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24ビット/48kHz音質で動画が収録できるハンディ・レコーダー

ZOOMQ3
高音質な録音/録画が可能なハンディ・タイプのデバイス

ZOOM Q3 29,400円最近ではバンドのリハやライブなどで、録音デバイスを持ち込むのはもはや当たり前。楽器メーカーだけでなく一般的なオーディオ・メーカーなども、さまざまなハンディ・レコーダーを出しています。その中で、やはりバンドのライブなどで大音量でも高音質で録りたい、なんていう用途に向いているのは、楽器メーカーが作っている機種じゃないでしょうか。ZOOM H4などは中でも大ヒットした機種でして、僕も何台も見たなあ。周りでは持ってる人、かなり多いですよ。でもって今回の新製品、Q3は、従来のような音声の録音機能に加えて、本格的なムービーの録画機能を搭載した新モデル。APPLEも、新しいiPhoneやiPodに動画機能を付けたりしておりますが、動画も録れるというのは大きな潮流とも言えそうです。この新しいハンディ・タイプのデバイス、早速チェックしてみましょう。

XY方式のコンデンサー・マイクを搭載 USBケーブルやスピーカーも内蔵


イメージ的にもその実も楽器メーカーであるZOOMが、単三電池2本で駆動する小型のビデオ・レコーダーを出すということで僕も興味津々。大きさ的には、ちょっと前の携帯電話を少し太らせたくらいの感じでして、なかなかコンパクトです。まずはQ3の仕様を簡単に紹介しておきましょう。録音フォーマットはWAVかMP3。動画の音声の場合は最高24ビット/48kHzのWAV、またはMP3で収録できます。加えて、動画を使わなければ最高96kHzにも対応しています。MP3のビット・レートも、48〜320kbpsまで12段階で選べます。ここらへんのオプションの豊富さは楽器メーカーならではと言えるのではないでしょうか。録音/録画したファイルはSDカードに記録されます。購入時に2GBのカードが付属しており、最大32GBの大容量SDHCカードにも対応、その場合約16時間もの動画撮影ができるそう。次はマイク部分。見た目は大きなモノラル・マイクといった感じですが、グリルの中にはXY方式のステレオ・コンデンサー・マイクが搭載されており、前方120度の範囲で収音が可能です。このマイクは同社のH4Nと同じもので、自然な定位感を得ることができるとのことです。吹かれ防止のウインド・スクリーンも付属しています。録音レベルの調節は左側面のハイ/ロー/オートの切り替えスイッチで行います。また、ローカット・フィルター機能を搭載しているのも便利です(写真1)。

▲写真1 ボディの左側面。上から、電源スイッチ、マイク・ゲイ
ン切り替えスイッチ、ムービー/オーディオ切り替えスイッチ、ヘッドフォン/ライン出力端子(ステレオ・ミニ)、電源端子


次は気になる動画部分。ファイル・フォーマットはQuickTime形式で、拡張子はMOV。MPEG-4SP圧縮方式となっています。画像のサイズはいわゆるVGAサイズ(640×480ピクセル)。毎秒30フレームの撮影が可能です。ここらへんのスペックはかなり一般的なものですが、音声と違って動画のフォーマットやサイズは固定となっています。液晶画面は2.4インチ。ちょうど携帯電話の液晶くらいです。動画を見るには正直ちょっと小さい感じもしますが、まあこれで見るというよりはチェックする、といった感じでしょうか。ズーム機能も付いていて、デジタルで2倍のズームが可能です。全体的な操作性ですが、基本的に1つのボタンに対し1つの機能が割り当てられているので、初めて触る場合でもあまり迷うことなく操作することができました。特に、再生や録画、ゴミ箱専用ボタンが用意されている点。これはポイント高いです。さて、Q3にはファイルの管理ソフトのHandyShare(Windows/Mac対応)が付属します(画面1)。

▲画面1 付属の動画管理ソフト、HandyShare。シンプルなインターフェースで動作も軽快だ


このソフト上で、録画した動画を削除したり再生したりすることができます。また、ソフト上で"Upload"ボタンを押すだけで、YouTubeなどの動画サイトにアップロードも簡単にできます。そうそう、これらの付属ソフトは、CDとかではなく付属のSDカードに入っています。エコな設計ですね。コンピューターとのやりとりはUSB経由で行います。USB接続コードは、本体にかわいく収まってます(写真2)。

▲写真2 ボディの右側面。上から、SD/SDHCカード・スロット、テレビ出力端子(4極ミニ)、USB端子


これはポイント高いですよ。どうしてもこういう小型デバイスを持ち歩くとき、接続用のケーブルは忘れがちなんですよね。忘れなかったとしても別に持ち歩く必要があって面倒くさい。その点Q3は、ちょっとケーブル短いですが、そういったことを気にする必要がないのです。外部出力は、ライン/ヘッドフォン兼用のステレオ・ミニ・ジャックに加え、TVに出力できるマルチオーディオの4極ミニ端子を備えています。また、その場で音声のチェックができるよう、スピーカー(モノラル)を内蔵しているのもうれしいです。そんなこんなでQ3、早速試してみようではないですか! 簡単なレポートをご覧あれ。

