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34GBのライブラリーと最新エンジンを備えるベース専用ソフト音源

SPECTRASONICSTrilian
アコースティック・ベース、エレクトリック、シンセサイザーすべてのベース音色を網羅したプラグインのソフト音源

SPECTRASONICS Trilian 34,440円明けました、おめでとうございます! 2009年はこれまでで最も新製品情報をチェックしまくっていたような気がします。とにかく、毎日のように出てくるさまざまな製品はハードからソフトまで、気になるモノがたくさんありました。もちろん購入して作品で使いまくったモノもあります。そんな中でもこのベース専用ソフト音源Trilianは、多くの方が発売されるのを首を長くして待っていたのではないかと思われます。事実自分もそうでして、昨年の夏にとあるセッションで知人がTrilogy(Trilianの前身ソフト)を使用しているのを見て、コレは良いなと思い購入しようかと考えていたころにTrilianの発表がありましたので、コチラの発売を長いこと待っていたクチであります。アナウンスからリリースまで結構時間はたちましたが、満を持しての発売だけに果たして待たされた分を埋めてくれるくらいの満足感はあるのか、非常に楽しみであります。

リリース・ノイズまで再現するリアルさ 同音連打を違和感なく演奏可能


本製品はアコースティック・ベース(アップライトやエレアコなど)、エレクトリック(多弦ベースやCHAPMAN Stickなども含む)、シンセサイザーのすべてにおいてベース音色を網羅したプラグインのソフト音源でして(画面1)、Audio Units/RTAS/VST(2.4)に対応。▲画面1 プリセット音色に含まれるイメージ画像を抜粋して並べてみた。アコースティックではアップライトはもちろん、MARTINのベース・ギターも収録。エレキベースは多弦や奏法別に加えタッピングで演奏するCHAPMAN Stickもある。シンベもビンテージから現行機種まで多彩。また同社がかつてリリースしていたライブラリー『Bass Legends』から厳選した音色も移植されているまずはその膨大なライブラリーの量に驚かされます。Trilogyの10倍以上もある、34GBもの容量を持つ音色の数々。実際DVDが5枚もありインストールにも多少時間はかかりますが、起動したときのお楽しみがその後に待っていますので焦らずにじっくりといきましょう。スライドなどのさまざまなアーティキュレーションやアルペジエイター、32種類のエフェクトなどなど、期待に胸が膨らみます。 いよいよご対面。まずは恒例の"取説なしでどれだけ理解できるのか"モードに突入します。多少Trilogyの画面は見ていましたので大体の使用法などは理解してはおりましたが、インターフェースはものすごくシンプルな作りになってると感じました。メイン画面はそれぞれのプリセットによって最適化されたパラメーターのみが表示されるようになっています。もちろん、さらに細かいエディットも可能で、そこへのアクセスも容易。そちらのエディット画面(画面2)ではデュアル・フィルター、エンベロープ、モジュレーションなど、追い込めば追い込んだ分だけオリジナルな音が作り込めるという構造になっています。上級者のみが理解できるといった難しい画面ではなく、それぞれを操作すれば音にキチンと反映されますので、初心者でも"もう少し違ったことがしたいな"と思ったらどんどん触ってほしいですね。ちなみにエンジンには自社開発のSTEAMという、同社のソフト・シンセOmnisphereにも採用されているものが使用されています。▲画面2 EDITページ。Trilianはエンジンに同社のソフト・シンセOmnisphereと同じSTEAMを採用。LFO×6、エンベロープ×4でのモジュレーションもかけられる上、FM変調なども可能だ。シンセ・ベース系の音色だけでなく、アコースティック/エレキベース系の音色もここでエディットすると、予想外の音色が得られることもあるということで早速、ライブラリーのチェックをば。34GBものライブラリーはさすがに圧巻で、良い意味で音色選びが終わりません。頭からそれぞれをチェックするのも楽しみではありますが、カテゴリー別に、自分が今欲してるサウンドに素早くたどり着けるように選択していけるブラウザーもまた素晴らしく、キーワードやタグ、カテゴリーを駆使してイメージした音色をすぐに絞り込めるのもまた使いやすさの一面ではないでしょうか。また、プリセットの表示順をランダムに並び替えるシャッフル機能などもあります。まずはアコースティック・ベース系の音色から試してみることに。プリセットを選択して幾つかの読み込みを行った後に出てきた音にうならされました。粒立ちが良いと言いますか、とてもクリアな音色のイメージ。とはいえ無理にそういった音色に仕上げているという感じではなく、現音に忠実に、素直に抜けの良い音が発音されているな、と。ココはやはりベース音源として特化している自信の表れだと思います。また、リリース(ノート・オフ)時に弦とフレットの間で発生するノイズなど、さまざまなアーティキュレーションがベロシティやレガートの度合いによって自動で鳴るようにプログラミングされているため、ただ単に鍵盤で演奏するだけでも十分にベースを弾いているかのようなサウンドが得ら
れます。微妙なタッチの違いに反応してくれるだけあって、鍵盤から指が離れる瞬間の音の残り方が違ったりと、面白いことこの上ないです。さらに、同音を弾くたびにサンプルが入れ替わるとい
う"ラウンド・ロビン"という機能のおかげで、8分音符や16分音符の単音連打もライブ感があると
いうか、弾けない自分がかなり弾けてるような感じになりますね。何かこう、制作のモチベーションが底上げされる気にもなります。音色によっては1パッチで2万以上のサンプルを使ったモノもあるということで、ライブラリー
を増量したことの意味とこだわりがひしひしと感じられますね。ソフト音源ではあるものの、ただ呼び出した音を鳴らすという作業だけではない、良い意味でのソフト音源らしくない(生のベースを弾いているという)演奏ができるのは大変うれしいことです。

