リアルタイム・パフォーマンスにこだわった本格キーボード・サンプラー

KORGMicroSampler
多彩なサンプリング方法でこれまでにない面白い効果を得られるサンプラー

KORG MicroSampler 61,950円気付けばもう10月ですねー。今年の夏は個人的になかなか思い出深いお仕事がたくさんで、スタジオでのレコーディングをはじめ、海外へDJしに行ったり、また全国を回ったりとかなり楽しませていただいたのですが、皆さんはいかがでしたでしょうか? 夏前までは結構こもりがちで、どちらかというとコンピューター・ベースでの作業がメインになり、ハードに電源を入れるというよりはまずソフトの音源でスケッチをしてみるといった感じのものが多かったんですが、そんな中、編集部の方からご連絡をいただき今回の新製品、MicroSamplerのレビューを書かせてもらうことになったのです。ハードをガシガシ使いたいモードに突入していた身としてはタイミング的に翌週からの某アーティストのツアー用リハーサルの時期でしたので、"コレはもうツアー持ってっちゃって現場で使ってみちゃおっと"なんて勝手に決め、いろいろといじってみました。もちろん、本番でも使いましたよ。

アナログ・シンセ的でありながら近未来を感じさせるデザイン


KORGのMicroシリーズは、もはや人気製品の一つとして必ず話題に上ると思います。所有している方も多いのではないかと。自分もMicro Korgが発表されたときの、あのインパクトは覚えてますし、レコーディングでもかなり活用させてもらいました。MicroKorg XLもまたしかり。そしていよいよリリースされた、MicroSamplerでございます。製品名を聞いた感じだと今イチ本体のイメージがわかなかったんですが、写真で初めて見た瞬間にヤラレました。これまでのシリーズではどちらかというとビンテージ感が強調されていたと思います。それはそれでものすごく大好きなんですけど今回はガラリと変えてきましたね。ツマミの感じがかつてのアナログ・シンセ的な所も見え隠れするんですけど、自分的には未来的なデザインにも感じました。というか、このデザインももはやツボ。そうでありつつも鍵盤などはいつもの感じであるだけに、いやぁ、コレはまさにシリーズモノですと言わんばかりの感じですね。というか勝手に、見た目だけでおれとしてはかなりズッキュンですよ。いやいや、見た目だけでは無いのです。肝心の機能にもちゃんと注目ですよ。名前からしてサンプラーというだけに従来のやり方である、サンプリングしたそれぞれの音を鍵盤に振り分けて演奏する、もしくはひとつの音を音階に合わせて演奏する、といった使い方はもちろんのことですが、そのサンプリングの仕方に新しい手法を取り入れたのが本機の面白いところではないかと思います。普通ならば再生したい分の長さをサンプリングして、その後エディット作業に入りサンプルをチョップしたりという手順となりますが、ここで目玉となるのがそのサンプリング方法。AUTO NEXTは事前に再生として使用する鍵盤を複数選択しておき、サンプリングを開始する入力レベルとサンプリング時間を設定しておくことで、各鍵盤へ連続してサンプリングできるというもの。またKEY GATEは本体の鍵盤をRECスイッチとして扱うことで入力中のサウンドのサンプリング先を切り替えながら取り込んでいくといったことができます。

多彩なサンプリング方法によるこれまでにない面白い効果を


コレがですね、なかなか新しくてかつ面白いのですよ。例えばAUTO NEXTは、本来サンプリングした後に波形の大きい部分で分割するようなことをサンプリング時に即座に行えてしまいます。ちょっとひねった使い方をすれば、入力時のスレッショルドの調整具合でハプニング的な、ちょっと変わったサンプリングを自動的にさせてしまうこともできます。そしてKEY GATEはあらかじめ取り込みたい場所が決まっていれば、その音源を再生しながら鍵盤を弾くような感じでサンプリングしてみたりすることでまた面白い効果が作れたりもします。さらに本体にはパターン・シーケンサーも搭載されているので、各サンプルをプログラミングすることも可能なんです。この2つのうまい使い方でかなり面白いことができるのではないでしょうか。従来のMicroKorg、MicroKorg XL同様、エフェクトの内容も充実しています。MicroSamplerはこれまでのサンプラーとは、またちょっと違った使い方のできる、どちらかというとライブやDJのプレイ中にリアルタイムでガシガシ使うのが向いている気がしますね。使い方はあなた次第で、いろいろな広がりを見せてくれそうですよ。

▲リア・パネル。左からACアダプター、電源スイッチ、USB端子、MIDI OUT/IN、オーディオ・イン(TRSフォーン)、ゲイン、アウトプット(TRSフォーン)、ヘッドフォン


『サウンド&レコーディング・マガジン』2009年11月号より)
KORG
MicroSampler
61,950円
▪鍵盤数/37鍵(ナチュラル・タッチ・ミニ鍵盤、ベロシティ付き)▪バンク数/8ユーザー・バンク(A〜H)、1ROMバンク▪サンプリング・レート/48kHz、24kHz、12kHz、6kHz(1バンクあたり約160秒、モノ、48kHz時)▪同時再生数/最大14音(ステレオ、モノラル問わず。タイム・ストレッチ再生時は7音)▪パターン数/1バンクあたり16▪最大記録音数/1バンクあたり最大64,000(1バターン最大16,000ノート)▪外形寸法/516(W)×65(H)×238(D)mm▪重量/1.9kg▪付属品/ACアダプター、グースネック・マイクロフォン