音質の良さがもたらす臨場感 三脚の使用も可能


まずは知り合いのリハーサル現場に潜入する機会があったので持ち込んで回してみました。当たり前ですが、皆真剣にリハに取り組んでいるんで、Q3を向けても簡単な記念写真でも撮ってるように見られたのか、あまり構ってくれなかったんですが、音を出している最中に移動しつつ撮影すれば、音も当然付いてくるので、ヘッドフォンでモニターしながらの録画はすごい臨場感です。録音後再生してみると、密閉型のヘッドフォンだったせいもありますが、またメンバーが演奏を始めたか、と勘違いしてしまうくらいでした。とりあえず記録としてムービーを録るなら、音質も相まってとてもリアルで楽しいものになると思います。やはり音が良いっていいですね。では真面目に、リハで録っておいて、後で本番にそなえてチェック項目を復習する、という用途ではどうでしょうか。結構自分でどんな感じで演奏してるかというのは無頓着の場合も多いので、"ああ、このときの表情はいまいちだな"とか、"ここでもうちょっと派手なアクションしたほうがいいな"と分かるので、これは新発見!みたいなことになるかもしれません。ちなみにかなりの爆音でテストしましたが、録音レベルをローの位置にしておけば全くひずむことはありませんでした。素晴らしい。お次はライブで使ってみました。知り合いのミュージシャンのライブに行きましたので、録ってみました。音だけ録る場合は、テーブルとかに置きっぱなしでも問題はないんですが、これをずっと構えていると、コンパクトなボディのせいで、ライブそっちのけで携帯メールでも打ってるように見られそうなので、ここでは三脚を使用してみました。本機には底部に、三脚用のジョイントが付いているのです。今回は100円で買えるミニ三脚を使ってみました。これで固定カメラになるわけですね。当たり前ですが、会場は基本的に暗く、客席を録画してみましたが、これはちょっと暗くてよく分かりませんでした。しかしステージはばっちり。全く見たまんまの動画を録ることができます。そして音。これも全く聴こえたままって感じに録れてます。同じライブの録音でも、動画があると不思議と音の臨場感も増すもんですね。実際に音が良いだけに、後で見ていて本当に会場に居た雰囲気がよみがえってきました。このときズーム機能も使ってみました。最大2倍のズームなので、ソリストをアップにするというのはちょっと無理でしたが、軽く寄ってみる感じは出せました。Q3では、動画付きと音声のみを左側面のスイッチで切り替え可能です。動画が必要無いときは容量の負担が少ない音声モードにするわけですが、音声モードだと96kHzで録音ができるので、早速チェックしてみました。自分でギターを弾いて比べてみましたが、やはり奥行き感がアップした感じです。マイクの性能の高さも出ている感じがします。僕は歌は苦手なのですが、このままギターの弾き語りで録れば、下手するとそのまま本番テイクになるくらいのいい感じに録れました。いやあ、すごいなこれ。最後にいわゆるデジカメ感覚で、手当たり次第回してみました。これがなかなか楽しい。動きが激しいとぶれたりしますが、それが結構アーティスティックに見えることも発見! こういうのは写真だとなかなか狙えないですしね。このほかに活用法を幾つか考えてみました。まずは、プレイヤーやボーカルのオーディションに送るビデオ制作。これで作れば音がよく録れるのでお薦めです。あとPV制作。まずはスタジオで音声モードにして96kHzで音だけ録音。次に同じ曲を何回か演奏し、撮影担当が手元とか顔とかをじゃんじゃん録画。あとからパソコンで編集すればか
なりかっこよくかつ音質のいいPVができるんじゃないでしょうか?1つ気になった点としては、動画をメインに録るなら、付属の2GBのカードだとあっという間にいっぱいになってしまうということです。まあ今はSDカードは安いので、大容量のものをそろえておくのが良いでしょう。Q3は、ともかく音が良い!臨場感は抜群です。動画を録りたいけど、音に比重を置きたい、または音を録りたい、でも時々動画も、というような用途にはばっちりな機種だと思います。

▲画面2 HandyShare上で動画のアップロードを行っているところ。クリックするだけで自動でサイトと接続が行える


『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年1月号より)撮影/川村容一(写真1、2)
ZOOM
Q3
29,400円
■ 動画フォーマット/MOV(640×480ピクセル)■ 録音フォーマット/WAV(最高24ビット/48kHz、音声のみの場合は96kHz)、MP3(48〜320kbps)■ 記録メディア/SDカード、SDHCカード■ 外形寸法/55(W)×132. 5(H)×32(D)mm■ 重量/130g(乾電池を除く)