グリスやハーモニクスなどの奏法を切り替えながら演奏できるLiveモード


続いてエレクトリック・ベースを。こちらも種類を書き出してしまうと文字数稼ぎなんじゃないかと思われそうなくらいの音色が用意されております。フィンガー、ピック、スラップ、タップ、ミュートと奏法に関しても多彩な数が収録されています。これも演奏してみると単に"音源"というだけでは済まされない感じで、コチラで設定は特に何もしていないのに鍵盤をたたく強さでサステインのニュアンスが変わるという鳴りをしてくれました。アーティキュレーションも多彩で、スタッカート、レガート、サスティン、ビブラート、ハーモニクス、スライド・アップ/ダウン、グリス・アップ、ゴースト・ノートと、ほとんどのことができてしまうなと。少し前に、生音でレコーディングされた過去の楽曲を打ち込みで完コピすることがあったのですが、自分のスキルにもよりますがグリス・アップだけはどう頑張っても打ち込みで再現できなかったので、Trilianがもう少し早くリリースされていればもう少し頑張れたのに......とちょっと後悔もしてみたり。エレベの音もさすがというか、いやぁ、イイ音しています。自分が鍵盤で弾いてるのにちゃんとベースが鳴ってるよ、って感じです。またアコースティック、エレクトリックともにアンプ/マイクとDIアウトのバランスをリアルタイムでミックスもできますので確実に自分の欲しい音作りが可能となっています。また、新しい機能として特筆すべき点は、LiveモードとStackモード。Liveモードは、リアルタイムで演奏などをする際に通常の音やスライド音など、複数のパッチを鍵盤にスイッチとしてアサインしておけるものです(画面3)。切り替えながら演奏することで、より生演奏に近い奏法を可能にしてくれます。またStackモードは音域、ベロシティなどで鍵盤にゾーンを割り当てられるものです。さらに、内蔵のエフェクトもアンプ・シミュレーターからリミッター、コンプ、リバーブ、ディレイ、フランジャーなど豊富にあり、それらを好きなように配置できます(画面4)。▲画面3 Liveモード。E1(グリス・アップ)、F1(スライド・ダウン)などを押さえている間のみ、指定した奏法に切り替わる。グリスなども、演奏したノートがスタートまたはゴールとなるので、音楽的なプログラミングがしやすい▲画面4 NOMAD FACTORYなどからアルゴリズム供給を受けて搭載したエフェクトは全32種類。フィルターやディレイ、フェイザーやアンプ・シミュレーターのほか、テープ・サチュレーターなども備える。プリセットにはその音色に合わせたエフェクトがインサートされている(変更も可能)

シンセ・ベース音も多数収録 ステップ式アルペジエイターも実装


音源の紹介としてはいよいよ最後となりましたシンセ・ベース。コチラも往年の名機から最新のモノまで幅広い種類の音源が収録されております。ブラウザーで音を探しているときに各機種のちょっとした画像も出てきて、自分が持っている機材が表示されたときには、"ああ、確かにこんな音するする〜"とちょっとうれしくなってみたりもしました。全体的に抜けの良いキレイめの音ですが、だからといって線が細いとかそういうことでは無く、しっかりとした音の印象を受けました。またアルペジエイターもあります(画面5)。単なるアルペジオだけでなく、ステップ式でパターン・プログラミングが可能。シンセ・ベースはもちろんアコースティック、エレクトリックでも使用できます。実際デフォルトのサウンドを鳴らしてみてもかなり作り込まれた内容となっており、それらを聴くだけでも十分に楽しめました。MIDIファイルからオリジナルのグルーブを追加してリズムに合った演奏にエディットすることも可能です。▲画面5 ノート・オンとレングス、ベロシティがプログラム可能なステップ方式のアルペジエイター。ノート・レングスやスウィングの一括調整も行える。また、アップ/ダウン/ランダムといった一般的なパターンに加え、"ドドミミソソ"のように2音ずつや4音ずつ再生するパターンもあるTrilianは、間違いなく"作る側"に可能性を与えてくれるといった感じのソフトですので、自身のイメージをどんどん詰め込んでいってほしいと思います。これまで自分が使ってきた音源は、やはり近いニュアンスの音をライブラリーから探すまでが限界で、見付かったとしてもそこから先の音作りなどがなかなかしづらいことが多く、どうしても"それっぽい"で終わらざるを得ないというか、(決してダメではないのですが)妥協点をソコ止まりにしないといけない部分もありました。Trilianによって自分が追い込める部分がさらに増え、作業に幅が広がりそうで楽しみであります。(『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年2月号より)
SPECTRASONICS
Trilian
34,440円
▪Windows/Windows XP SP2以降/Vista/7(32ビット/64ビット・ネイティブ・サポート)、2GHz以上のCPU(INTEL Core 2 Duo以上を推奨)、2GB以上のRAM空き容量(4GB以上を推奨)、35GB以上のハード・ディスク空き領域、デュアル・レイヤー対応のDVD-ROMドライブ、インターネット接続環境、RTAS(DIGIDESIGN Pro Tools 7以降)またはVST(VST2.4互換)対応のホスト・アプリケーション▪Mac/Mac OS X 10.4.9以降(10.5対応)、2GHz以上のCPU(INTEL Core 2 Duo以上を推奨)、2GB以上のRAM空き容量(4GB以上を推奨)、35GB以上のハード・ディスク空き領域、デュアル・レイヤー対応のDVD-ROMドライブ、インターネット接続環境、RTAS(DIGIDESIGN Pro Tools 7以降)またはVST(VST2.4互換)もしくはAudio Units対応のホスト・アプリケーション