宅録に最適な取り回しの良さが魅力の小型モニター・スピーカー

JBL PROFESSIONALControl 2P
老舗スピーカー・メーカーJBL PROFESSIONAL製、小型モニター・スピーカー

JBL PROFESSIONAL Control 2P 37,800円/ペアこういう仕事をしていると、アーティストさんから機材相談を受けることがあります。と言うか、増えている気がします。そりゃそうですよね、家で本チャンのテイクが録れてしまう時代ですからね。なので、アドバイスするこちらもかなり気合いが入ってしまいます。それがそのまま後の作業に影響してきますからね。そしてやはり多いのはモニター・スピーカーに関しての相談。なかなか悩む問題ですよね。さて、今回は超老舗スピーカー・メーカーJBL PROFESSIONALから小型モニター・スピーカー、Control 2Pの紹介です。

接続端子やスイッチ類をマスター・スピーカーに集約


本機はいわゆる"小型パワード・モニター・スピーカー"なのですが、2ch分のパワー・アンプを内蔵する"マスター・スピーカー"と、それに接続して使用する"エクステンション・スピーカー"の2台でステレオ・システムを構築するという、少々 変わった構成になっています。なので、エクステンション・スピーカー側はパワー・アンプが内蔵されていないパッシブのスピーカー。スピーカーの形式は2ウェイのフル・レンジです。外部入力端子は2つ用意されており、1つはXLR/TRSフォーンのコンボ・ジャック(+4dBu、バランス接続)、もう1つはRCAピン端子(0dBu、アンバランス)。つまり、合計3種類の入力端子に対応しているということになります。これらの外部入力端子はマスター・スピーカー側にすべて集約されていて、そのほかにもボリューム調整つまみ、高域特性を調整するスイッチ(−2dB/0dB/+2dB)、ヘッドフォン出力端子、そして電源スイッチ&端子も装備。ボリューム調整つまみは、1つのつまみで2本のスピーカーを同時にコントロールできます。これは高域特性スイッチも同様です。それでは早速セッティングを開始してみます。本機は正面からの見た目が2本とも全く同じになるようなユニット配置で、マニュアルにもどちらがLch側、Rch側という明記はされていないので、筆者はマスター・スピーカーをLch側にして設置してみました。入力端子がマスター・スピーカー側に集約されているので、入力信号はL/Rch共にマスター・スピーカーに接続します。そして、付属の特殊ケーブル1本でマスター・スピーカーとエクステンション・スピーカーを接続します。電源についても、マスター・スピーカーのみを付属の電源アダプターに接続すればOK。もともと小さなボディに加え、作業デスク上に設置する際などはケーブルの接続がマスター・スピーカー側に集中するので、ケーブルの取り回しがだいぶすっきり収まるのではないでしょうか。マスター・スピーカーの側面にヘッドフォン・ジャックが装備されているところを見ても、作業デスク上に設置して使用することを想定して作られているのがうかがえます。ちなみに、本機は防磁仕様になっているので、すぐ近くにCRTモニターなどを置いても大丈夫とのこと。ワンタッチ式の台座も付属しているので、適切な角度に調整できます。

安定感あるサウンドと小型ならではの手軽さが魅力


それではサウンド・チェックをしてみます。なるほど、小型でありながらしっかりJBLのサウンドの印象。パワード・スピーカーらしい、レンジの広い音です。ボリュームを上げると、若干箱が鳴るのか中低域の300~500Hz辺りに山がある感じになるので、十分な低域を感じさせます。しかしそうなると当方の環境では少々高域が物足りなく感じたので、マスター・スピーカー背面の高域補正スイッチを+2dBに設定してハイをちょっと上げることで、気持ちのいい鳴りに変化しました。マス ター・スピーカーにあるボリュームでレベルを下げていっても、ほとんど音の印象が変わらないまま小さくなっていきます。ヘッドフォン・ジャックにヘッドフォンを接続すると自動的にスピーカーからの出音はミュートされるので、使い勝手も良 好。ヘッドフォンの音質は、いわゆるドンシャリな傾向ですが特に引っ込んでいるところも無いので、どんなヘッドフォンにも対応できるでしょう。最初は、本機の構造的に"左右対称ではない"という部分が少し心配だったのですが、そこはさすが超老舗メーカー。音に左右の偏りなどは感じられませんでした。厳密な話をすると、位相が多少緩い感じもしますが、小さなボディゆえラジカセなどのようにどこにでもポンと設置できてすぐに聴けるセッティング・フリーな"手軽さ"は大きな魅力なのではないでしょうか。場所を取らずに手元で、自分の作った楽曲をスピーカーとヘッドフォンの両方でモニターできる手軽さはなかなか便利だし、作業スペースがすっきりできるのがいいと思います。宅録環境などでは、作業スペースやワイアリングなどの問題は頭の痛いところでしょうから、そういった方はぜひ試聴してみてください。(『サウンド&レコーディング・マガジン』2009年9月号より)撮影/川村容一
JBL PROFESSIONAL
Control 2P
37,800円/ペア
■ 周波数特性/100Hz〜18kHz(±3dB)■ 周波数レンジ/80Hz〜20kHz(−10dB)■クロスオーバー/4.2kHz■アンプ出力/35W×2■ 外形寸法/159(W)×235(H)×143(D)mm■ 質量/2.6kg(マスター・スピーカー)、2.2kg(エクステンション・スピーカー)