
高級感あふれる銀×黒のデザイン
STEREO/MONO切り替えスイッチ搭載
まずパッケージを見ると、以前までのプラスチック製の箱から一転して高級感漂う黒い箱になっており、それだけで購買意欲がくすぐられます。肝心のその内容は、本体、脱着式ケーブル(ミニXLRで本体と接続)、プラグ・アダプター(金メッキ仕様、TRSフォーン)、レザー風の肌触りが良いキャリング・ケースといった内容です。そして本体の主な仕様は、密閉/ダイナミック型で、5Hz〜30kHzの広範囲な再生周波数帯域を持ち、インピーダンスは36Ω、出力音圧レベル107dB、最大入力3,500mW、50mmのドーム型ユニットとなっています。脱着式ケーブルは片側出し1.2mのカール・コードで、最大3mまで伸ばすことが可能です。このケーブルはDJ仕様ということもあり、他メーカーのものに比べると若干硬めな気がしますが、当然ショックに強いということもあり、現場仕様で持ちが良いということになります。また本体の見た目はかなり良いです。つや消しの黒と銀の2色が使われるデザインで、高級感があります。上部の"PIONEER"のロゴおよびL/Rの印は浮き出るようなデザイン。よく見ると、通常の左右確認の印のほかにもう1カ所、アーム部分にもL/Rの刻印がされており、正面からでも左右の確認ができます。使い勝手の良さとデザインの両方を完ぺきに兼ね備えていて、見事です。折りたたみ時には、カチっとロックされるのも、これまでは見られなかったアイディア。こういったこだわりには本当に感心しました。さらに、ポッチ式のロックはそれなりの力を入れないと外せないので安心です。また、イア・パッドのスポンジの柔らかさ、量感、生地の質感もちょうど良いです。さらに、左耳の後ろ側には、STEREO/MONOの切り替えスイッチが付いているので、片耳掛けでのDJ時に重宝するでしょう。実際に装着した感じも、ズレを防止する程良い重みと、DJプレイにもしっかり曲がつなげるように、外部の音をシャットアウトする密閉力があります。特に装着時のフィット感は長時間の使用にも十分優れています。
邪魔な高域が無く低域も素直
絶妙なバランスで制作にも使用可能
続いては本題の音質ですが、DJ用ヘッドフォンとしては、初めは"あれ?"と思いました。というのも、これまでのDJ用ヘッドフォンには、キックでつなぎやすいように低域を出し過ぎるなど、どこか増長されているような印象を持っていました。"それはそれでいいんだろうな"と思う程度のものが多い中、本機は音のバランスが良いんです。派手さは無いのですが、ギシギシ突き刺さってくる邪魔な高域も無く、かつ低域の自然な広がりも気持ち良く再生してくれます。絶妙なバランス感を持った素直な良いサウンドだと思いました。続いて、普段仕事でも使用しているヘッドフォンと、幾つかミックスを試して聴き比べてみたところ、本機はスピーカーとの差がほとんど無く音が分かりやすいので、大変使いやすい印象。ゆえにDJ用だけでなく、音楽制作にも非常に適していると思います。また本誌P111「Cross Talk」で対談させていただいたDJ HASEBEさんもご自身のブログで本機を絶賛されており、プロのDJの方からも太鼓判が押されていました。DJ用としての使いやすさ、耐久性は文句の付けどころの無いのは先述の通り。音に関しても、スタジオ・ユースに十分な音像、音質をお約束いたします。ヘッドフォン選びって、なかなか難しいんですよね。まずはブランド・イメージから始まって、質感、デザイン、耐久性、長時間の使用でも耳にも鼓膜にも疲れない音質設計......。本機はどれをとっても優れていると思います。実はPIONEERのヘッドフォンはDJ用のものが多いなどの理由であまり使っていなかったのですが、今回の試用で印象が変わりました。仕事で使用するために、目下注文の計画を立てようかと思っています。
SPECIFICATIONS
▪周波数特性/5Hz〜30kHz
▪インピーダンス/36Ω
▪付属品/プラグ・アダプター(金メッキ、ネジ式)、キャリング・ポーチ、脱着式ケーブル(ミニXLR)
▪重量/290g