の手による演奏で、サンプリングの専門家であるトーマス・スカルビー氏の手によるサンプリングということで、その内容が気になるところです。早速チェックしていきましょう。。

弾いていないときの音もシミュレートしたまさにアリシア・キーズのピアノの音合


まずはチェック環境ですが、NATIVE INSTR
UMENTS Komtakt 4またはKomtakt 4 Player(ver4.0.5以上)が必要ですので、いつも制作でも使用しているAPPLE MacBook Pro(17インチ、2.66GHz/Intel Core 2 Duo)にインストールしたKomtakt 4 Player 4.0.5を使用し、MIDIキーボードとフット・ペダルを用意しました。  さてインストール、アクティベートが完了したら早速チェックの開始です。まずはプリセットで音を鳴らしてみましたが、まさにアリシアの音です。余計なチューンをしていないようで、まさに目の前にアリシアがいる、僕の好きな音です。普通のピアノというのはハンマーが弦をたたくことで音が鳴るので、ピアノそのものの音までも、つまりノイズと言ってもいいと思います。そのさまざまなノイズ、例えばハンマーが弦をたたく音、そしてハンマーが戻ってくる音なども見事に再現されているのが特筆すべき点。このメカニカルな動作が出すノイズまでも調整できるのが、素晴らしい。中でも僕が最も気に入ったのが、ペダルを使ったサスティン、余韻の音です。余韻というのはピアノの箱の中の鳴りということになりますが、この"弾いてないときの音"までもが組み込まれているのです。ここまで実機のピアノに近いものはあまりないのではないかと思います。Settingボタンを押しウィンドウを開くと、 Roo
m、Keys、Pedal、Resonance、Noiseの5カテゴリーが出てきますので、こちらで詳細な設定が可能です。Roomは部屋の大きさやリバーブの設定、Keysはベロシティ・カーブやフィンガー・アタック、キー・リリースの調整、Pedalはサスティン、およびソステヌート、Resonanceは共鳴、Noi
seは先述のメカニカル・ノイズの調整をします。

さまざまな点で人が触れる道具として細かな配慮がなされている


奇麗なピアノの音というのは絶えず、それはシンセサイザーの歴史の中でFM音源やPCM音源などから始まり、いかに生音に似せるかというのは人類がトライしてきた歴史です。今ではみんながこだわりを持ってピアノを鳴らしています。でもこのAlicia's Keysが面白いのは、これがアリシアのピアノだということに尽きます。本物のピアノのリアリティを求めるのであれば、ほかのサンプリング音源でも全く構わないし、ダンス・ミュージックの中できらびやかなピアノを求めるのであれば、あまりノイズはない方がミックス時など使いやすいと思います。弾いてないときの余韻、鍵盤を離した後のノイズ、そのノイズにかかっているリバーブ、そういうものがすごく気持ちよく感じました。アリシアの曲はもちろんピアノにすごく特徴があるわけで、ヒップホップ、R&B、ソウル、ジャズ、そういうトラック作りにはすごくいいと思いました。ちなみに僕は普段のトラック・メイクのときは普通にDAW付属のソフト音源を使用したりしますが、存在感のある、つまり目の前にピアノがある感じ、そういう意味で"これぞ!"という音源は今までなかったので、有効に使えそうです。特に普通のサンプル音源だと低い音や高い音に関しては、倍音が増えてしまってデチューンされがちなのですが、Alicia's Keysに関してはいい意味で何もされておらず"汚い"自然なピアノ音が聴こえるのです。基本的に僕はYAMAHAのピアノの音は好きなので、そういう意味でもヒットするところが多いのかもしれません。ピアノが生きている曲は好きですし、弾いていても気持ちよいので、キチンとしたマスター鍵盤でしっかり鳴らしてみたら、新しい曲の発想が浮かぶかもしれません。最近では僕もソフト・シンセを多用することが多いので、こういう一癖ある、オケに負けない音源はうれしいですね。最後にエフェクターについてですが、予想以上に良いものです。リバーブはスタジオからホールまで部屋のサイズが選べ、なおかつアンビエンスなどを細かく設定できるので、好みの残響を得ることができます。普段の打ち込みにひとエッセンス加えたい、アリシア・キーズが好き、または自分の楽曲にジャズやソウルの要素を加えたい、そういう人にはぜひ買ってもらいたい音源だと思います。(『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年6月号より)
NATIVE INSTRUMENTS
Alicia's Keys
オープン・プライス
▪Windows/Windows XP(SP2、32ビット)、Vista(32/64ビット)、7(32/64ビット)、Pentium/Athlon1.4GHz以上のプロセッサー、1GBのメモリー、7GBのハード・ディスク空き容量、DVDドライブ ▪Mac/Mac OS X 10.5以上推奨、INTEL Core Duo 1.66GHz以上プロセッサー推奨、1GB以上のメモリー、7GBのハード・ディスク空き容量、DVDドライブ ▪対応インターフェース/スタンドアローンまたはVST/Audio Units/RTAS、Kontakt 4またはKo ntakt 4 Playerの最新版が必要