編集感覚でDJミックスが作れるシステム

NUMARKMixMeister Control
楽曲の切り張りやブラウズを素早く行える新感覚DJコントローラー

NUMARK MixMeister Control 47,040円数多くのオリジナリティあふれるDJ機材を生み出しているNUMARKから、またも独創的な機材が開発された。先進的なスタイルのDJ向けコントローラーMixMeister Controlだ。さっそくレビューしていこう。

快適なブラウジングを実現 ミックス方法も細かく設定可能


本機はUSB接続タイプのMIDIコントローラー。MixMeister Fusionという単体でも市販されている同社のDJソフトが付属し、もちろん汎用のMIDIコントローラーとしても使えるが、このソフトとの組み合わせではマウスに手を伸ばすこと無くほとんどの操作を行えるのが本機の特長だ。今回は両者に加えてキューイングとマスターの2系統の出力ができるよう、4アウトのオーディオ・インターフェースを用意した。あとはUSBケーブルでそれぞれを接続し、ソフト上でオーディオ設定を行えば準備完了だ。はじめにMixMeister Fusionについて説明しておこう。4つのトラックが並んだDAWのような画面構成となっているが、それもそのはず、本ソフトはDJセットを再現するものではなく、DAWを使用する感覚で編集的なDJミックスができるというもの。左から右へ時間軸に沿って4つのトラックにプレイする曲を配列し、ミックスを行うという変わったインターフェースを採用している。BPMの同期も自動で可能なので、曲の切り張りやブラウズをしながらプレイ中にミックスの流れを先回りしてどんどん作っていくことができるのだ。対応するオーディオ・フォーマットはMP3/WAV/AIFF/WMV/AACとなっている。NUMARK_MixMeisterFusion▲MixMeister Fusionの画面。4つ並んだトラックに、好みの楽曲を並べてミックスを行うという、ユニークなDJソフトMixMeister Controlは適度な重量があり、ノブも軽過ぎず重過ぎず、程良い手応え。では早速操作していこう。まず、曲のブラウズとトラックへの追加は本体右上のBROWSEノブで行う。また、隣のPREVIEWノブを用いることで選択した曲をヘッドフォンでモニターすることができる。こうしてトラックに並べた曲には12種類の"TRANSITION"設定を、BROWSE/PREVIEWノブの下にあるTRANSITIONノブでアサインできる。これは本ソフトの大きな特徴の一つで、BPM同期やフェード・イン/アウトなどの情報を曲ごとに設定できる機能。例えばミックスしたい2曲を読み込み、それぞれを"Beatmix 16"に設定すると、2曲のテンポがマスターBPMに同期し、両曲が重なる部分をソフトが自動的に検知して16小節でクロスフェードされる。つまり、自動ミックスが可能なのだ。OUTRO/INTROノブでは、ミックスの開始/終了地点も調整できる。TRANSITIONには、BPM同期だけの設定や、オリジナルBPMでの自動クロスフェード、カット・イン/アウトなどの設定も用意されている。もちろん、TRANSITION無しの手動ミックスも可能だ。このTRANSITIONを選ぶだけでも、十分なクオリティのミックスを作れる。各曲の音量設定や手動ミックスには左下に用意された4トラック分のVOLUMEノブを使用する。その右隣には3バンドEQも用意されていて、一般的なDJミキサーでは縦に配列されている内容がそのまま横になったと思えばいい。さらにその右には、ループ区間を決めるIN/OUTボタン、小節数を決める1/2/4/8ボタン、ループから抜ける×ボタンなどがトラックごとに並んでいる。ループはとてもスムーズで扱いやすい印象だ。 

マウスを使わず画面の移動 "編集的"ミックスが可能


ここまで使用して気付いたのは、本当にマウスを使うタイミングが少ないということだ。例えば中央部に用意されているTIMELINE SCROLLとZOOMノブ。これらは時間軸の移動やズームに用いる。通常マウスを使わないとできない操作が素早く行える大変便利なノブだ。その下のEDIT CONTROLセクションは楽曲の切り張りを行うもの。編集作業は、その下のSELECTボタンと右のジョグ・ホイールを用いて任意の範囲を選択、そしてCUT/COPY/PASTE/SPLIT/UNDOを押す、という流れ。多くのDJソフトではこのようなエディットが不可能だが、本機ではミックス中にコントローラーから行うことができるため、独創的なプレイを実現する。例えばブレイクの後にイントロをもう一度配置したり、ビートの部分をひたすら繰り返すなど、自由自在だ。左上のOPEN ASSING BANKセクションにはノブを12個、OVERLAY TRIGGERセクションにはボタンを6個用意。これらはデフォルトでは何もセットされていないが、エフェクトなど好みのパラメーターをアサインできる操作子だ。積極的に使えばより複雑なプレイができるだろう。正直最初は戸惑ったのだが、使えば使うほど各機能の面白さが分かってきた。完全に使いこなすには少し時間がかかるかもしれないが、マスターすればこれまでに無いDJプレイが生み出せる、奥の深い新感覚のDJシステムだ。(サウンド&レコーディング・マガジン2009年5月号より)

撮影/黒羽俊之

NUMARK
MixMeister Control
47,040円
■外形寸法/510(W)×65(H)×255(D)mm ■重量/1.9kg

■Windows/Windows XP/Vista、1.0GHz以上のCPU、1GB以上のRAM ■Mac/Mac OS X 10.4以降、1.6GHz以上のCPU、1GB以上のRAM