フォルマントやリバーブの調整
設定の保存も可能
まず端子類から見ていきましょう。入力は本体右側にファンタム電源対応のMIC IN（XLR）と楽器用としてHi-Z対応のINST IN（フォーン）を配置。マイク入力ゲインはHI/LOWを切り替えるスイッチ式となっています。出力はメイン・ボーカルとハーモニーをミックスして出力するEFFECT OUT（XLR）と、楽器音をスルー出力するINST OUT（フォーン）を本体左側に配置しています。次は操作子を見ていきましょう。トップ・パネルには６個のノブが並んでいます。一番左のBLENDノブは、EFFECT OUTから出力されるメイン・ボーカルとハーモニーのバランスを設定します。その右の２つのノブはリバーブ量を操作するもので、メイン・ボーカルとハーモニーそれぞれに独立してリバーブをかけることが可能です。さらにその右のGENDER BENDERノブでは、ハーモニーのフォルマントを調節し男声〜女声まで変化させられます。VOICE MIXノブはハーモニーのバランス調整に用いるもので、モードによって調節できるパート数は異なります。最後のMODEノブではモード選択を行うのに加え、ノブを３秒押し込むことで設定のセーブを、短く押し込むことでロードをモードごとに行えます。ペダル型エフェクターでリコールが行える点はうれしいですね。トップ・パネル下２つのフット・スイッチは、左がハーモニーのオン／オフを、右はモード選択と設定のロードを同時に行えるスイッチです。
豊富なHARMONYモードに加え
口笛やボコーダー機能も搭載
今回はシンセを使って各モードを検証してみます。まず最初にLOW HARMONYモードを使ってみました。これは、3度下と5度下の2声を生成するのですが、驚いたのは入力したコードのメジャー／マイナーにしっかりハーモニーが追随する点！ コードとボーカルの関係によっては4度下や6度下となり適切なハーモニーを自動で生成してくれるのです！ これはほかのHARMONYモードでも同様で、“使える”ことを感じます。次のHIGH HARMONYモードでは、3度上と5度上のハーモニーを生み出します。5度上は実際に歌うと結構つらいものなので重宝しますね。LOW+HIGHモードは、5度下と3度上の声を生成。いわゆる一般的なハモリですね。ここまでの3モードでは、VOICE MIXノブで付加される2パートのバランス調節が可能です。MULTI HARMONY １モードでは３度下、５度下、３度上の３声を、その次のMULTI HARMONY ２モードではそれに１オクターブ上を加えた４声を生成します。これらはかなりゴージャスなので、できもしないアカペラをやりたくなります。その次のMULTI HARMONY ３モードでは、オクターブ下、5度下、3度上、5度上の４声を付加します。個人的には本機で一番気持ち良いハーモニーでした。奇麗に声の壁ができるので、なんちゃってビーチ・ボーイズもいけますね。これらのモードでは、トップとボトムの２パートのレベルをVOICE MIXで調節し、それ以外のハーモニー・パートは一定のレベルとなります。OCTAVESとUNISON+WHISTLEは楽器入力不要のモード。前者はその名の通り、１オクターブ上下の声が加わります。後者は2つの効果を楽しめるモードで、VOICE MIXを左に回しきるとユニゾンとなり、GENDER BENDERで声質を変化させることでダブル効果を生むことが可能。逆にVOICE MIXを右いっぱいにすると、2オクターブ上の口笛サウンドが付加されます。最後はみんな大好きVOCODERモード。キャリアに効果が大きく依存するので、無限にオリジナルのサウンドを作り出せます。このときVOICE MIXはエンハンスメント・コントローラーとなり、高域を強調させヌケを良くすることができます。このボコーダーだけで単体機を出せるクオリティです。印象としては、補助的／実験的使用のどちらにも対応しうるエフェクターという感じでした。電源はACのみですが、ローノイズな点も素晴らしい！ リバーブも制作で重宝しそうですし、頑丈でコンパクトなボディはライブにも最適です。
▲本体右側の入力端子部。左からINST IN（フォーン）、MIC IN（XLR）、ファンタム電源スイッチ
▲本体左側の出力端子部。左からEFFECT OUT（XLR）、INST OUT（フォーン）
SPECIFICATIONS
■外形寸法／144（W）×60（H）×119（D）mm
■重量／550g
