iPodをメディアとするステレオ・マイク内蔵のハンディ・レコーダー - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

ALESISProTrack

イトケン

さまざまなメーカーからフラッシュ・メモリーやハード・ディスクをメディアとしたハンディ・レコーダーが発売されています。そんな中、ALESISよりAPPLE iPodをメディアとするユニークなモデルが発売。早速チェックしてみます。

ファンタム電源を供給できるため
外部コンデンサー・マイクも使用可能

ProTrackはステレオ録音の可能なハンディ・レコーダーで、第５〜７世代iPodおよびiPod Classic、第2〜４世代iPod Nanoに対応して、iPod本体のボイス・メモ機能を利用して録音するという仕様です。ビット・レートは16ビット、サンプリング周波数は44.1kHzか22kHzを選択可能となっています。また、第2世代iPod Touch、iPhone 3Gにも対応していますが、こちらはボイス・メモ機能が無いのでBIAS iProRecorderというレコーダー・アプリケーションが推奨されています。iProRecorderは11kHzにも対応しており、波形編集ソフトBIAS Peak6.0.4以降との連携もできるようで、使用の幅が広がりそうです。片手で扱えるサイズながら、同様の製品より若干大きめの印象です。iPodを装着することを考えればこのサイズになってしまうのは仕方のないところでしょう。付属のACアダプター、または単四電池×４で駆動します。本体でiPodの充電もできますが、ファイルのやり取りは、iPodを取り外してiPodの専用ドックを介して行う仕様です。入力は内蔵されているXY方式のステレオ・コンデンサー・マイクまたはステレオ外部入力から可能です。この外部入力はXLR／TRSフォーンのコンボ・ジャックを搭載し、TRSフォーン接続ではライン信号、XLR接続ではマイク信号に対応します。ファンタム電源も供給できるので、外部コンデンサー・マイクも使用可能です。接続がない場合は内蔵マイクでの録音となります。

リミッターを使用することで
レンジの広いパワフルな収録が可能

本体には左右独立したレベル調整つまみとレベル・メーターが装備されています。つまみはアナログライクな使用感が好印象で操作も簡単。レベル・メーターの反応がすごく良いのも特筆すべき点ではないでしょうか。ただ、ステレオ・リンクが無い上、つまみはちょっと軽めなのでずれないように注意が必要。レベル調整は本体で行い、再生や録音開始／停止などはiPod上で操作するので、最初は戸惑いましたが、慣れてしまえば問題ないでしょう。またリミッターが搭載されているので急な大音量にも安心です。２つのバンドのリハーサルに持ち込んで内蔵のステレオ・コンデンサー・マイクをチェックしてみました。まずはアコーディオン、パーカッション、トイピアノなどのアコースティックなバンド編成でチェック。中域から高域にかけてがつややかでパワーのある感じに録音されました。リミッターを入れ、レベルを上げて録音すると非常にパワフルな感じになります。続いてはベース、キーボード、ツイン・ドラムなどのロック的な編成のリハーサルでのチェック。こちらではリミッターが非常に効果的で、小さな音から大きな音までレンジの広いパワフルな録り音となりました。レベル調節つまみが付いているので、必要なときに瞬時にレベル調整できるのが好感触です。その後、自宅に持ち帰ってのパーツ録音。まずはウクレレ。中高域にメリハリのあるキレイな音で録れています。タンバリンでは皮もシズルの音もキレイに収録されています。ここでは中域が少し持ち上がっている印象です。続いて、SHURE SM57をつなげてチェック。まずはウクレレ。ダイナミック・マイクになった分、高域が落ち着いた印象ながら非常にフラットな音で録れています。タンバリンは中域が落ち着いて高域に伸びが出たような感じ。ADコンバーターとしても素直な特性を持っているようです。最後に外に持ち出して、街中でのフィールド・レコーディング。内蔵のステレオ・マイクはXY方式なので、臨場感のある定位で録音されています。感度も良く、ゲインを上げることで小さな物音まで確実にキャッチすることができました。iPodをメディアにするというユニークなコンセプトの本製品。iPod Touchなどでは、アプリケーション次第で利用の幅も広がっていくことでしょう。その辺にも注目していきたいモデルです。