名機の音を忠実に再現したFENDER公認アンプ・シミュレーター

IK MULTIMEDIAAmpliTube Fender
耳慣れたTwin ReverbやBassmanからマニアックなペダル・エフェクトまで網羅

IK MULTIMEDIA AmpliTube Fender 29,400円IK MULTIMEDIA AmpliTubeは、アンプ・シミュレート・ソフトとしてかなり歴史のあるシリーズ。今では多彩なラインナップをそろえ、対応ジャンルも多岐にわたる。その中で、新製品のAmpliTube FenderはFENDERの主要アンプをシミュレートしている。特筆すべきは、FENDERの公認ライセンスを受けている点。これまでにも"いかにもFENDER"なシミュレーターはたくさんあったが、正式というのは世界初とのこと。 

ギタリストならピンとくる名機からマニアックなモデルまで網羅


製品の概要としては、12種類のアンプ、12種類のキャビネット、6種類のストンプ(コンパクト)エフェクト、6種類のラック・エフェクト、そして9種類のマイクを使用することができ、これらを組み合わせて音作りを行う。この組み合わせのセットは2種類を並列にも直列にも使うことができ、かなりフレキシブルなセッティングが可能。基本的にはAmpliTube 2のシステムと同じで、構成される機材がすべてFENDER製になっている、といった感じだ。ではそれぞれのセクションについて見ていこう。まずはアンプ/キャビネット。何と言ってもこの部分が本製品の最大の売りだ。これまでのFENDERの名機と呼ばれたアンプから、マニアックなモデルまで網羅している点が特長。幾つかピックアップしてみよう。まず'65 Twin Reverb。FENDERアンプの代名詞がこれで、本製品ではオリジナルを忠実に再現している。ここではアンプの音を確認するため、エフェクトは使わずシンプルにギターをつないだ形に設定。マイクはDynamic 57(これはSHURE SM57のことだろう)を使用。音はFENDERのサウンドで安心できるというか、とても耳慣れた音だ。リバーブもかなり忠実で、当然だがほかのシミュレーターよりもツインらしい感触がする。マイクの位置や距離をあれこれ調整しても、FENDERらしさが残っているのが気に入った。次は'59 Bassman LTD。ベース・アンプとして設計されたにもかかわらずギタリストに人気のアンプだ。Twin Reverbよりも太い音が特徴だが、その感じも良く出ている。FENDERといえばブルース系というイメージがあるが、比較的最近のプロダクトであるMH-500 Metalheadは、かなりハイゲインな音の特徴を持っている。キャビネットも含めて、MARSHALLなどのアンプを想起させ、いわゆるFENDERという音はしない。アンプのセッティングだけでかなりハードにひずんでくれる。マイクについては、前述のDynamic 57が最も耳になじんだ音で、帯域は狭いがガッツのある感じ。AKG C414を模したとおぼしきCondenser 414など、いずれもコンセプトが分かりやすい。

マニアックに使えるストンプ・エフェクト
オールマイティに使えるラック・エフェクト


ストンプ・エフェクトも、FENDERのビンテージ・エフェクターをシミュレートしているので、オールマイティというよりはかなりマニアックな音を出すことができる。例えばBlenderは、独特のひずみ方を持ったファズ。普通のファズだと音は細くなりがちだが、結構太い音が特徴で、その感じを忠実に再現している。またFuzz/Wahはファズとワウ機能を持ったペダルだが、ユニークなのは縦方向のワウだけでなく、ペダルを横にスライドさせることでファズのかかり具合が変わる、ということ。本プラグインではその動きも再現している。マウスで操作するのは大変だが、オートメーションを駆使すればなかなか面白く使える。一方ラック・エフェクトに関しては、コーラスのTriangle chorusや、テープ・エコーを再現したTape Echoなど、無難に使えるものが多い。最後に、IK MULTIMEDIAオフィシャル・サイトで公開されているAmpliTube X-Gearというプラグインを紹介しよう。これは複数のAmpliTubeを組み合わせて使うことのできるプラットフォームで、例えばAmpliTube 2ユーザーがAmpliTube Fenderを購入した場合、2つを混在して使えるわけだ。ノーマルなオーバードライブにFENDERのアンプを組み合わせる、といったことが可能になる。AmpliTube Fenderだけでは出せない今風のサウンドを求めるなら、このように組み合わせて使うのもいいだろう。既にAmpliTubeシリーズを持っているのであれば、本製品を用いることで大幅にバリエーションが増えることになるはずだ。(『サウンド&レコーディング・マガジン』2009年8月号より)
IK MULTIMEDIA
AmpliTube Fender
29,400円
■キャビネット・モデル/12タイプ ■マイク・モデル/9タイプ ■ストンプ・エフェクト/6タイプ ■ラック・エフェクト/6タイプ ■アンプ・モデル/12タイプ

■Windows/Windows XP/Vista、INTEL Pentium 1GHz以上のCPU(Core Duo 1.66GHzプロセッサ以上を推奨)、512MB以上のRAM ■Mac/Mac OS X 10.4以上、PowerPC G4 866MHz以上のCPU(Dual 1.25GHz G4、G5、INTEL Core Duo 1.66GHzプロセッサ以上を推奨)、512MB以上のRAM ■対応プラグイン・フォーマット/Audio Units、VST、RTAS(DIGIDESIGN Pro Tools 7/8対応)