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物理モデリング方式を採用した臨場感あふれる4種類のサックス音源

WALLANDERWivi Saxophones
ソプラノからバリトンまでカバー。数十人編成の大空間での演奏も再現可能

WALLANDER Wivi Saxophones 1 40,950円WALLANDERは、スウェーデンの新興ソフトウェア・メーカー。初めてその名を聞く人も多いかもしれないが、筆者周辺でも最近話題に上がることの多い名前だ。注目は何と言っても、物理モデリングによる管楽器系ソフトウェア音源の充実ぶり。同社のラインアップにはブラスや木管など一通りの楽器をそろえているが、今回はその中でも身近な楽器、サックスを紹介しよう。 

表現力に優れた4種類のサックスを搭載


物理モデリングは、別名バーチャル・アコースティック音源とも呼ばれる。その名の通り楽器の振動状態をバーチャルにエミュレートして発音する。強弱や音程の変化などもすべて演算で表現するので、サンプリング音源のように波形メモリーを持つ必要がない。少ないハード・ディスク容量で非常にリアルな音色が可能になるこのWivi Saxophones 1も、まさにそういった物理モデリング音源ならではの表現力を備えている。管楽器音源という特質上、基本的にはベロシティではなくコントロール・チェンジなどの連続変化するパラメーターで演奏表現を行うことになる。デフォルトではその強弱はブレス・コントローラーにアサインされているが、もちろんMIDIコントローラーのホイールなどにも変更可能だ。筆者は普段ブレス・コントローラーを使わないので、MIDIキーボードのスライダーにアサインして使ってみた。操作には若干の慣れが必要だが、実に滑らかな強弱変化が得られる。もちろん音量だけでなく、強く/弱く吹いたように音色も変化し、実にリアルだ。また、弾く(吹く)ごとに少しずつ違った感じで発音するのが何とも言えず気持ちいい。微妙なピッチの揺れや音色の違いにより、同音の連続でも機械的にならずにアコースティックな揺らぎのある演奏になるのだ。Wivi Saxophones 1ではソプラノ、アルト、テナー、バリトンと4種類の定番サックスを搭載。いずれも楽器の特徴をよくとらえている。個人的にはアルトとテナーが気に入った。これら4種類の楽器には、それぞれにバリエーションを3種類装備。深くリードを加えたような感じや息の多い感じなど、曲調に合わせて選べる。またサウンドのエディットでは、メインとなるリードの音以外にもブレスやキー・ノイズの量、音質など細かく設定可能。さらに音の外れ度合いやビブラートの挙動など、物理モデリングならではのパラメーターを細かく追い込んでいける。 

音場やアンビエンス さらには編成まで自由自在!


Wivi Saxophones 1は楽器だけでなく、それが"どのような空間に""どのように配置されているか"もシミュレートしている。グラフィカルなインターフェースを使った操作は至って簡単。ホール、教会などの空間を選び、そこでの楽器とリスナーの場所と向きをそれぞれマウス・ドラッグで決めるだけ。これで、定位はもちろん、楽器との距離感やアンビエンスを自由に演出できる。これらの空間やアンビエンスは細かくエディット可能。部屋の広さでは、高さ/幅/奥行き、さらに壁面ごとの反射率を設定可能だ。さらにアンビエントでは、通常のデジタル・リバーブと同様に初期反射と後部残響それぞれに音色や密度をエディットできる。なお空間には無響室のプリセットもある。これを選べば、全くアンビエンスの無い状態も簡単に設定できるのだ。Wivi Saxophones 1は複数立ち上げが可能だが、1台の中で複数の楽器を配置することもできる。これも操作は簡単で、+ボタンを押すだけで楽器が増える。後は同じようにドラッグして並べるだけ。もちろん楽器の種類は自由に選べるし、混在も可能なので、アルトとテナーの2管や、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4管といった編成もお好み次第。増やせる本数も制限がなく、5サックス、6サックスといったフルバンド、さらには数十人編成のブラス・バンドまで編成できる。面白いのは、同種の楽器をどれだけユニゾンで重ねても妙なモジュレーションが起きないこと。これは一音ごとに演算している物理モデリング音源ならではの利点で、力強いユニゾン演奏が可能になる。なおWivi Saxophones 1は管楽器音源なので、当然モノフォニックで動作するのが基本だが、複数の楽器を並べた場合、それらを使ったポリフォニック演奏も可能になる。その際、和音のボイシングに応じてそれぞれの楽器に音程をアサインする機能も装備する。アルトとテナーを並べて2音弾けば、高音はアルト、低音はテナー、単音で弾けばユニゾンと自動的に振り分けてくれて、なかなか便利だ。高度な演算が必要とされる物理モデリング音源だが、Wivi Saxophones 1は低いCPU負荷で動作する。筆者の環境、APPLE Power Mac G5+APPLE Logic Pro 8では30本のアルト・サックスを並べて、2本あるCPUメーターの片方がようやく赤くなりはじめた。むしろ重めのサンプル音源よりも軽いという印象だ。もちろん、ハード・ディスク使用量の少なさは言うまでもない。個人的にも真剣に導入を考えているところだ。(『サウンド&レコーディング・マガジン』2009年8月号より)
WALLANDER
Wivi Saxophones
40,950円
▪Windows/Windows XP/Vista(32ビット)、Pentium IV/Athlon 64(SSE対応 Athlon XP)以上のCPU、256MB以上のRAM、VST2.4/RTAS対応アプリケーション ▪Mac/Mac OS X 10.4以上、Power PC G4以上のRAM(Intel Mac対応)、256MB以上のRA M、VST2.4/Audio Units/RTAS対応アプリケーション