WALDORFLargo
往年の名シンセ直系のWALDORFサウンドを手に入れられるソフト・シンセ
WALDORF Largo 26,250円2007年、劇的な復活を遂げた新生WALDORFから、Blofeldに続く第二弾の新製品となるLargoが到着しました。LargoはWALDORF Pluginに収録されているPPG Wave 2.V、あるいはSTEINBERG Cubase SX3搭載のA1以来となるプラグイン・シンセ。WALDORFの血脈を受け継ぐ正当派ウェーブテーブル・シンセです。
＋αの機能を備えたシンセシス モジュレーション・マトリクスも強力
本製品はVST/Audio Units対応のプラグイン用ソフト・シンセ。OSはWindows/Macで、MacではINTEL/Power PCに両対応です。ついに登場したオリジナルの新生WALDORFソフト・シンセということで、まずはシンセシスの基本構成から見ていきましょう。最大ボイス数は256で、サウンドを４つまでレイヤーできます。以下、一つのサウンド作りについて解説していきますが、基本はもちろん、お家芸とも言えるウェーブテーブル。数十の波形が用意されたオシレーター部では、波形を選ぶ際に表示されるプルダウン・メニューが画面に収まりきらないほど。これらウェーブテーブルとサブオシレーターを持った２基＋基本波形を持つ１基による計３基のオシレーターが搭載されています。その後段のミキサー部にはリング・モジュレーターも用意し、さらにオシレーターとは別に用意されたノイズ・セクションではノイズ・カラーを決められるノブも付いています。２基用意されたフィルターには、基本的なローパス／ハイパスなどはもちろん、ポジティブ／ネガティブのコムフィルターなど、ほかのシンセではなかなかお目にかかれない機能までてんこ盛りです。この２基のフィルターはパラレル／シリアルのルーティングが可能な上、モジュレーション・ソースにオシレーターもアサイン可能なので、かなり複雑な音作りが可能となっています。このほかにもボイス数を選択可能なユニゾン機能、ADSR以外にも多数のブレイク・ポイントやループ設定が可能な４基のエンベロープ、基本波形を選択可能な３基のLFO、さらにベロシティまで詳細に設定できるステップ・シーケンサーも装備。またコーラス、フランジャー、フェイザー、ディレイ、リバーブ、オーバードライブが用意されたエフェクターたち（１サウンドにつき１系統）も、ソフト・シンセにありがちな、"少ないツマミで取りあえずそれっぽいものがかかる"というようなモノではなく、位相の設定があったり、無駄にノイジーになりがちな部分を抑えるフィルターが付いていたりと、気の利いた仕様になっています。そして、WALDORF特有の複雑なモジュレーションを実現するマトリクス機能も搭載。変調元、変調先、変調量を16パターン分、簡単に一元管理できます。複雑なウェーブテーブル波形をさらに変調させてコムフィルターで処理する......嗚呼、WALDORF！
これぞWALDORFサウンド！Blofeldとも違った個性が光る
肝心の音もちゃんとWALDORFしています。きらめきながら様相を変えていくパッドや、独特のアタック感でまるでシンセ自体が撥弦しているようなコード・サウンド、鋭角なフィルターで作られたシンセ・ベースまで、オケ中でも個性を発揮する音はこのブランドの真骨頂と言えるでしょう。ちなみに、私は昨年Blofeldのレビューを担当させていただきましたが、その出音とも明らかに違う、Largo独特の質感を持っているように感じます。Blofeldをお持ちの方でも、十分居場所があるシンセなのではないでしょうか。一点のみ気になる点を挙げるとすれば、操作は分かりやすいながらも、GUIのレスポンスにかすかな"もっさり感"を感じることでしょうか。ここら辺はソフトウェアということもあり、今後のアップデートに期待したいところです。原稿執筆の段階で、既にバージョンも1.10まで上がっていますから、この先の展開にも期待が持てます。
▲オシレーターで波形を選択しているところ。プルダウン・メニューにズラリと波形名が並んでおり、その一つ一つを確認していくだけでも楽しいだろう
（『サウンド＆レコーディング・マガジン』2009年10月号より）
WALDORF
Largo
26,250円
▪Windows／Windows XP/Vista、1GHz以上のCPU、64MB以上の空きRAM、VST2.0準拠のホスト・アプリケーション、DVD-ROMドライブ▪Mac／Mac OS 10.3.9以降、INTELプロセッサーまたはPowerPC 800MHz以上、64MB以上の空きRAM、VST2.0またはAudio Units 2.0準拠のホスト・アプリケーション、DVD-ROMドライブ
