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WHARFEDALE PROCoMax 12

玖島博喜（TEAM URI-Bo）

PA界の老舗メーカーから"斬新でパワフルなルックス"を持つ新シリーズが登場

WHARFEDALE PRO CoMax 12　　99,750円イギリスと言えば音楽産業と切っても切り離せない国の１つですが、そのイギリス発の老舗PAメーカー、WHARFEDALE PROよりCoMaxシリーズが発売されました。以前にもチェックさせていただいたことのあるメーカーですが、"非常に高音質かつ能率的に鳴りながらリーズナブル"と感じ、とても好印象でした。そんなPA界の老舗メーカーから"斬新でパワフルなルックス"を持つ新シリーズが出たと聞き、どんな音を出してくれるんだろうと期待と不安を織り交ぜながらレビューしてゆきたいと思います。

同サイズのサブローがあり、複数台でのスタックに対応

今回チェックするCoMaxシリーズですが、CoMax 12（ハイボックス）とCoMax 12B（サブローボックス／110,250円）の２種類があり、大きさは両方とも同サイズ（436（H）×434（W）×627（D）mm）。見た目はとても愛きょうがあるかわいらしいデザインです。珍しいのはボックスの上下部にいかにも頑丈そうな"ハンドルと一緒になったポール・ホール（スピーカー・スタンド用）"が装備されていること。これにより本機同士のスタックも可能で、スピーカー同士がズレないよう本体下のゴム足と本体上には受け穴が準備されています。また見た目のかわいらしさとは裏腹に23.8kgと、しっかりした重量感があり"良い音が出るぞ！"という無言のアピールを感じます。CoMax 12は300mmウーファーと５0mmの高域ドライバーを採用した２ウェイ構成のスピーカーで、同軸タイプとなっています。また、サブロー用として別途用意されたCoMax 12BですがCoMax 12と同じ外観で300mmのサブウーファーとなっています。本機の再生周波数は55Hz〜20kHz（CoMax 12Bは45Hz〜350Hz）で、許容入力／ピーク許容入力はそれぞれ350W/1,400Wと（CoMax 12Bは450W/1,800W)、このクラスにおいては全く申し分なく、また指向性は70°×70°といかにも同軸らしい数値となっています。

高域の気になるノイズも無くパワフルで豊かな低音を提供

さて、今回はステージサイド・スピーカー（いわゆる"横あて"スピーカー）で使用をしながらのチェックです。まず大きさですが、本体の奥行きが意外とあるのでスペースの確保ができる現場の前提です。まぁ当然ですがこのクラスならばメイン・スピーカーでの使用が多いでしょうから奥行きに関しては問題はないでしょう。スタンド・ポールを使用してCoMax 12とCoMax 12Bをセッティングし、次はアンプからのケーブルをインプットします。このスピーカーの特筆すべき点の一つとして、まずCoMax 12Bのリア・パネルには２系統のインプットと１系統のアウトプットがそれぞれスピコンとフォーンのパラレルで用意されています。インプットはもちろんアンプからの入力で、アウトプットはCoMax 12Bの内部にローカットのネットワークが組まれているので"パネルを通すだけでCoMax 12に最適なサウンド"を簡単に得ることが可能になります。つまりアウトプットからの信号をスピコン・ケーブルでジャンプさせるだけでアウト・システムのセッティングが終わってしまうのです。アンプやプロセッサー、ケーブルなどの余計な機材も減り、良いことづくめではないでしょうか。接続も終わり、実際にSHURE SM58でしゃべってみると意外に"音の重心が低く落ち着いていながらも全面に音が飛んでくるパンチのある"サウンドです。これは300mmのスピーカー・システムと思ってタカをくくっていたのでかなり衝撃でした。同軸の"音色や音像のまとまりがすごく良い"という部分があり、しかも低域には余裕が感じられます。無理をしなくても前に音が出るのは好印象です。大型ドライバーを使用していることで高域のざらっとした感じもありません。これであればアコースティック系ライブにも自然な感じで聴かせることも可能ですし、パワー的にはバンドでも余裕で、音質的にはクラブ系の低音も十分対応できそうです。CoMax 12のみでもチェックをしてみましたが、ローエンドが奇麗に再生されるので低域が要らないという現場でもスピコンを差し替えるだけという気軽さでとても重宝しそうです。これほどまでのパワーがありながら音質も良し。価格もリーズナブルで出力、音質とすべてに
パーフェクトですから、ステージPAやクラブPA、店舗、個人所有など多様な現場でこれからお目にかかりそうです。