R-09HRの高音質と機能を受け継ぎ小型化したリニアPCMレコーダー

ROLANDR-05
24ビット/96kHz対応のリニアPCMレコーダー

ROLAND R-05 オープン・プライス(市場予想価格/25,000円前後)今回のレビューは24ビット/96kHz対応のリニアPCMレコーダーROLAND R-05です。同社ではR-09HR(EDIROLからROLANDブランドに変更)という製品を出していますが、その弟分的なモデルとしての位置付けでしょうかね。ほぼ同性能ですが、一回りほど小さくなり、価格も安くなっています。前機種との機能比較・違いを踏まえ、チェックしていきましょう。

重プリレコーディング機能やリハーサル機能などが新追加


まずは大まかな機能について。本体内蔵マイクは、バック・エレクトレット・タイプのステレオ・コンデンサー・マイクを搭載。アナログでの外部入力(マイク/ライン)にも対応。リミッター回路やオート・ゲイン・コントロール、3段階のローカット(100/200/400Hz)も装備。録音フォーマットは24ビット/96kHzの高品位な録音から、長時間録音可能なMP3までの各種に対応。本体のみでの編集機能を持ち、ファイルの分割/統合が可能となっています。記録メディアはSDカード。気になる録音時間は付属の2GBのSDカードを使って、24ビット/96kHzで55分ほど。録音メディアとして32GBまでのSDHCカードに対応
し、24ビット/96kHzのWAVで900分(15時間)、MP3(128kbps)では驚きの32,350分(約540時間)の録音が可能です。再生時のスピードを変える変速再生(50%〜150%でピッチを変えずにスピードを変える)や4種類のリバーブを付加して再生することもできます(変速再生とリバ
ーブは同時使用不可)。コンピューターとはUSBケーブルで接続、手軽にデータの移動が可能です。R-05独自の新機能としては、Recスタート2秒前からの録音ができる"プリレコーディング"機能や、設定時間や設定レベルで録音が始まる"自動録音開始機能"、そして最大の特徴ともいえるのが録音レベルを自動調節できる"リハーサル機能"です。これは本番前のリハーサル時に本機に音量レベルを測定させ、自動で最適な入力音レベルに合わせる機能。あと、面白い機能としては、WAVとMP3フォーマットの同時録音が可能で、恐らく保存(記録)用とコピー(配信)用を、変換無しで一度に作れます。R-09HRから省略された機能としては、チューナー機能/メトロノーム機能、そしてリモコン動作とプレビュー用のスピーカーなどです。また、ACアダプター/単3電池×2本で稼働するのですが、アルカリ電池使用時の連続16時間以上の録音ができ、R-09
HRの3倍以上の省エネを実現しています。一つだけ残念なポイントとして、変速再生やリバーブ、WAV/MP3の同時録音は、24ビット/48kHzまでの録音に制限されていることでしょうか。恐らく開発の中で24ビット/96/88.2kHzのフォーマットは、極力ナチュラルで高品質な音を目指して排除したのかもしれませんね。

24ビット/96kHzのスペックが十分に感じられる豊かなサウンド


では、実際に使ってみましょう。スタジオで楽器のダビング時に24ビット/96kHzで録音。いきなりリハーサル機能が役に立ちました。というのも、オフめのセッティング時はメーターを見ながらレベル調整できるのですが、セッティング位置が楽器に近かったり、少し高めの位置にしたいときは、当然ですがメーターを見ながらの調整は不可能です。ピアノ、アコギは少し近めのセッティングと、少し離した位置で聴き比べました。両方の楽器に共通するのは、オンセッティングでは抜けの良いスピード感あるサウンドに。オフでは部屋の響きも含めて、とても自然に感じられました。ウッド・ベースやパーカッション、ドラムでは、アタック時の倍音が十分に感じられ、中域低域も十分迫力があり、ワイド・レンジでリアルな音に。また強弱のダイナミック・レンジがある演奏にも、24ビット/96kHzのスペックが十分に感じられる豊かなサウンドでした。わざと過大レベルになるような意地悪な録音もしてみましたが、当然のことながら音はひずんでしまいますので、適度な録音レベルに合わせることと、録る素材に合わせてリミッターやAGC(オート・ゲイン・コントロール)を使いこなすことがお勧めです。野外の録音もしてみましたが、かなり簡単に街中、電車内など本当にお手軽に録音できました。風などでマイクが"ゴウゴウ"と吹いてしまう場合には、付属ウィンド・スクリーンが活躍するので、持って行くのを忘れずに。ここ数年本当に、開発のスピードの速さに驚きます。R-09HRの基本スペックを受け継ぎ、さらに現実的に必要な機能、優先順位として低い機能を排除して、小型&コストダウン、恐るべし! R
OLANDのWebサイトで、実際にR-05で録音したデモ・データが、動画で配信されています。本機に付属のSDカードに入っている音源が、本当にR-05だけで録音されたのが分かりますよ。(『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年6月号より)
ROLAND
R-05
オープン・プライス (市場予想価格/25,000円前後)
▪録音方式/WAV、MP3 ▪対応オーディオ形式(録音時)/WAV(16/24ビット/44.1/48/88.2/96kHz)、MP3(64/96/128/160/192/224/320kbps)、WAVE+MP3(16ビット固定、128kbps固定/44.1/48kHz) ▪記録メディア/SDカード(SDHC対応) ▪周波数特性/20Hz〜40kHz ▪電源/単三電池×2本、ACアダプター(別売)  ▪外形寸法/60(W)×25(H)×103(D)mm ▪重量/140g