DJソフトとの併用に最適なコンパクト・オーディオ・インターフェース

NATIVE INSTRUMENTSAudio 4 DJ
DJ関連ソフト/機材の老舗NATIVE INSTRUMENTSからDJプレイに最適な4イン/4アウトのオーディオ・インターフェース、Audio 4 DJが発売されました。本体のシンプルかつスタイリッシュな外見の中にはどんな可能性が詰まっているのでしょうか。確かな操作性に定評がある同社のDJソフト、Traktorでの使用を前提にその使用感をチェックをしていきたいと思います。

しんのある低域で
クラブでの鳴りを重視した音


まず、目を引くのはそのサイズ。121mmの横幅で、これはオーディオ・インターフェースの中でも小型の部類でしょう。持ち運びが実に楽という利点もさることながら、雑然としがちな現場のDJ機材回りでも収まりが良さそうです。そんな手のひらサイズとはいえ、程よい重量感とメタルな質感が相まって製品の堅固性をしっかりアピール。私観ですが、まずは“物”としてしっくりきます。本体のフロント・パネルには、VOLUMEノブ付きのヘッドフォン端子、リア・パネルにはRCAピン接続のステレオ2系統の入出力とアースを接続するGND、USB 2.0端子を配置。入力は付属ドライバー・ソフトで簡単にライン/フォノの切り替えが可能です(フォノは入力レベルの設定も可能)。Windows/Macに対応し、USB 2.0接続でバスパワー駆動も可能なお手軽さ。トップ・パネルではUSBマークの点灯で電源のオン/オフを確認でき、ライン/フォノの入力モードや入出力信号の有無もLEDで確認できます。さらに入力信号のLED表示に関しては通常時は緑、過入力時は赤になります。対応ドライバーはASIO、CoreAudio、DirectSoundで、最大24ビット/96kHzまで対応し、現状のDJソフトに必要十分なスペックと言えるでしょう。早速、自作曲の16ビット/44.1kHzのWAVファイルを付属のTraktor 3 LEで再生してみました。出音は広がりがありつつ、低域にしんがある印象で、さすがにクラブでの鳴りをしっかり重視してくれていそうで好感触。少なくともCDクオリティの再生に関しては十分な音です。DAWソフトを使用すれば同様のクオリティで録音も可能なので、DJソフト・ユーザー以外の方も選択肢に加えてもいいかもしれません。また、本機にはTraktor 3 LEのほかに、TraktorPro Demo Version、ソフト音源のKore Soundpackとサンプル・プレーヤーのKore Playerなどが同梱され、購入後すぐ遊べる点も見逃せないポイントです。

低レイテンシーと安定性で
高いコスト・パフォーマンスを実現


ここからは、Audio 4 DJ+Traktor 3 LEを使用してのDJ実践編です。同社の製品同士だけにその相性の良さは折り紙付き。ソフト上の設定画面で、どのチャンネルをどの出力にアサインするかを簡単に設定可能です。例えば、完全にコンピューター上でのDJミックスの場合は、マスター出力をOUT 1&2に、モニター出力をヘッドフォン出力にアサインすれば、次につなぐ曲が外音に反映されることなくヘッドフォンでモニタリングできます。このセットでの利点は、DJブースの無いところでも簡単にDJプレイできる点。バスパワー駆動の恩恵で、コンピューターの電源さえ確保できればOKという手軽さも魅力で、Traktor Pro使用の場合、MIDIコントローラーと組み合わせてよりフレキシブルな操作も可能になります。ハードウェアのDJミキサー使用の場合は、それぞれの出力をDJミキサーの任意のライン・チャンネルに入力すれば、モニタリングはDJミキサー側で可能。これまでDJをしてきた方にはこちらの方が扱いやすいかもしれませんね。もちろん自分もこちらの環境で作業を進めていたので、いつも通りのDJ感覚のままで使用できました。また、驚いたのがそのレイテンシーの低さと安定性。今回はトラック・パッドやマウスでの操作でしたが、レスポンスがとても良いです。そして出音が途切れるようなことも、当たり前とはいえ、一度も無かったという点は、現場での使用には何よりも重要な要素。実際この価格帯の製品でこのパフォーマンスを得られるのには率直に驚きます。曲と曲をつないでミックスしていくという楽しさは、意外と自分で体験してみないことには伝わりにくく、興味があってもなかなかDJ機材に触れる機会が無い方もいるのではと思います。そんな中、難しいセッティングも無く確実な動作性の本機は、手軽にDJを楽しんでみたい方に入り口としてとても良いバランスで設計されています。アナログやCD、データなどDJスタイルも多様化していますが、このような機材が登場し選択肢が増えることで、その楽しさや奥深さがより多くの人に伝わることは非常に喜ばしいことです。

▲リア・パネル。左からUSB 2.0端子、CH B入出力、CH A入出力(共にRCAピン)、GND

NATIVE INSTRUMENTS
Audio 4 DJ
オープン・プライス(市場予想価格/25,800円前後)

SPECIFICATIONS

■量子化ビット数/16/24ビット
■サンプリング・レート/44.1/48/88.2/96kHz
■外形寸法/121(W)×42(H)×101(D)mm
■重量/511g

REQUIREMENTS

■Windows/Windows XP以降、INTEL Pentium 4/Athlon 1.4GHz以上のCPU、512MB以上のRAM
■Mac/Mac OS X 10.4以降、PowerPC G4/INTEL Core Duo 1.66GHz以上のCPU、512MB以上のRAM