高ゲイン&高音質を実現した最新"ガイコツ"型ダイナミック・マイク

SHURESuper 55
"誰でもOK!"オールマイティなガイコツマイク

SHURE Super 55 37,800円エルビス・プレスリーをはじめ数々のアーティスト写真やライブ写真でおなじみの通称"ガイコツマイク"。このタイプは現代でも55SH Series IIというモデルが販売されていますが、このたび新モデルのSuper 55が登場しました!結論から先に言えば、現代のPAでも使用しやすいようハイクオリティにグレードアップされています!

オン/オフ・スイッチを排してステージ使用でのトラブルを回避


まず外観ですが、形状は55SH Series IIとほぼ変わっていません!変更点は"ガイコツ"の由縁であるボディの格子の間に見えるウインド・スクリーンが、とてもクールな印象を受けるまさに"目の覚めるようなブルー"に変わっているところでしょう。スタンド・アダプターは従来機と同様に本体と一体化されており、前後に135度可動するので、これまでと同様にボーカリストが歌いやすい角度に調節できます。スペック的な55SH Series IIとの変更点は、指向性が単一から超指向になり、感度が高められ、周波数特性が60Hz〜17kHzとワイドになっています。またショック・マウントが内蔵されており、ハンドリング・ノイズも最小限に抑えられています。さらに、55SH Series IIにはスタンド・アダプター部にオン/オフ・スイッチがあり、ここはボーカリストが握りがちなので、スイッチをオンにしてビニール・テープなどで固定しないと、本番中に突然音が途切れるトラブルがありました。しかし、Super 55はこのスイッチが省略されているのでトラブルを回避でき、準備の手間も省けることが容易に想像できます。事故が許されない"ライブ現場"をとても意識していますね。

ハウリングに強く高ゲイン 誰でも使いこなせる素直な音質


さて、本レビューのお話をいただいた日の翌日に、いつもは55SH Series IIを使用しているバンドの仕事があったので、実際にステージで使用してみることにしました!まず本体を持った瞬間、しっかりとした重量感を感じました。これは従来モデルより30gほど重く作られているためで、これなら間違いなくサウンドも期待できそうです。また、今回はバンドの意向により55SH Series IIとSuper 55の2本を並べた豪華ダブル・セッティングで挑むことになったため、チェックもやりやすいことこの上なしです!そのほか、同社のBeta 58Aも加えて比較チェックしてみました。まずゲインですが、資料を見た時点ではBeta 58Aくらいだろうと思っていましたが、いやいやBeta 58Aよりゲインがあります。というより、"音が前に出る"と言った方が正確かもしれません。またハウリングに強い点も特筆ものです! Beta 58Aでハウリング・マージンのギリギリの位置までフェーダーを突いた状態で本機にチェンジしたところ、レベルが上がるだけでなくさらに2dBは稼げそうでした!これには驚きです。肝心の音質面ですが、本機には"豊かで素直、ストレートな音"という言葉が似合います。余分な低域も少なく、ハイエンドもキンキンし過ぎていないのでPA的にも扱いやすいし、歌い手がモニターするにもストレスを感じさせない音質です。従来のガイコツマイクは、"声量があり" "はっきりと歌える"ボーカリストでないと使いこなせない、ある意味"歌い手を選ぶマイク"という印象だったのですが、本機にはまさしく"誰でもOK!"なオールマイティさがあります。超指向の採用により目的音以外の回り込みを限りなく低減し、ボーカル帯域の要となる中高域はクリアなレスポンスで、低域は適度にロールオフすることで余計な低音やハンドリング・ノイズを最小限に抑えるという絶妙なコントロールがされています!余談ですが、著者はこれまでガイコツマイクを使用する場合、カプセルをカスタマイズしていました。具体的にはBeta 57Aのカプセルを積んでいたのです。しかし、Super 55はそうしたカスタマイズ無しで、より良いパフォーマンスを実現できます。つまり、買ったその日にガイコツマイクを問題なくライブで使用できるのです。筆者はもちろん、皆さんのステージングの幅もより一層広がることは間違いないでしょう!(『サウンド&レコーディング・マガジン』2009年10月号より)
SHURE
Super 55
37,800円
▪指向性/超単一▪周波数特性/60Hz〜17kHz▪感度/−53dBV re 1V/Pa▪外形寸法/56(W)×188(H)×78(D)mm▪重量/656g